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TRADER'S Be & Po

vol.474 Jul.22.2025
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース カットアウト下落、生体牛は横ばい
供給動向 豚肉供給見通し、生産性向上で緩やかな増加
輸出動向 5月の米国産食肉の対中輸出、高関税で激減
関税問題 ブラジル製品への50%関税で牛ひき材価格上昇
ポーク関連ニュース 米国の豚肉在庫ひっ迫続く、過去10年間で最低
トピック 豪州食肉業界、カーボンニュートラル目標撤
USMEFインフォメーション 8月7日に札幌でアメリカンミートセミナー開催
ファクトシート ビーフ(2025年5月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

カットアウト下落、生体牛は横ばい

 
 

独立記念日(7月4日)の連休の終わりとともに、ビーフカットアウト価格は下落に転じた。7月第2週のカットアウト価格(100ポンド当たり)は、前半4日間でチョイスが5.09ドル下落して384.66ドルに、セレクトは同7.58ドル値下がりして370.86ドルとなった。

7月第1週のカットアウト総合(カット・ひき材・トリム)平均価格は388.64ドルで、前週比3.30ドル高。チョイスは386.35ドル・同3.46ドル高、セレクトは375.36ドル・同3.58ドル高だった。

例年、7月の牛肉需要は6月よりも弱い。暑くなるにつれて、バーベキューを控えて、火を使わないメニューや鶏肉を食べることが増えるためだ。この傾向は今年も同じだろう。ただ、牛肉供給の減少の中で、牛ひき材(90CL)は7月に入っても408.95ドルと、高値更新を続けている。

一方、生体牛の現物取引価格は横ばいを維持している。7月第1週の主要5州の去勢牛平均価格は229.43ドル、枝肉は369.30ドル。それぞれ前週比で0.08ドル安、0.22ドル安。第2週は、火曜日にカンザス州で生体牛1136頭が225 ドル、木曜日午前にはコーンベルト地帯で生体牛が232〜235ドルで取引された。

牛枝肉重量は、引き続き前年同月を大幅に上回っている。6月最終週の肥育牛(去勢牛・未経産牛)の全体平均重量は865ポンド、前年同期比24ポンド増。これに伴い、プライムとチョイスの格付け割合は、合計で84.47%と依然として高い水準を維持している。

 

※2025年7月11日 Cattle Buyers Weekly

 
供給動向

豚肉供給見通し、生産性向上で緩やかな増加

 
 

USDAが発表した豚飼養動向調査(6月度調査)で示された今後の豚肉供給と市況見通しのポイントは以下のとおり。

  • 今秋から冬季にかけての豚肉供給は、生産性の向上を背景に緩やかに増加する。
  • 晩夏の供給は予想以上に増加する可能性があり、レイバーデー(9月第1月曜日)後に値下げ圧力が強まる可能性がある。
  • 秋季の先物価格は、スポット供給のひっ迫やPRRSへの懸念を背景に上昇しているが、今後は下ぶれリスクが強まる。
  • 一腹当たり産子数は当初予想を上回っており、繁殖豚が横ばいでも生産性の改善によって供給の緩やかな拡大が続いている。
  • 夏季:12〜2月の子豚生産頭数(6〜8月出荷)は、3月度調査で0.2%下方修正されたが、最新の報告では変更はなかった。現時点では、春後半から夏前半にかけての供給量は前年同期比で減少(180ポンド超の飼養頭数0.6%減)、7月後半から8月にかけては増加する見込みである。120〜179ポンドの豚の飼養頭数は1526万頭(前年同期比0.5%増)。
  • 秋季:繁殖豚の飼養頭数は7四半期連続で横ばいであることから、生産者は母豚の生産を抑制しながら、生産性の向上によって供給量を増やそうとしている。3〜5月期の子豚生産頭数は3417万1000頭(同1.3%増)。50ポンド未満の豚は同1.2%増。

昨年10〜11月の週平均と畜頭数が約261万頭だったことから判断すると、今年は264万頭余りとなる見通しだ。現在、7月限のリーンホッグ先物価格は前年比28.5%高。10月限は同12%高(10ドル高)で取引されており、今夏と同様に堅調な需要が豚肉価格を下支えすると予想している。

  • 冬季〜来春:6-8月期の分娩頭数について、生産者は0.4%減と予測している。これは6月1日時点の?殖豚数と一致する。また、一腹当たりの産子数の増加率は、コロナ以前の傾向線とほぼ一致している。この傾向が今夏も継続した場合、6〜8月の一腹当たり産子数は1.3%増加し、子豚生産頭数は0.9%の増加となる。
 

※2025年6月16日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  米国の子豚生産頭数の前年比の推移(四半期毎)
  米国の繁殖豚の飼養頭数の推移(左)/米国の一腹当たりの産子数の推移(四半期毎)(右)
 
輸出動向

5月の米国産食肉の対中輸出、高関税で激減

 
 

5月の米国産豚肉および牛肉の輸出は、中国が課した高関税によって大きな打撃を受けた。4月から5月前半にかけて、中国が米国産豚肉に課した関税率は172%、米国産牛肉は147%に達した。

5月14日の共同発表で、関税率は90日間の一時緩和が発表されたものの、それでも現在の関税率は米国産豚肉57%、米国産牛肉32%と、依然として高い。さらに中国は、米国の牛肉加工施設と冷蔵倉庫の輸出認可登録を更新していないため、米国産牛肉の大部分が輸出対象外となっている。

米国食肉輸出連合会(USMEF)によると、5月の牛肉輸出量は9万7266トン(前年同月比12%減)。輸出額は7億9870万ドル(同11.5%減)となり、18カ月ぶりの最低水準を記録した。豚肉輸出量は22万4162トン(同11%減)。輸出額は6億4650万ドル(同10%減)で、2023年9月以来の月間最低水準となった。

中国向けの輸出量は、豚肉が7521トン(同81%減)、牛肉は5639トン(同68%減)で、いずれも激減した。USMEFのダン・ハルストロム会長兼CEOは、「中国の状況が5月の輸出に深刻な影響を与えたことは明らかであり、代替市場の多様化とさらなる開拓の重要性が浮き彫りになった」と述べている。

中国との交渉が期限切れとなる8月12日には、関税が再び急上昇する可能性があるため、輸出業者は中国向けの生産を継続するか否かの決定に悩んでおり、米中貿易交渉の進展は急務だ。

5月のメキシコへの豚肉輸出量は9万7697トン(同7%増)と、引き続き好調だ。メキシコは米国製品に対して報復措置を講じてはいないが、7月14日にメキシコ産トマトの輸入に対して21%の反ダンピング関税が発効することから、報復措置の可能性もある。メキシコは報復措置の対象リストを公表していないが、USMEFによると米国産豚肉も対象候補として挙げられているという。

1月から5月までのコロンビア向け出荷量は、昨年記録した最高値を突破するペースで推移しており、57,970トン(18%増)、$165.8百万ドル(23%増)。次回の記事で牛肉の輸出状況について報告する。

 

※2025年7月11日 Cattle Buyers Weekly

 
関税問題

ブラジル製品への50%関税で牛ひき材価格上昇

 
 

食肉のトレーダーやアナリストは、「ブラジルからの輸入品に50%の関税を課す計画は、米国のハンバーガーに使用される牛肉価格の上昇につながる可能性が高い」と見ている。

アナリストは、「米国内の牛肉生産が減少する中、食品メーカーは輸入牛肉への依存度を強めているが、関税によってブラジル産牛肉の輸入は大幅に減少し、食品メーカーは他国からの調達を余儀なくされるだろう。牛肉の供給がますますひっ迫して大きな打撃となる」という。

牛肉輸入企業のコンサルタントは、「もし関税案が修正されなければ、ブラジル産牛肉の輸入は完全に止まるだろう」と見通す。今年1〜5月のブラジル産牛肉の輸入量は、前年同期の2倍以上の17万5063トンで、輸入シェアは21%に達している。

すでに関税割り当て枠を超過していることから、「8月1日から50%関税が適用されると、年内のブラジル産牛肉の関税率は約76%に上昇する。輸入者は対応すべき方策がない。ブラジルとの牛肉貿易は凍結されるだろう」と指摘する。

アメリカ企業は、ブラジルやその他の国から赤身の牛肉を輸入し、それを国内産の牛肉と混ぜてハンバーガー用のひき肉を作っている。消費者は、肉の高価格に対して概ね支払う意志を示しているが、今回の関税はそれらの牛肉需要を試す新たな局面になるだろう。

商品アナリストは、「輸入業者は豪州、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイからの購入を増加させる可能性がある」と指摘するが、別のアナリストは、「豪州はすでに可能な限りの量を輸出している。世界の限られた量を配分するためには、当然ながら価格は上昇する」と指摘する。

全米レストラン協会の副会長は、「関税の大幅引き上げは、新たな供給元を探す中で、メニュー計画や食品コストに大きな影響を与える可能性がある」と述べている。

 

※2025年7月11日 Cattle Buyers Weekly

 
ポーク関連ニュース

米国の豚肉在庫ひっ迫続く、過去10年間で最低

 
 

USDAの5月度冷凍在庫報告書によると、豚肉の冷凍在庫量は4億5090万ポンドで、4月から1.1%(520万ポンド)減少し、過去10年間で最も低い水準を記録した。前年同月比では6.6%(3100万ポンド)少なく、依然としてひっ迫した状況が続いている。

特にバラの在庫は5300万ポンド(前年同月比6.9%減)と少ない。一方、モモの在庫は2カ月連続で大幅に増加した。骨付きモモは1380万ポンド(同37.7%増)、骨なしモモは550万ポンド(同10.7%増)。

この急激な増加は、晩夏から初秋の販促キャンペーンに向けた季節的な在庫積み増しを反映しているが、国際市場への輸出の動きがやや鈍く、国内にとどまる製品が増えたことも要因と見られる。

 

※2025年6月24日 NCBA News Release

  米国の豚肉在庫の推移
 
トピック

豪州食肉業界、カーボンニュートラル目標撤回

 
 

豪州の畜産団体は、2030年までにカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出実質ゼロ)を達成するという目標を撤回したと発表した。ただし、排出量削減は引き続き最優先事項として取り組む。

このカーボンニュートラルの誓約は2017年に初めて発表されたが、今6月に公表されたMLA(豪州家畜生産者食肉団体)の長期戦略文書からは記述が削除された。マイケル・クロウリー代表は、「目標達成には、より多くの時間・支援・投資が必要だ」と語った。

豪州の食肉業界の諮問機関であるレッドミート・アドバイザリー・カウンシルも、2030年の気候中立目標を戦略から外した。こうした動きは、近年、気候変動への対応目標を縮小・後退させる政府や企業が増えている傾向と一致している。

畜産業界の当初の2030年目標は、排出量を削減し、残る排出量を土壌や植物への炭素固定で相殺することを目指して、メタン排出量の少ない家畜の品種改良、海藻などの飼料添加物による腸内メタンの生成抑制、土壌炭素吸収技術の向上などの取り組みを進めてきた。

豪州の科学機関CSIROによると、赤身肉産業からの排出量は2005年から2021年までに78%減少したが、これは、土地の開墾の減少と国内の牛群の減少によるもので、1頭当たりのメタン排出量の減少によるものではないとしている。

 

※2025年6月26日 FOODMARKET.com

 
USMEFインフォメーション

8月7日に札幌でアメリカンミートセミナー開催

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)は、「アメリカンミートトレードセミナー 2025 IN札幌」を開催します。本セミナーでは、アメリカンビーフ&ポークの市場動向とUSMEFの販促計画をご説明するとともに、メンバー企業等によるパネルディスカッションでアメリカンミートに関する最新情報の提供と商品提案を行います。

テイスティングセッションでは、USMEFの2025年推奨メニューを中心に、ビーフならびにポークの焼肉・BBQ・ステーキ・バーガーなどの多彩なメニューの試食をお楽しみいただけます。参加希望の方は、下記の申込フォームからご送信ください。

アメリカンミートトレードセミナー&テイスティングセッション2025
IN 札幌

〜米国の食肉市場の最新動向と提案メニュー試食会〜

● 開 催 日 時 ●

2025年8月7日(木)
15:00〜18:30(受付開始14:30)
主催:米国食肉輸出連合会(USMEF)

● 開 催 場 所 ●

札幌パークホテル 3階「パークホール」
札幌市中央区南10条西3丁目1-1

《主なプログラム》

【 第 1 部 】
情報提供セミナー…15:00〜
◎米国の食肉市場の最新動向
◎USMEFの販促活動のご説明
◎USMEFメンバー企業によるパネルディスカッション&プレゼンテーション

【 第 2 部 】
テイスティングセッション…17:30〜18:30
USMEFの2025年推奨メニューを中心に、アメリカンビーフ・ポークそれぞれの焼肉・ステーキ・BBQ・バーガーなど多彩なメニューを、着席ビュッフェ形式でご試食いただけます。

【 定 員 】

120名

【 参加費 】

無料(テイスティングセッションからの参加はご遠慮下さい)

【 申込方法 】

申込フォームに必要事項をご記入の上、7月28日までに送信下さい。
(定員になり次第締め切らせていいだきますことを予めご了承願います)

◆申込フォーム https://forms.gle/9axygHaUmJRa8dWR7

 
 

ビーフ・ファクト・シート