5月12日にスイスで行われた通商協議で、米中両国は90日間の関税の大幅引き下げに合意したが、中国の米国産牛肉・豚肉に対する関税はそれぞれ32%と57%と、中国の業者が輸入を検討・再開するには高すぎる。
他にも注意点が2つある。90日後、より高い関税が再導入されないという保証はない。2つ目はさらに重要なことだが、中国は3月に米国の豚肉・家きん類の工場の対中輸出認可資格を更新したものの、牛肉工場については更新していない。米国産牛肉は中国市場から締め出されたままであり、有意義なアクセスを取り戻すには、さらなる進展が必要だ。
90日間の中国の米国産牛肉への関税は、従来の最恵国待遇関税12%に、米国のフェンタニル関税に対する報復関税10%、相互関税措置10%を含めて32%だ。米国産豚肉には、232条による25%の報復関税が引き続き適用され、さらに10%のフェンタニル関税、10%の相互関税、12%の最恵国待遇関税が加わって57%になる。
さらに、「中国は輸入食品海外製造企業登録管理規定(CIFER)で期限切れとなった米国産牛肉施設をまだ更新していない」と米国食肉輸出連合会(USMEF)は指摘する。ほとんどの米国産牛肉生産施設は3月16日に期限切れとなったままだ。
中国は3月に期限切れとなった米国産豚肉と家きん類の施設を更新し、4月には同じく期限切れとなった豚肉施設も更新した。しかし、牛肉施設についてはまだ動きがない。
USMEFの推定では、およそ5,000万ドル相当の中国向けラベル付き製品が、輸送先の変更や値下げを余儀なくされている。今後も、中国がCIFERシステムの登録更新を行わない限り、米国は依然として大きな損失に直面する。中国への直接輸出額の損失に加え、中国が輸入していた製品の価格下落も加味すると、1頭あたり150〜165ドルの機会損失に相当し、年間で約40億ドル規模の損失になる可能性があるという。
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