リポート持続可能性(サスティナビリティ)

アメリカンミートのサスティナビリティへの取り組み

アメリカンミートのサスティナビリティへの取り組みについて
動画で公開しております。是非ご覧ください。

温室効果ガス(GHG)

二酸化炭素(CO2)

  • 主要排出源:人の呼気、化石燃料の燃焼:運輸、発電、工業、暖房など
  • 長寿命(約1,000年)=放出量がゼロでない限り大気中の量が無限に増加
  • 米国のGHG排出量の81%

一酸化二窒素(亜酸化窒素)(N2O)

  • 主要排出源:土壌肥料(農林畜産業)、自然発生(植生、ツンドラ、海洋)、人為発生(耕作、バイオマス燃料または化石燃料の燃焼等)
  • 寿命120年=CO2に比較的類似した挙動
  • 米国のGHG排出量の7%

メタン(CH4)

  • 主要排出源:湿地帯/沼地、水田、反すう動物、バイオマス燃焼、埋め立てゴミの分解、化石燃料の探査中および輸送中の化石メタン放出
  • 寿命12年=安定した放出が大気中の量の安定につながる-効果は大きいが短寿命
  • 米国のGHG排出量の10%

米国環境保護庁(EPA)のGHG排出量に関する報告書

米国の温室効果ガスの産業別排出割合 2018

2018年の米国の総排出量=CO2換算で66億7,700万トン
出典:USDA経済調査局、2020年4月(EPAのデータを使用):
米国の温室効果ガス排出・吸収インベントリ:1990~2018年

工業 28.9%
運輸 28.3%
商業 16.0%
住宅15.6%
農業 10.5%
米国海外領土 0.7%

農業由来の主要GHG排出源(2018年)

  • 土壌管理行為(55%)
  • 家畜の腸内発酵(29%)
  • 家畜堆肥の管理(13%)
  • 稲作(2%)

Agriculture Sector Information

GHGに対する農業の影響

2018年の米国の総GHG排出量のうち農業由来は10.5%

  • 家畜の腸内発酵は2018年の総排出量の3%未満
  • 堆肥管理を含めても家畜関連の排出量は総排出量の4%未満

全世界の農業のGHG排出割合は24%

  • 保全努力と技術により米国の農家のGHG寄与率は世界の他の地域の農家よりも低く、過去10年の平均は9%となっている
2017年の米国のGHG排出量に占める農業の割合 2/

全世界の農業のGHG排出割合は24%であるが、米国の農家の保全努力と技術の向上により、
米国の農家のGHG寄与率は世界の他の地域の農家よりも低く、過去10年の平均は9%となっている。

American Farm Bureau Federation | Farmers for a Sustainable Future
農業以外の部門*91%
農業全体9%
*運輸、電力、商業および住宅の各経済部門を含む
家畜の排出
肉牛2% 乳牛<1% 豚<0.3%

豚 肉

  • 米国ファーム・ビューローによると、環境保護庁(epa)が集計したデータでは豚肉生産のGHG排出量は米国の総排出量の0.3%未満である
  • 豚肉生産量は1990年比で17%増加しているが、GHG排出量と、エネルギー、水、土地の使用量は減少もしくは横ばいである
  • 豚肉生産者は、指針を提供するために2018年に業界全体の指導者たちで結成された専門委員会を通じて、持続可能性の向上により一層励んでいる
豚の総生産量
1959年
121億ポンド
2009年
228億ポンド

The National Provisioner | Sustainability and Pork Production

米国の豚肉産業の持続可能の向上に継続的に

養豚農家は持続可能性の向上に継続的に取り組んでいる。アーカンソー大学の最近の研究は養豚業による土地、水、エネルギーの使用量が減少していることを示している。それはカーボンフットプリント全体の減少も意味する。

1960年から2015年にかけて、栄養、遺伝的性質、豚の全体的飼養管理が 養豚場レベルで継続的に向上してきたことが、この好ましい成果を生み出している。

生産される豚肉1ポンドあたりの改善
(1960年から2015年まで)
水 25.1% 減
二酸化炭素7.7%減
エネルギー7.0%減
土地75.9%減

出典:米国豚肉生産のネガティブ評価:1960~2015年、アーカンソー大学、全米豚肉委員会、2018年

牛のGHG排出

2018年の牛肉生産のGHG排出量は
米国の総排出量の1.9%

(環境保護庁、ファーム・ビューローの計算
  • 全世界的には米国の牛肉生産のGHG排出割合は0.5%未満

家畜反すう動物はメタンの最大放出源ではあるが、GHGの最大放出源ではない

  • 反すう動物の牛は、他の作物を生産できない環境で生育する粗飼料(草)を良質のタンパク質に変換する能力に基づいてメタンを産生する
  • 放出されるメタンはルーメン(第一胃)/消化管内の微生物によって自然に生成される
  • そのメタンの95~98%が動物の口から放出される

Beef - It's What's For Dinner | Infographic Library - RaisingBeef
source of U.S. Beef production

消化に適した胃

牛は4区画の胃を持ち、その最大のものがルーメンなので反すう動物(ルーミナント)と呼ばれる。

	ルーメン
	バスタブほどの大きさ!
	
  • 牛の胃の容積は40~50ガロンにも上る
  • ルーメンは、人が食べられない植物を分解できる数兆個もの微生物を満たした仕組みになっている

米国の肉牛のライフサイクル

繁殖期 育成期 肥育期
食べ物
  • 飼料
  • 粗飼料
  • その他の
    非食用植物
食べ物
  • 飼料
  • ほぼ粗飼料
  • その他の
    非食用植物
食べ物
  • 飼料
  • 濃厚飼料
  • その他の
    非食用植物
繁殖期
6~10ヵ月
繁殖期
2~6ヵ月
繁殖期
ほぼ濃厚飼料で4~6ヵ月
または
ほぼ粗飼料で6~10ヵ月

Broocks, A.ら: 粗飼料仕上げの牛肉は濃厚飼料仕上げの牛肉よりもカーボンフットプリントが少ないのか?
入手先: beefsearch.org/beefsustainability.aspx(Tough Question[厳しい質問]#6)

牛のアップサイクリング

  • 家畜とそのアップサイクリング能力が持続可能性の鍵となる
  • 「アップサイクリング」:人が利用できない(人が食べられない植物に内在する)太陽エネルギーを取り込んで良質なタンパク質に変換すること
    • 米国の肉用牛が生涯で消費する飼料のうち、約80%は人が食べられない産物
家畜は私たちが食べられない食物を
タンパク質に変えてくれる

代用タンパク質の企業は、現在家畜用飼料に使われている作物を人が食べたほうが効率的と主張するが、全世界の家畜用飼料の86%は人が消化できないものでできていて、半分近くが草類である。

86%
全世界の家畜の飼料摂取量の86%は人の食用に適さない
46%
草や葉
19%
作物残渣
8%
家畜用飼料作物
5%
油糧種子の搾り粕
5%
副産物
3%
その他の 非食用物
13%
穀物
1%
Other edibles
その他の食用
わずか14% 人が食べられる物
牛の持続可能性の事実
牛のアップサイクリングの強大な力

ルーメンの微生物が牛に強大なアップサイクリング力を与えている

牛は、人にとってほとんどまたは全く栄養価値のない植物を良質のタンパク質、微量栄養素、その他の重要産物にアップグレードする。

太陽からのエネルギー
人が食べられない植物
アップサイクル
良質のタンパク質、皮革、その他の産物

牛の生産

  • 米国の牛肉生産システムは、世界で最も環境効率が優れている。出典:米国ビーフ・サステナビリティ・アセスメント
  • 2007年の牛肉1ポンドあたりの使用量の対1977年比
    (J. L. Capper, 2011)
    19%飼料
    33%土地
    12%
    9%化石燃料エネルギー

    全体でカーボンフットプリントが16%減少

  • 1970年代と比べて現在の肉用牛農家は36%少ない頭数で同量の牛肉を生産している
より少ないものでより多く

米国の農家は 世界の牛のわずか8%で
世界の牛肉の 18%を生産している

Beef - It's What's For Dinner | Infographic Library - RaisingBeef

Beef-Is-the-Most-Valuable-Protein-Infographic.pdf

JLキャッパー、「米国の牛肉生産の環境への影響:2007年と1977年の比較」(アニマルサイエンス ジャーナル89巻、12号、2011年12月、ページ4249〜4261、https://doi.org/10.2527/jas.2010-3784

動物用飼料の生産を含む米国の牛肉生産における温室効果ガス排出量は、米国全体のわずか3.3%です。牛は枝肉重量1ポンド当たりで消費する穀物は2.6ポンドです。これは、豚肉や家禽とほぼ同じです。
肉用牛の給餌に使用されるトウモロコシは、米国で収穫されたトウモロコシの約9%、策付け面積にして800万エーカーにすぎません。
骨なし牛肉を1ポンド製造するには、平均して308ガロンの水が必要です。 全体として、牛肉による水使用量は、米国の取水量の約5%にすぎません。
米国の肉牛生産に投入される化石エネルギーの総量は、化石燃料の総消費量の0.7%です。

光合成
光化学的酸化
CO2 二酸化炭素
約10年
CH4 メタン
炭水化物

大気中に化石由来CO2が蓄積している。
新しく発生するCO2が植物と海洋の吸収力を超えて放出されているためである。
CO2 二酸化炭素
海洋
化石燃料 ( 昔の光合成炭素 - 1~2億年前のもの - 炭素サイクルに入っていない )

上の図は、単純化した炭素循環を示しています。 植物は二酸化炭素を空気から吸収し、光合成に使用します。 牛は植物を消費してメタンを生成し、それが大気に入ります。 メタンは二酸化炭素に変換され、植物に吸収されます。 しかし、化石燃料からの二酸化炭素排出量は、植物が利用できる吸収量を超えています。
Source: https://www.beefmagazine.com/sustainability/separating-fact-fiction-farting-cows

粗飼料(草)仕上げと濃厚飼料(穀物)仕上げ

  • 濃厚飼料仕上げの牛も生涯のほとんどを粗飼料を食べて過ごし、濃厚飼料を主食にするのは最後の約4ヵ月のみ

    濃厚飼料はエネルギーが豊富で、粗飼料よりも牛の仕上がりが早くなる。これにより、牛の生涯における水使用量、ガス放出量、排泄物量が減少する
    しかし、濃厚飼料(ほとんどの場合トウモロコシ)は牛の生涯の摂取飼料の7%に過ぎず、残りの93%は牧草を含む粗飼料である
    BeefResearch | BEEF FACTS: SUSTAINABILITY

  • 高繊維の粗飼料はメタン放出量を増やし、濃厚飼料はメタン放出量を減少させる
  • 粗飼料仕上げのほうが、カーボンフットプリントが少ないと決めてかかる主張はやめさせるべきである
    粗飼料ではと畜月齢が約26~30ヵ月(濃厚飼料仕上げの2倍)
    飼養期間がより長くなり、水と飼料の使用量およびメタン放出量がより多くなる
  • 濃厚飼料仕上げには飼料用穀物の栽培と輸送を考慮に入れなければならないというデメリットがある

Grain vs grass in diet

牛肉の持続可能性

  • すべての米国人が週に1日牛肉を食べるのをやめたとしても、カーボンフットプリントの減少は0.37%に過ぎない
  • 米国のフードチェーンから家畜と家禽を完全に排除したとしても、全世界のGHG排出量の減少は0.36%に過ぎないことが研究により実証されている
カーボンフットプリントよりも持続可能性のほうが大事である

動物性食品と植物性食品のカーボンフットプリントの相対的差異は、国家レベルのGHG排出量に有意な違いをもたらさない。

牛肉の持続可能性の事実
たとえば、すべての米国人がヴィーガン (完全菜食主義者)になったとしたらどうなるか?
米国のGHG 排出量が 2.6%減少
米国の人口を養う栄養素が不足
化学肥料の使用量が増加
土壌浸食が増大

White and Hall. 2017. Proc. Natl. Aca Sci. 114:E10301-E10308

https://www.beefitswhatsfordinner.com/raising-beef/beef-in-a-sustainable-diet
White, R.R. and M.B. Hall. 2017. Nutritional and greenhouse gas impacts of removing animals from US agriculture. Proceedings of the National Academies of Sciences. 114(48) E10301-E10308. DOI: 10.1073/pnas.1707322114 (Note: 0.36% of global emissions calculated from estimate of 49 gigatons (Gt) of anthropogenic carbon dioxide equivalents emitted in the year 2010 from the Intergovernmental Panel on Climate Change Fifth Assessment Report. Summary of the report can be found at this link:  https://www.ipcc.ch/pdf/assessment-report/ar5/wg3/ipcc_wg3_ar5_summary-for-policymakers.pdf

土地

  • 牛は耕作に向かない土地で食物を生産することを可能にしながら、生態系を強化する
  • 牛は粗飼料を人が食べられるタンパク質に変換する能力を持つ反すう動物である
    米国の35%に相当する8億エーカーの放牧地は、どんな作物の栽培にも不向きである

ネブラスカ州 砂漠地帯

アリゾナ州

テキサス州 パンハンドル

  • 草原の維持と転用(農地化、都市スプロール現象)の防止は、大気中への土壌中炭素放出の防止になる。研究は、野草地の改善または復元により、さらに数百万トンの炭素を保持できる可能性が高いと指摘している
    米国の農家はすでに計1億4千万エーカー(ニューヨーク州とカリフォルニア州を足した面積に匹敵)の土地を保全プログラムに登録している
  • 米国の土地の3分の2は家畜用に使われている
    • この土地の70%は「耕作限界」である(作物を栽培するには土壌の質または水分が不足している)
    • 使用されている肥料の半分が化学肥料で、半分が有機肥料(堆肥)である=オーガニック主義者/ヴィーガンも、肥料の供給という点で動物生産からの恩恵を受けた製品を購入している
  • 世界の二酸化炭素吸収源は、植物、土壌、海洋のみである
    • 正しく管理された放牧システムは強力な吸収源になり得る
    • 北米グレートプレーンズは世界最大のプレーリー(大草原)であり、 アメリカの「カーボン・ボールト」(炭素貯蔵所)の役目を果たしている

Carbon Sinks – ability to absorb more carbon out of the atmosphere than it produces

  • 平均して骨なし牛肉1ポンドの生産に308ガロンの水を要する(そのほとんどは再利用される)
  • 牛肉バリューチェーンにおいて約95%を占める単一で最大の水消費源は、牛用飼料を生産するための灌漑用水である
  • 牛によって消費される水は約5%のみである

Beef's Role in Sustainable Diet | Beef - It's What's For Dinner
Graph: Executive Summary - Sustainability | BeefResearch

米国の牛肉生産の環境への影響:Jude Capperによる1977年と2007年の比較
骨なし牛肉1ポンドの
生産に
441ガロン
綿のTシャツ1枚の
生産に
713ガロン超
新車1台の製造に
39,090ガロン
ニューヨーク市の
給水設備からの
1日の漏水量
3,600万ガロン




水消費量

牛肉1ポンドあたりの
水消費量の絶対的リットル数


3,000
2,500
2,000
1,500
1,000
500

2005
2011

消費者
小売業
精肉・包装
収穫・と畜
と畜前の牛
収穫前の飼料・牧草

食品の廃棄

  • 米国は食品の約40%を廃棄し、全世界では生産されるカロリーの3分の1を廃棄している(サステナビリティ・エグゼクティブ・サマリー、BeefBoard.org、2015)
    全世界で野菜/果物の50~60%、肉類の10~20%が廃棄されている
  • 平均的な米国の家庭における食品廃棄コストは年間約2,500ドルに上る(サステナビリティ・エグゼクティブ・サマリー、BeefBoard.org、2015)
  • 牛肉の廃棄を半分に削減したら、産業全体の持続可能性を10%向上させることができる

Sustainability Executive Summary, BeefBoard.org, 2015
Beef Sustainability | Beef - It's What's For Dinner

耕作不能な 牧草地・ 放牧地

牛用飼料
有機肥料(堆肥)

牛用飼料
有機肥料(堆肥)

植物農業

牛および 牛肉生産

食品、繊維、バイオ燃料
肥料

食品、バイオ燃料、医薬品、その他
飼料用の植物由来の残り物

ジスチラーズグレイン

綿実

綿

エタノール

人の食品、繊維、 バイオ燃料の生産

Roundtable for Sustainable Beef(RSB)(持続可能な牛肉のための円卓会議)

米国RSB(USRSB)

U.S. Roundtable For Sustainable Beef
  • 2015年に結成された
  • 米国の業界の大部分が継続的改善に尽力し、消費者に気持ち良く米国産牛肉を食べてもらいたいと願っている
  • 国際RSBと連携している

国際RSB(GRSB)

Global Roundtable for Sustainable Beef
  • リーダーシップ、科学、多くの利害関係者の参画と協力を通じて、世界の牛肉バリューチェーンの持続可能性の継続的改善を推進するために発足した

資 料

NCBA

NPB

Frank Mitloehner博士-カリフォルニア大学デービス校

持続可能な牛肉のための円卓会議(米国)

米国サステナビリティ・アライアンス

米国ファーム・ビューロー

北米食肉協会