印刷する
 

TRADER'S Be & Po

vol.474 Jul.22.2025
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 牛肉小売価格が過去最高更新、カットアウト上昇
と畜減と在庫低下が豚価下支え、秋冬季は不透明
ポーク関連ニュース 豚肉在庫のひっ迫続く、バラ28%減、モモ13%減
生産動向 フィードロット飼養頭数、2017年以来の低水準に
関税問題 中国に対する新たな関税を延期、日本は変更なし
トピック 中国・四川省でアフリカ豚熱の発生確認
ファクトシート ビーフ(2025年6月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
定期購読(無料)の登録はこちら バックナンバーはこちら
   
市況ニュース

牛肉小売価格が過去最高更新、カットアウト上昇

 
 

牛肉の小売価格は、7月に過去最高値を更新した。USDA(米国農務省)が発表した7月の生鮮牛肉の平均小売価格(ポンド当たり)は8.90ドル(前年同月比9.2%高)で、前月比0.27ドル高、前年同月比では0.75ドル高となった。チョイスの平均小売価格は9.69ドル(同15%高)で前月比0.42ドル高、前年同月比では1.26ドル高。

アナリストは、「この価格上昇が牛肉販売に与える影響を注視している。現状では、レイバーデー(9月1日)の連休需要に向けた買い付けがカットアウト価格を押し上げているが、牛肉消費の実勢が現れるのは連休後になるだろう」という。

8月4日の週のカットアウト価格(100ポンド当たり)は平均367.72ドルで、前週比4.03ドル上昇した。チョイスは367.01ドルで同0.52ドル高、セレクトは346.17ドルで同0.80ドル高。

8月11日の週は、前半4日間でチョイスが14.95ドル上昇し、393.79ドルとなった。と畜頭数の減少も一因だが、9月1日までは連休向け需要のため、カットアウト価格は上昇基調が続くと予想される。

一方、生体牛の現金取引価格は、8月4日週の主要5州における去勢牛平均価格が242.01ドル、枝肉は381.25ドルだった。前週の記録的な水準から、それぞれ1.16ドル、2.43ドル下落。

8月11日週は、火曜日に北部で2012頭が生体牛245ドルと枝肉385ドル、カンザスでは134頭の生体牛が232ドルで取引された。水曜日は北部で生体牛が244〜245ドルと枝肉385ドル。木曜日には生体牛が240〜247ドル、枝肉376〜385ドルと幅広い価格で取引された。

 

※2025年8月15日 Cattle Buyers Weekly

 
 

と畜減と在庫低下が豚価下支え、秋冬季は不透明

 
 

USDAの6月の豚飼養動向調査では、120〜179ポンドの飼養頭数が前年比0.5%増、2023年比では6.4%増となっていた。これは、7月後半から8月前半にかけて豚のと畜頭数が増加に転じることを意味するが、直近2週間のと畜頭数は週平均233万頭で、前年同期比2.9%減となり、2023年同期比でも微減している。

USDAは実際のデータ集計後に、豚のと畜頭数の予想値を下方修正している。4月以降の週間と畜頭数は、平均で7000頭ずつ下方修正された。と畜頭数の減少の一因としては、労働問題(不法移民摘発)が指摘されている。しかし、それが主因であれば豚の重量の方は増加するはずだが、その兆候は見られない。

と畜頭数の減少に加えて、在庫の低下も生体豚価格を下支えしている。6月末の豚肉在庫は2010年以来の最低水準を記録した(別項参照)。と畜の減少と在庫不足に直面したユーザーは、数量確保のために買い値を上げざるを得ず、とりわけ加工用部位にこの傾向が顕著に現れている。

ただ、スポット価格が堅調にもかかわらず、先物価格には値下げ圧力がある。貿易に関する不透明感が大きな要因の一つだ。米国産豚肉は生産量の4分の1が輸出されている中、投機資金はロングポジション(買い持ち)を縮小する方向に動いている。多くの国との関税合意が不透明な状況下で、変動リスクが顕在化している。

 

※2025年7月28日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  米国の週当たりの豚と畜頭数の推移
  ポークカットアウト価格の推移
 
ポーク関連ニュース

豚肉在庫のひっ迫続く、バラ28%減、モモ13%減

 
 

6月末の豚肉在庫量は4億2230万ポンド(前年同期比11.1%減)で、過去5年平均を約20%下回り、6月末としては2010年以来の低水準となった。前月比は6.3%減で、例年の季節的な傾向と一致はするものの、スポット市場の供給ひっ迫感がさらに強まり、豚肉価格の上昇要因となっている。

特にバラの在庫は4400万ポンド(同28%減)で、過去5年平均比19%減とひっ迫している。前月比は16.7%減で、通常の季節的な減少幅を上回っているため、バラの価格は当面、強気が続くだろう。

モモの在庫は1億1090万ポンド(同13.5%減)、過去5年平均比では約20%減となっている。輸出の減速傾向が見られるものの、在庫の低下は第3四半期のモモ価格が堅調に推移することを示す好材料だ。トリムの在庫は季節的な傾向に沿って6.3%減少したが、前年同月に近い水準を維持している。

 

※2025年7月28日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  米国の豚肉の月末在庫量の推移
 
生産動向

フィードロット飼養頭数、2017年以来の低水準に

 
 

8月のフィードロット飼養頭数は、2017年以来の最低水準となる1090万頭(前年同月比2%減)で、過去5年平均比では30万頭の減少となる見込みだ。

7月の導入頭数は前年比8〜10%減で、出荷頭数は6%減と見込まれる。導入頭数の減少は、去勢牛・未経産牛のと畜頭数が予想を下回ったことを反映している。

アナリストは、「8月1日現在のフロントエンド(肥育期間150日以上)の肥育牛は280万9000頭と推定される。これは前年同月比5.5%増で、過去5年平均比では1.1%増・28万1000頭の増加となる」と予想している。

枝肉重量のデータも、フロントエンドの肥育牛の供給が引き続き多いことを裏付けている。季節的に見て、枝肉重量は11月から12月にかけて上昇傾向に転じるはずだ。飼料穀物価格を勘案すると、肥育牛の販売価格に対しての増量コストは安く、肥育業者は引き続き重量を増やす方向に動くと見られる。今年の残りの期間においても、枝肉重量は前年を上回る水準で推移することが見込まれる。

 

※2025年8月15日 Cattle Buyers Weekly

 
関税問題

中国に対する新たな関税を延期、日本は変更なし

 
 

トランプ大統領は8月11日、中国に対する関税の施行を90日間延期し、11月10日まで延長する新たな大統領令に署名した。これに対して、USMEF(米国食肉輸出連合会)は、「中国の米国産豚肉と牛肉に対する関税がさらに上昇しないことは安堵材料だが、中国への持続可能なアクセス確保の必要性は依然として緊急課題だ」と述べている。

中国が米国産豚肉および豚内臓の大部分に課す関税率は57%。米国産牛肉の関税率は32%だが、中国が工場の登録を更新しなかったため、対象となる米国産牛肉はごくわずかだ。

USMEFによると、6月の日本向け牛肉輸出量は1万9993トン(前年同月比10%減)。輸出額は1億4730万ドル(同19%減)だった。上半期の輸出量は12万4005トン(同2%減)で、輸出額は9億2030万ドル(同6%減)。

トランプ政権は最近、日本との貿易・投資協定を発表したが、牛肉市場アクセスに関する重大な変更はない。日本の米国産牛肉に対する関税率は現在、主要輸入市場で最高水準の21.6%だが、2020年に締結された日米貿易協定に基づき、2033年までに9%に段階的に引き下げられる。

6月の牛肉輸出額は、肥育牛1頭当たりに換算すると392.72ドルに相当し、前年同月比では14%の減少となる。1〜6月の平均は410.00ドルで、2024年上半期比で2%減。6月の牛肉生産量に占める輸出比率は13.1%(正肉単体10.9%)で、前年同月は15%(同12.8%)だった。1−6月累計は13.5%(同11.3%)で、いずれも前年同期比で約0.5ポイント低下した。

 

※2025年8月15日 Cattle Buyers Weekly

 
トピック

中国・四川省でアフリカ豚熱の発生確認

 
 

国際獣疫事務局(WOAH)の報告書によると、中国・四川省でアフリカ豚熱(ASF)の確定症例210件と、感染の可能性がある795件が報告された。広西チワン族自治区農業農村庁が7月25日に発生を報告した。

同庁は、「発生後、現地当局は緊急対応計画に従い、感染地域と危険地域における封鎖措置、豚の殺処分、無害化処理、消毒などの緊急対応措置を直ちに実施した」としている。報告時点において、発生現場周辺の10km監視区域内で新たな感染例は確認されていない。

中国、日本、韓国は8月11日の農業大臣会合後、情報共有の強化と共同研究を含む新たな協力プロトコルを開始すると発表した。中国では、2018年8月3日に遼寧省瀋陽市で初のASFが確認され、感染が多くの地域に拡大。推計では、2018年末から2021年初めまでの期間、中国の豚肉生産量は2790万トン減少した。

感染によって豚肉供給に深刻な混乱が生じ、価格は記録的な高水準に達した。このため、中国は豚肉の輸入を急激に増加させたことから、世界の豚肉貿易に大きな変化をもたらした。

 

※2025年7月25日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

ビーフ・ファクト・シート