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TRADER'S Be & Po

vol.473 Jul.7.20253
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛・牛肉価格ともに最高値更新続く
供給減で豚肉価格上昇、出荷減と枝肉重量低下
ワールドトレード メキシコからの生体牛輸入禁止、牛価格の底上げ
トピック NWSの北上阻止へ向けた5本柱の対策発表-USDA
米国の2024年の牛肉販売額は800億ドル超え
今春の記録的な販売実績を報告―CAB
リテール ウォルマートがカンザス州に牛肉施設を開設
ファクトシート ポーク(2025年5月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛・牛肉価格ともに最高値更新続く

 
 

米国の生体牛と牛肉卸売価格は、最高値の更新を続けている。6月第2週の肥育牛価格は、主要5州の去勢牛の平均価格(100ポンド当たり)が238.91ドル。前週比では2.29ドル高と、9週連続で最高値を更新した。前年同期比では24.0%高、9週間で31.21ドルの上昇だ。

枝肉の平均価格は380.06ドルで、過去最高値である前週の380.34ドルから0.28ドル下落したものの、前年同週比では24.4%高だった。

6月第3週は、水曜日までの取引は北部が主体で、生体牛が235〜240ドル、枝肉は375〜380ドル。南部の取引はカンザスのみで、生体牛が229〜231ドルをつけた。

カットアウト価格も引き続き高騰している。牛肉の生産量が激減したパンデミック時の最高値には及ばないものの、6月第2週のカットアウト総合(カット・ひき材・トリム)平均価格は389.12ドルと、前週(384.62ドル)よりさらに上昇した。

第3週は、前半の4日間でチョイスが15.91ドル上昇して393.79ドル、セレクトは同11.09ドル高の374.59ドルとなった。アナリストは、「生体牛の先物市場は引き続き堅調だ。子牛価格が安定しており、若齢牛価格も上昇基調を維持している。カットアウト価格は季節的な上昇傾向を維持しているが、パッカーマージンは大幅な赤字になっている」という。

6月14日までの4週間平均の牛と畜頭数は、前年比7%減。肥育牛の5月31日までの4週間平均も同7%減だった。ノンフェッドの肉牛は同8%減。7月の肥育牛の出荷頭数は、前年比で横ばいから小幅減少と予想されており、歴史的な高値が続くだろう。

 

※2025年6月20日 CATTLE BUYER’S WEEKLY

 
 

供給減で豚肉価格上昇、出荷減と枝肉重量低下

 
 

7月限の生体豚先物価格は、2月中旬時点では、106ドル前後だった。これに相応するカットアウト価格は112〜115ドル。当時のカットアウト価格はすでに100ドルを超えていたことから、この水準は無理のない想定だった。

しかし、4月に入ってカットアウト価格は失速した。関税を巡る不透明感から、先物価格が値下がりしたことが影響した。現在は先物価格が回復しており、カットアウト価格も当初の予想に近づいている。

週当たりのと畜頭数が240万頭を下回り、供給が引き締まったことで、価格に上昇圧力が加わっている。6月13日のカットアウト価格の終値は118ドルと、前年比で17ドル近く高い。原因の大部分は、ベリーとハム(モモ)の価格上昇によるものだ。

プライマルのベリー価格は184ドルと前年比で36%高く、カットアウト全体の上昇の約半分を占める。ハムは114ドルで同37%高、カットアウト上昇への寄与度はベリーとほぼ同様である。

在庫薄(5月1日時点でベリーは前年比22%減)と、季節的な出荷頭数の減少、さらには枝肉重量の低下が、供給のタイト感を増幅させている。6月第2週のと畜頭数は、前年比2.5%減の235万5000頭。平均枝肉重量は214.6ポンドで、同0.7%減だった。

この時期の出荷減と枝肉重量の低下は例年のパターンだが、今年の傾向として興味深いのは、パッカー所有豚の重量が前年同期比で1.8%減少していることだ。これは、パッカーが一般市場で豚を調達するのが難しくなり、自社所有豚を前倒しでと畜していることを示唆するものだ。

 

※2025年6月16日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  ポークカットアウト価格の推移
  カットアウトのパーツ別価格の前年比較
				(2025年6月13日Vs 2024年6月14日) (左)/豚枝肉重量の推移(週5日移動平均) (右)
 
ワールドトレード

メキシコからの生体牛輸入禁止、牛価格の底上げ

 
 

新大陸スクリューワーム(NWS)の蔓延を受け、5月11日にメキシコからの牛の輸入が禁止されたことで、米国の肥育素牛の供給が逼迫している。素牛価格は、通常は季節的傾向として夏季に軟化するが、今夏は牛価格全体を底上げする可能性がある。

2024年のメキシコからの生体牛の輸入頭数は100万頭を超え、主にサザンプレーンズの肥育場に導入されてきた。テキサスA&M大学のデビッド・アンダーソン氏は「今回の輸入停止は、と畜頭数に大きな影響を及ぼし始めている」という。

また、MBSリサーチのマイク・サンズ氏は、「子牛の生産頭数の減少と、メキシコおよびカナダからの輸入減少により、肥育素牛の供給は引き続き逼迫している。未経産牛の留保と、子牛の生産頭数が過去に過大評価されていたことで、牛の供給はさらに逼迫し、夏の終わりから秋にかけてフィードロットへの導入頭数は確実に減少するだろう」と予想している。

フィードロットにおけるフロントエンド(肥育日数150日以上の牛)の供給は多いものの、5月の出荷ペースは鈍かった。ベーシス(先物に対する現物の価格優位)が強いため、肥育業者は慎重ながらも強気姿勢を崩していない。

 

※2025年6月20日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
トピック

NWSの北上阻止へ向けた5本柱の対策発表-USDA

 
 

6月18日、USDAのブルック・ロリンズ長官は、新大陸スクリューワーム(NWS)の北上を阻止するため、テキサス州南部の不妊虫放飼施設の建設に850万ドルを投じると発表し、同時に、拡大阻止へ向けた包括的な「5本柱」の対策を打ち出した。

NWSは、家畜・野生動物・ペットに壊滅的な被害をもたらす寄生虫で、米国南部の畜産業や野生生態系に対する深刻な脅威となっている。「5本柱」の対策のポイントは以下のとおり。

  • メキシコでの拡大阻止と根絶支援:メキシコ・メタパの既存施設の改修に2100万ドルを投じ、週当たり1億6000万匹以上の不妊虫を供給する。監視・技術支援を強化し、メキシコ政府と連携を深める。
  • 米国国境の防衛強化:APHIS(動植物検疫所)と税関・州当局が連携し、メキシコ側の戦略的なトラップ設置の支援、牛マダニ監視員による監視、住民向けの広報活動の強化などを通じて、国境沿いの違法家畜の侵入を阻止する。
  • 緊急対応力の最大化:州当局と連携し、緊急対応計画の改訂や訓練を実施。同時に不妊虫処理薬の確保と規制緩和も進める。
  • 積極的な駆除活動:モーア空軍基地に不妊虫放飼施設を直ちに建設し、北メキシコでの対応を強化する。将来的には、最大週3億匹の供給体制構築を視野に、国内生産施設も整備する。
  • 技術革新による根絶:不妊虫技術の改良、トラップや誘引剤の進化、新薬や遺伝子改変技術の可能性を模索。国境州の大学とも連携し、現場対応力を底上げする。

今回の発表を受けて、連邦議会、NCBA(全米肉牛生産者牛肉協会)をはじめとする畜産団体、テキサス州政府などは、米国内の畜産・食料安全保障を守るために不可欠な対策として歓迎するコメントを発表。USDAの取り組みを高く評価している。

 

※2025年6月18日 USDA News Release

 
 

米国の2024年の牛肉販売額は800億ドル超え

 
 

NCBA(全米肉牛生産者・牛肉協会)は、全米の小売業者・外食産業・製造業者・レストラン経営者など、消費者に牛肉を提供する企業との関係強化に注力している。その一環として開催したビーフ・ビジネス・サミットの発表資料によると、2024年の米国の牛肉販売額は800億ドルを超えている。

NCBAのチャネルマーケティングチームによると、レストランメニューの88%以上に牛肉が含まれている。小売店では、牛肉の売上高が肉全体の55%を占め、鶏肉の27%に対してほぼ2倍となっている。

 

※2025年6月24日 NCBA News Release

  アメリカの2024年の牛肉販売額
 
 

今春の記録的な販売実績を報告―CAB

 
 

サーティファイド・アンガス・ビーフ(CAB)は、今春の売上が記録的な実績となったことを発表。「CABの好調な実績は、高品質の牛肉生産が緩むことなく、牛肉需要が維持されていることの証であり、牛肉ビジネスが厳しい状況の中での明るい話題だ」としている。

通常、春季は枝肉の品質が向上し、CABの認定率が最も高くなる。今年もその傾向が見られ、3月と4月の枝肉のCAB認定頭数は歴史的に高い水準に達した。3月の枝肉認定頭数は13万4330頭で、パンデミックによって生じた滞留が処理されていた2021年2月(13万5758頭)に次いで、過去2番目に多かった。

肥育牛(去勢・未経産牛)のと畜頭数が前年同月比で3.5%減少したにもかかわらず、CAB認定枝肉は同1%増加した。「プライム等級の枝肉が圧倒的に多い。パフォーマンスと利益を重視した遺伝学的な改良と、枝肉重量の増加とともに肥育日数が増加したため、チョイスとプライムの枝肉が多く生産されている」という。

プライムの生産増加を反映して、CABプライムの枝肉数は年度累計で8%増加。USDAのプライム等級の発生割合は、9週間連続してセレクトを上回っており、前年比で6.2%増加している。

CABのジョン・スティカ会長は、「より良い製品を作れば、より多くの消費者が信頼してくれる。我々が消費者から学んだことは、消費者が商品の価値を判断する際、最終的に価格と天秤にかけるのは品質だということ。消費者の95%が、牛肉の購入を決める際には品質が重要だとしている」と語った。

CABの3月の販売量は1億1680万ポンドで、過去最高だった2022年3月(1億1380万ポンド)を上回った。4月は、同月としては過去最高を記録し、月間売上としてもトップ10に入る実績を残した。CABは、「5月以降も好調な売上を記録している」としている。

 

※2025年6月16日 FOODMARKET.com

 
リテール

ウォルマートがカンザス州に牛肉施設を開設

 
 

ウォルマートは6月27日、史上初となる自社所有および運営の牛肉加工施設(ケースレディー対応)を開設したと発表した。30万平方フィートの新施設は、カンザス州オレーサに建設されたもので、従業員数は約600人。主に中西部の顧客にサービスを提供する。

これは、同社がアンガスビーフのサプライチェーン・セキュリティを改善するために、Sustainable Beef LLCに対して行った2022年の投資に関連している。同社は「新しい施設は、Sustainable Beef LLCから直接調達されたアンガスビーフのカットをパッケージ化し、中西部の店舗に配布する」と述べている。この投資は、2031年までに3500億ドルを投資する同社のプロダクトUSA計画の一部だ。

 

※2025年6月27日 FOODMARKET.com

  自社所有および運営の牛肉加工施設(ケースレディー対応)
 
 

ポークpファクト・シート