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TRADER'S Be & Po

vol.471 Jun.9.2025
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛は高値記録更新中、カットアウトも上昇
豚肉価格に回復の兆し、夏場に向け上昇か
ランキング 全米養豚企業ランキング2024、マーフィー復活
ワールドトレード 対中輸出、関税引き下げも牛肉は認可工場更新進まず
米英貿易協定、大西洋の牛肉貿易を再形成
安全管理関連 新・豚肉検査制度の導入支援ガイド作成―NAMI
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクトシート ポーク(2025年4月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛は高値記録更新中、カットアウトも上昇

 
 

生体牛現物価格は、6週連続で記録的な高値を維持している。5月第3週の主要5州の肥育牛価格(去勢・100ポンド当たり)は226.45ドル。過去最高値だった前週を1.65ドル上回り、最高値を更新した。前年同週比では20.1%高。

枝肉価格も、前週から1.61ドル上昇して357.67ドルと過去最高値を更新した。前年同週比では19.5%高。第4週は、水曜日に北部で活発な取引が見られ、生体牛価格が229〜231ドルと最高値をさらに更新。枝肉価格は360〜370ドルとなった。

枝肉重量は、引き続き前年を大幅に上回っている。最新の公式報告週(5月4-10日)では、去勢牛が平均945ポンドで前週比7ポンド増、前年同週比では22ポンド増だった。未経産牛は865ポンドと横ばいだが、前年同週比では17ポンド増。全体平均は873ポンド、前週比2ポンド増、前年同週比19ポンド増だった。

一方、5月第4週のカットアウト価格は、週前半の4日間で大きく上昇した。チョイスは8.48ドル上昇して360.97ドル。セレクトは6.56ドル高の339.18ドルとなった。4日間のカットアウト取引量は270コンテナと少なめだった。

第3週の総合カットアウト(カット・ひき材・トリム)の平均価格は342.46ドルで、チョイスは342.43ドルだった。スポット取引が6393コンテナと全体の30.1%を占め、フォーミュラ取引は51.3%、フォワード販売14.2%、輸出は7.9%だった。

 

※2025年5月23日 CATTLE BUYER’S WEEKLY

 
 

豚肉価格に回復の兆し、夏場に向け上昇か

 
 

豚のと畜頭数は、5月下旬から8月上旬まで季節的な要因で減少する。こうした供給のひっ迫に加えて、スーパーでは高値の牛肉・鶏肉の販促が減少していることから、生鮮豚肉の価格は改善する兆しを見せ始めており、6・7月は高値傾向で推移することが予想される。

5月第2週の豚と畜頭数は240万頭余りで、前年同週比0.1%減。5月後半はさらに低下することが予想される。メモリアル・デー(5月26日)の連休も、と畜頭数の減少の一因となるが、供給自体がタイトになっている可能性がある。

連休後には、生鮮豚肉の価格が上昇することが予想される。現在の豚肉小売価格は、前年比で2ケタ台の落ち込みで推移しているが、対照的に連休の主役である牛ひき肉と鶏ムネ肉は、それぞれ前年比13%高、16%高と高騰している。連休の後は、豚肉が小売販促の牽引役になるだろう。

バットやリブの価格には、すでに上昇の兆候が見られる。ロインの価格も、と畜の減少に伴って好転しつつあるようだ。供給の増加見込みが限定的であることと輸出実績の改善を踏まえて、6・7・8月の豚価予想は上方修正されそうだ。

中国の関税引き下げは、豚副産物には有効だが、カット(正肉)には余り意味がないだろう。中国の米国産豚肉に対する実効関税率は、報復関税の削減合意後でも57%と高く、対照的にEUとブラジルは12%だ。中国の国内供給の潤沢さやEU価格の下落を考慮すると、米国産豚肉の回復余地は限定的だ。

モモの価格は、7月に入ると季節的に上昇する。過去3年間、7月はいずれも100ドルを超えている。これは6月下旬から7月にかけて、と畜頭数が減少する一方で、ホリデーシーズンへ向けた在庫の積み増しが行われるためだ。メキシコ向け輸出も堅調に推移していることから、例年のようにモモ価格が上昇し、カットアウト価格の下支え要因となるだろう。

 

※2025年5月19日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  米国の週当たり豚と畜頭数の推移(左)/ハムプライマルの価格推移(右)
 
ランキング

全米養豚企業ランキング2024、マーフィー復活

 
 

Successful Farmingは「第30回Pork Powerhousesランキング」を発表した。これは保有母豚数を基にしたランキングで、上位36社合計の保有母豚数は417万7901頭と、米国の繁殖母豚の約70%を占めている。

2023年から2024年末にかけて、保有母豚数は12社で増加、13社が横ばい、9社で減少した。従来の調査では、スミスフィールドの保有母豚数は推定であったが、今回は、今年1月に米国証券取引委員会(SEC)に提出された公開登録届出書の数値が用いられている。

2024年の最大の動きは、マーフィー・ファミリーがリストに復活したことだ。2024年12月、スミスフィールドとマーフィー・ファミリー・ベンチャーズは、スミスフィールドのために年間約320万頭の豚を生産する能力を持つマーフィー所有の事業を設立する契約に署名したことを発表した。

この契約には、マーフィーが所有する会社が、以前にスミスフィールドが所有していた15万頭の母豚の所有権を引き受けることが含まれている。マーフィー・ファミリー・ベンチャーズは、スミスフィールドが2000年にマーフィー・ファミリー・ファームズ(母豚数32万5000頭)を買収した後の2004年に設立された。

マーフィーは、1994年の第1回ランキングでは第1位で、18万頭の母豚を保有して全米最大の豚肉生産事業を展開していた。

 

※2025年5月19日 Successful Farming

  Top U.S. Pork Powerh ouses 2024 Ra nkings
 
ワールドトレード

対中輸出、関税引き下げも牛肉は認可工場更新進まず

 
 

5月12日にスイスで行われた通商協議で、米中両国は90日間の関税の大幅引き下げに合意したが、中国の米国産牛肉・豚肉に対する関税はそれぞれ32%と57%と、中国の業者が輸入を検討・再開するには高すぎる。

他にも注意点が2つある。90日後、より高い関税が再導入されないという保証はない。2つ目はさらに重要なことだが、中国は3月に米国の豚肉・家きん類の工場の対中輸出認可資格を更新したものの、牛肉工場については更新していない。米国産牛肉は中国市場から締め出されたままであり、有意義なアクセスを取り戻すには、さらなる進展が必要だ。

90日間の中国の米国産牛肉への関税は、従来の最恵国待遇関税12%に、米国のフェンタニル関税に対する報復関税10%、相互関税措置10%を含めて32%だ。米国産豚肉には、232条による25%の報復関税が引き続き適用され、さらに10%のフェンタニル関税、10%の相互関税、12%の最恵国待遇関税が加わって57%になる。

さらに、「中国は輸入食品海外製造企業登録管理規定(CIFER)で期限切れとなった米国産牛肉施設をまだ更新していない」と米国食肉輸出連合会(USMEF)は指摘する。ほとんどの米国産牛肉生産施設は3月16日に期限切れとなったままだ。

中国は3月に期限切れとなった米国産豚肉と家きん類の施設を更新し、4月には同じく期限切れとなった豚肉施設も更新した。しかし、牛肉施設についてはまだ動きがない。

USMEFの推定では、およそ5,000万ドル相当の中国向けラベル付き製品が、輸送先の変更や値下げを余儀なくされている。今後も、中国がCIFERシステムの登録更新を行わない限り、米国は依然として大きな損失に直面する。中国への直接輸出額の損失に加え、中国が輸入していた製品の価格下落も加味すると、1頭あたり150〜165ドルの機会損失に相当し、年間で約40億ドル規模の損失になる可能性があるという。

 

※2025年5月23日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

米英貿易協定、大西洋の牛肉貿易を再形成

 
 

米国と英国は、5月8日、特定品目の関税引き下げを目標とする貿易協定を正式に締結し、二国間貿易関係に大きな変化をもたらした。主な条項は、鉄鋼、アルミニウム、牛肉などの主要商品の関税を撤廃、または削減することだ。

特に影響が大きいのは、米国から英国への牛肉輸出だ。これまでは1000トンの枠に対して20%の関税が課せられていたが、新たに1万3000トンの無関税枠が設定される。この進展は、英国市場における米国産農畜産品への戦略的な門戸開放を意味し、大西洋を挟んだ食肉貿易の構図を塗り替える可能性がある。

2024年、英国は米国に約2800トンの牛肉(チルド・冷凍・内臓肉を含む)を輸出し、逆に約300トンを輸入した。新協定の下では、英国も米国向け牛肉輸出において1万3000トンの単独割当量を獲得した。英国は、これまでブラジルなど他国と共に6万5005トンの関税割当枠を共有していたが、実際には、その大部分をブラジルが消化していた。

この単独割当枠は、英国の牛肉輸出業者にとって大きな機会を提供するが、国内の制約によってそのメリットを活かせない可能性もある。今年の英国の牛肉生産量は、前年比5.3%減と予測されている。

 

※2025年5月19日 FOODMARKET.com

 
安全管理関連

新・豚肉検査制度の導入支援ガイド作成―NAMI

 
 

北米食肉協会(NAMI)は、米国食肉科学協会(AMSA)と連携し、USDAの新・と畜検査システム(NSIS)の効果的な実施を支援するための実践的なトレーニングガイドを作成した。このガイドは、工場内でのトレーニングを強化し、特に「仕分け判断」において、科学に基づいた指導を提供することを目的としている。

食肉加工施設や業界関係者からのフィードバックに直接応える形で作成されたもので、現場での実例、明確な説明、状態に特化した画像を掲載しており、判断の正確性と自信を高めるように設計されている。

NAMIの規制政策担当シニア・ディレクターは、「このガイドは、NSISを導入する工場の従業員に対するトレーニングの一貫性を確保するために、視覚的で実用的な資料が必要とのニーズに応えたもので、長年にわたる業界の学習から開発された。NSIS導入プロセスのどの段階にある企業も活用できる」と説明する。

ガイドは下記よりダウンロードできます。

New_Swine_Inspection_Implementation_Guideline_May_2025_0.pdf

 

※2025年5月19日 FOODMARKET.com

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ポークpファクト・シート