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TRADER'S Be & Po

vol.480 Oct.27.2025
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛、牛肉ともに急落後の底値探る
豚先物下落、カットアウトはベリー急落
トピック 乳用牛と肉用牛の交配牛生産、世界で増加傾向
ポーク関連ニュース 豚肉在庫低水準、ベリー、モモは5年平均比2割減
ワールドトレード 9月のブラジルの対米輸出、農産物40%減少
米国産食肉のメキシコ輸出を迅速化、初の試み
セーフティ関連 FDAがNWS予防治療薬を条件付きで初承認
リテール 消費者のデリ購入に大きな変化―FMI報告書
フードサービス アービーズがステーキナゲット新発売
ファクトシート ビーフ(2025年8月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛、牛肉ともに急落後の底値探る

 
 

生体牛現物とビーフカットアウト価格は、10月に入って急落した後、底値を探っている。カットアウト価格は、4週間で100ポンド当たり36.72ドル下落した。主要5州の去勢牛価格は、8月24日終了週に244.25ドルの新記録を樹立した後、6週間で13.49ドル下落。枝肉価格は同26.53ドル下落した。

9月29日〜10月4日週の生体牛価格は230.76ドル、枝肉は359.64ドル。前週比でそれぞれ1.89ドル、5.33ドル下落した。10月限の生体牛先物価格とは大幅な乖離が見られる。

連邦政府の閉鎖により、10月6日週の牛取引データは公開されていないが、生体牛の現物取引は非常に動きが鈍かった。水曜日までに取引が成立したのはアイオワ州・ミネソタ州のみで、490頭が生体牛価格230〜231ドルで売買された。

アナリストは、「相場見通しは良くても横ばい」だと予想している。サザンプレーンズ(南部平原)では供給がひっ迫しているが、コーンベルト地帯では出荷待ちの牛が増加している。秋季になり、牧草地の牛が移動する動きが増えるにつれて、肥育素牛の価格も弱含みで推移するだろう。

 

※2025年10月10日 Cattle Buyers Weekly

 
 

豚先物下落、カットアウトはベリー急落

 
 

10月3日のリーンホック先物取引は、12月限契約が前週比4%安、2月限は同3%安で取引を終えた。USDAの最新の豚飼養動向調査で、今後の供給が当初予想を大幅に下回ること示唆されたにもかかわらず、先物相場は下落した。

この動きが「噂で買って事実で売る」という象徴なのか、単に季節的な秋季の下落なのか、判断は難しい。同週の豚と畜頭数は260万頭で、前週比で約7万頭増加した。今後6週間のと畜頭数は260万頭前後で推移すると予想される。

政府機関閉鎖のために公式統計は発表されていないが、供給増加によって、既に多くのカットに値下げ圧力が強まっている。特に夏季までひっ迫していた加工用部位の値下がりが顕著だ。

10月3日の取引価格は、「72CL」が115ドルで前日比10ドル安、週間では15ドルの下落となり、「42CL」は3カ月ぶりに100ドルを下回った。しかし、カットアウト価格の全体を引き下げた最因は、ベリー(バラ)価格の急落だ。

同日のベリープライマルは153ドルで、9月初旬から30ドル(16%)下落した。この下落だけで、カットアウト価格全体を約5ドル引き下げている。ベリーは例年、秋に下落する傾向にある。ただし2022年と2024年は、小売の販促活動に関連して、10月下旬に一時的な上昇が見られた。

今年はQSR(クイックサービスレストラン)の売上が重要な要素となるが、小売販売も影響を受ける可能性が高い。7月と8月の高値が販促の減少につながるためだ。過去3年間、12月初旬のベリーは9月下旬と比較して15〜40%低下している。この傾向に基づけば、12月初旬のベリー価格は良くて130ドル台半ば、需要が鈍化すれば110ドルまで下落する可能性がある。

 

※2025年10月4日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  (左)2025年12月限のリーンホッグ先物価格の推移/ (右)ベリープライマルの価格推移
 
トピック

乳用牛と肉用牛の交配牛生産、世界で増加傾向

 
 

ラボバンク社のレポートによると、乳用母牛と肉用雄牛を交配させる手法(ビーフ・オン・デイリー)が、世界の牛肉サプライチェーンにおいて重要性を増しているという。

同社のレポート「Beefing up global dairy with dairy-beef」では、この手法が注目を集める要因を世界的な視点から分析し、地域ごとの異なるアプローチを紹介している。

ラボバンクのアナリストは、「世界的なタンパク需要への対応、動物倫理への注目の高まり、気候変動対策という三つの要請に同時に応える解決策として台頭している。酪農システムに肉牛生産を戦略的に組み込むことは、もはや不可欠な手法となりつつある」と述べている。

報告書は、この交配手法の増加の背景として、牛肉価格の上昇や「社会的許容圧」と呼ぶ要因を挙げている。この手法によって未活用の子牛を減らし、ライフサイクルの効率を向上させることが、業界のイメージや持続可能性を強化することにつながるからだ。

2000年代には、米国の肥育場における肥育用去勢牛・未経産牛のうち、肉用乳牛は300万〜330万頭だった。しかし繁殖戦略と子牛供給の変化によって、2020年以降は30%以上増加し、現在では約440万頭に達しているという。

米国ではビーフ・オン・デイリーの生産がビジネス水準に達しつつあることから、乳用交雑牛の価格水準は、米国が事実上のベンチマークを形成している。アイルランドやその他の地域では、肉用乳牛は新たな選択肢として台頭している。アイルランドでは、国全体の乳牛群の拡大を背景に、牛肉生産を乳業システムに統合するための戦略が進められている。

レポートでは、NZや豪州などでも肥育および処理能力に対する圧力が高まる可能性があるとし、その実現にはフィードロット施設、仕上げシステム、食肉加工場などのインフラへの投資が重要になると指摘している。

 

※2025年10月10日 Cattle Buyers Weekly

 
ポーク関連ニュース

豚肉在庫低水準、ベリー、モモは5年平均比2割減

 
 

USDAの食肉在庫レポートが10月に発表されるかどうかは、予算回復のタイミング次第であり、いまだ不透明だ。9月の報告では、豚肉在庫は依然として少なく、今後の豚肉供給が限られることを示していた。

8月末時点の豚肉冷凍在庫は3億9390万ポンド(前年同月比13.5%減)、過去5年平均比20.1%減だった。これは8月末としては2010年以来の最低水準であり、生産の減少と市場流通の増加の双方が反映されている。

8月の在庫の前月比は2.7%減。通常、この時期の在庫は小幅に増加する傾向にあり、長期平均増加率は0.6%だ。しかし今年は、モモやトリムなどの主要品目の高値によって通常の積み増しが抑制された。

バラの在庫は2360万ポンド(同8.5%減)、過去5年平均比19%減だった。前月比では25%減少したが、長期平均の36%減よりは小幅だ。これはバラの在庫が既に低い水準になっていたためだ。

モモの在庫は1億3010万ポンド(同14%減)、過去5年平均比では約20%減。今夏のモモの在庫抑制は、と畜頭数の減少と価格上昇の両方が影響している。このため、9月〜10月のモモの取引が増加するのではとの見方もあるが、夏の在庫積み増し不足が年末商戦の販売減につながる可能性が高いだろう。トリムの在庫も前月比15.5%減となり、この時期としては異例の低水準になっている。

 

※2025年10月4日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  豚肉の月末在庫量の推移
   
ワールドトレード

9月のブラジルの対米輸出、農産物40%減少

 
 

9月のブラジルから米国への農産物輸出額は39.8%減少し、6億7218万ドルとなった。関税問題の影響によって、輸出は1カ月で急激に落ち込み、ブラジルの農産物輸出全体に占める米国の割合は、前年同月の7.9%から4.5%に低下した。

主力品目では、パルプ、コーヒー生豆、牛肉、牛脂などが大きな打撃を受けた。最も急激な減少となったのは生鮮牛肉(5896万ドル減)で、次いで葉タバコ(4811万ドル減)、粗糖(4720万ドル減)、コーヒー生豆(4309万ドル減)など。

1〜9月の対米農産物輸出額は91億3000万ドル(前年同期比7.6%増)を維持しているが、輸出業者は迅速な再調整へと動いている。牛肉の輸出量は中国へシフトし、欧州の一部地域への輸出が増加している。

 

※2025年10月14日 FOODMARKET.com

 
 

米国産食肉のメキシコ輸出を迅速化、初の試み

 
 

米国農務省食品安全検査局(USDA-FSIS)は、米国産食肉・家きん類製品のメキシコ向け鉄道輸出を迅速化するための新たな枠組みを支援している。メキシコとの提携により、メキシコ国家農産食品衛生安全品質局(SENASICA)の職員が連邦検査施設で再検査を実施し、合格した米国産食肉の出荷地での輸出許可を行う。

SENASICAの職員は、米国内の連邦認定施設(FSIS検査対象施設)において再検査を実施し、その場で輸出適格品として認証する。「出発地点」で検査を済ませることで、メキシコ側の国境地点で行っていた通常の検査が不要となる。

FSISによると、この新しい手続きにより、メキシコ当局による国境での検査が省略されるため、輸出効率が大幅に向上する。こうした取り決めは、米国の食肉業界にとっては初の試みとなる。プログラムへの参加は任意であり、米国の輸出業者に新たな規制要件を課すものではない。メキシコは現在、米国産食肉類の最大の輸出先で、2024年の貿易額は55億ドルを超えている。

 

※2025年10月10日 Cattle Buyers Weekly

 
セーフティ関連

FDAがNWS予防治療薬を条件付きで初承認

 
 

米国食品医薬品局(FDA)は、牛における新大陸スクリューワーム(NWS)寄生に対する初の予防治療薬を条件付きで承認した。「デクトマックス-CA1」注射液として知られるこの治療薬は、最大21日間の再寄生の予防にも使用できる。

FDAのマーティ・マキャリー長官は「今回の条件付き承認は、NWSの治療薬として米国初のものであり、重要な動物用医薬品の使用を迅速に進めるというFDAの姿勢を示すものだ。今後も米国内の動物種を守るために、他のNWS関連製品についても審査を進めていく」と述べている。

動物用医薬品会社ゾエティスが開発した「デクトマックス-CA1」注射液は、250mLと500mLのボトルで提供される。FDAによれば、製品ラベルには「デクトマックス」と「デクトマックス-CA1」の両方の適応症が記載されるが、各薬剤には固有の申請番号が付与される。「デクトマックス」は既に、牛および豚における特定の線虫および節足動物寄生虫の治療・駆除を目的とした新規動物用医薬品申請(NAVA)に基づき完全承認されている。

 

※2025年10月3日 Cattle Buyer’s Weekly

 
リテール

消費者のデリ購入に大きな変化―FMI報告書

 
 

食品産業協会(FMI)のレポートによると、米国の消費者の外食習慣に大きな変化が生じているという。消費者の間では、レストランでの食事に代わって、調理済み食品を選ぶ傾向が強まっている。

同レポート「The power of Foodservice at Retail 2025」によれば、現在アメリカ人の53%が食事の際には複合的な方法、つまり総菜と自宅の食材を組み合わせて使っている。FMIの調査担当シニアマネージャーは、「消費者にとって総菜とは、単なる便利な選択肢ではなく、レストランでの食事に代わる選択肢となりつつある。消費者は品質やバリエーションだけでなく、時間とお金を節約できる食事を求めている」と述べている。

過去12カ月間で、小売店内調理食品の売上高が1.6%増加して521億ドルに達したことも、この傾向を裏付けている。FMIの生鮮食品担当副社長は、「小売業者にとって、昼食と夕食の時間帯は絶好の機会だ。買い物客は、正午から午後5時までの間に総菜コーナーの調理済み食品を最も頻繁に購入しており、調理済み食品と自宅の食材を組み合わせて、栄養バランスが取れた食事を短時間で作りたいと考えている」と分析。

「小売業者にとっては、看板商品を持つことが重要なアピールポイントになる。高品質でおいしい総菜で消費者の負担を減らすことができれば、消費者はその商品を求めて何度も来店するだろう」と指摘している。

 

※2025年9月26日 FSIS News Release

 
フードサービス

アービーズがステーキナゲット新発売

 
 

最近の外食産業ではチキンメニューの勢いが増しているが、ファストフード・チェーンのアービーズは、革新的なビーフメニューに賭けようとしている。「We Have the Meats(肉なら任せて)」というスローガンのもと、同社は期間限定でステーキナゲットを発売した。

同社の最高マーケティング責任者は、「柔らかくて風味豊かなステーキは、誰もが好むメニューだが、外出先で手軽に食べられるものではなかった。この革新的な新商品を開発したのはそのためだ。アメリカで人気の2つの食品、ナゲットとステーキを組み合わせて、アービーズ・ステーキナゲットが誕生した」と語っている。

一口サイズのビーフナゲットは、焼き目をつけて、燻製され、以下の3種類のスタイルで提供される。いずれもナイフは不要、フォークはお好みで。

  • ステーキナゲットのメインディッシュは5個入りまたは9個入り、フォークとヒッコリー BBQソース付き。
  • ステーキナゲットサンドイッチは、トーストしたバンズにステーキナゲット、ハヴァルティ チーズ、クリスピーオニオン、スパイシーピクルス、マヨネーズを挟んだもの。
  • ステーキナゲットボウルは、クリーミーなホワイトチェダーのマカロニチーズの上に ステーキナゲット、クリスピーオニオンを乗せたもの。

 

※2025年10月8日 FOODMARKET.com

  We Have the Meats
 
 

ビーフ・ファクト・シート