5月の米国産豚肉および牛肉の輸出は、中国が課した高関税によって大きな打撃を受けた。4月から5月前半にかけて、中国が米国産豚肉に課した関税率は172%、米国産牛肉は147%に達した。
5月14日の共同発表で、関税率は90日間の一時緩和が発表されたものの、それでも現在の関税率は米国産豚肉57%、米国産牛肉32%と、依然として高い。さらに中国は、米国の牛肉加工施設と冷蔵倉庫の輸出認可登録を更新していないため、米国産牛肉の大部分が輸出対象外となっている。
米国食肉輸出連合会(USMEF)によると、5月の牛肉輸出量は9万7266トン(前年同月比12%減)。輸出額は7億9870万ドル(同11.5%減)となり、18カ月ぶりの最低水準を記録した。豚肉輸出量は22万4162トン(同11%減)。輸出額は6億4650万ドル(同10%減)で、2023年9月以来の月間最低水準となった。
中国向けの輸出量は、豚肉が7521トン(同81%減)、牛肉は5639トン(同68%減)で、いずれも激減した。USMEFのダン・ハルストロム会長兼CEOは、「中国の状況が5月の輸出に深刻な影響を与えたことは明らかであり、代替市場の多様化とさらなる開拓の重要性が浮き彫りになった」と述べている。
中国との交渉が期限切れとなる8月12日には、関税が再び急上昇する可能性があるため、輸出業者は中国向けの生産を継続するか否かの決定に悩んでおり、米中貿易交渉の進展は急務だ。
5月のメキシコへの豚肉輸出量は9万7697トン(同7%増)と、引き続き好調だ。メキシコは米国製品に対して報復措置を講じてはいないが、7月14日にメキシコ産トマトの輸入に対して21%の反ダンピング関税が発効することから、報復措置の可能性もある。メキシコは報復措置の対象リストを公表していないが、USMEFによると米国産豚肉も対象候補として挙げられているという。
1月から5月までのコロンビア向け出荷量は、昨年記録した最高値を突破するペースで推移しており、57,970トン(18%増)、$165.8百万ドル(23%増)。次回の記事で牛肉の輸出状況について報告する。
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