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TRADER'S Be & Po

vol.467 Apr.7.2025
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 枝肉価格が過去最高を記録
豚先物下落、春夏季のカットアウトは99ドル前後か
ポーク関連ニュース 豚先物に重くのしかかる「リスクオフ」トレード
トピック 2025年の農産物貿易促進プログラム発表―USDA
関税問題 トランプ大統領の新関税政策への食肉団体の反応
北米の大部分は関税回避も食肉輸出にはリスク
需給予測 牛肉生産量予測を連続して上方修正、輸出予測は引下げ
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクトシート ビーフ(2025年2月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

枝肉価格が過去最高を記録

 
 

生体牛の現物取引は、依然として強気だ。3月最終週の生体牛価格(100ポンド当たり)は平均212.14ドルで、過去最高だった前週の213.23ドルから小幅下落したが、枝肉価格は338.32ドル(前週比3.17ドル高)と、2週連続で過去最高を更新した。

4月第1週は、前半3日間にはほとんど取引がなく、木曜日に取引が活発化して、北部では生体牛が212〜213ドル、枝肉は335〜345ドルで取引された。南部の取引は少量で、生体牛が208〜208.50ドルだった。

枝肉重量は引き続き、前年同期を大きく上回っている。去勢牛の平均重量は950ポンドで、前週比3ポンド増、前年同週比26ポンド増。未経産牛は870ポンドで、同1ポンド減・同20ポンド増加。全体平均は871ポンドで、前週比横ばい、前年同週比24ポンド増だった。これは、同週のと畜頭数55万7327頭に、1万5800頭を追加したことに相当する。

カットアウト価格は前週から続伸した。3月最終週の全体平均価格は330.77ドル、前週比3.89ドル高。チョイスは329.90ドルで、同5.25ドル高。4月第1週は、前半4日間で5.55ドル上昇して338.37ドルをつけた。チョイスは火曜日に340ドルを突破した。牛ひき材(90CL)も記録的高値(381ドル台)での取引が続いている。

 

※2025年4月4日 CATTLE BUYER’S WEEKLY

 
 

豚先物下落、春夏季のカットアウトは99ドル前後か

 
 

生体豚の先物取引は、リーンホッグ6月限が91ドル前後で取引されており、2月に比べると15ドル(-14%)ほど下落している。昨年の6月限先物は、期日前後にCME(シカゴ商品取引所)指数とカットアウトの価格差が約9ドルと、過去3年間で最も開いた。これは豚の供給が予想より多かったためだ。

USDAが最近発表した四半期飼養動向調査によると、12月から2月にかけての子豚生産頭数は0.2%減で、今後の肥育豚供給はやや減少する見込みだ。先物とカットアウトの価格差は前年ほど拡大しないと予想されるが、ワイルドカードは中国だ。

関税問題で、中国へのバラエティーミートの輸出が激減して製品の価値が下がれば、正肉価格を上げることで埋め合わせする動きが強まる可能性がある。

先物とカットアウトの価格差を昨年と同じに想定した場合、現在の先物価格から試算されるカットアウト価格は99ドル前後だ。今年はイースターの時期が異なるため、単純比較は難しいが、現状では弱気なロイン価格は夏季に向けて昨年並みに回復、あるいは100ドルを超える可能性もある。

ピクニックは昨年より好調だが、バットは約8%安と出遅れている。前年6月のバットの平均価格は128ドルだった。今年はこれよりも低い可能性が高いものの、5〜6月上旬にはスーパーの目玉商品として小売需要が強まることも考えられる。

今夏の価格予想で最も不透明なのは、モモとバラだ。メキシコとの貿易摩擦が再び激化すれば、モモの価格はより大きなリスクを負うことになる。カットアウト価格が100ドルを下回ると、モモの価格は85ドル前後となり、最近の水準よりも低くなる。バラの価格は現在130ドル前後で、昨年の水準に近い。

 

※2025年4月7日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  ポークカットアウト価格の推移
  ポークロインプライマル価格の推移
 
ポーク関連ニュース

豚先物に重くのしかかる「リスクオフ」トレード

 
 

米国の関税措置に対する中国の報復措置を受け、豚先物価格は急落した。実効関税率は81%で、中国への豚肉輸出はほぼ困難となった。米国産豚肉輸出量に占める中国のシェアは、2024年には6%まで低下しているが、バラエティーミート(豚内臓)にとっては依然として主力市場だ。

2024年の米国の中国向けのバラエティーミート輸出量は29万3000トンで、全体の55%を占める。輸出額は6億4600万ドル相当で、中国向けの豚正肉輸出額(3億4700万ドル)のほぼ2倍だ。

豚正肉は他の市場にも輸出できるが、バラエティーミートの場合、中国市場の代替を見つけるのは困難だろう。44%の追加関税を相殺するために、輸出業者は大幅な値引きを余儀なくされるかも知れない。

メキシコとカナダは、これまでのところ報復措置は回避している。豚肉輸出先第2位の日本と第4位の韓国がどのような反応を示すかは不透明だが、コロンビア、豪州、ドミニカ共和国などは今のところ静観しており、二国間交渉による解決を望んでいる。

相互関税は、欧州産豚肉の輸入にも影響を及ぼす。EUからの輸入品には20%の関税がかかる。イタリア産プロシュートやスペイン産のセラーノハム、あるいはデンマークやポーランドの小型のバラ肉は割高になりそうだが、米国の豚肉輸入全体への影響は限定的だろう。

懸念事項の一つは、米国内の豚肉需要だ。高値でも需要を維持している牛肉とは異なり、豚肉需要は2021〜2022年をピークに11%も減少している。特に心配なのは夏場の外食需要の見通しで、この時期の需要が弱ければ、すでに先物市場で値下がりしているバラは、さらに値下がりすることが想定される。

 

※2025年4月7日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

 
トピック

2025年の農産物貿易促進プログラム発表―USDA

 
 

USDA(米国農務省)は、2025年の農産物貿易促進プログラムを発表し、4つの輸出市場開発プログラムの申請受付を開始した。

同省のロリンズ長官は、「USDAの重要な仕事は、米国の農畜産物生産者のために新しい市場を開拓することだ。前政権は農業分野に500億ドルの貿易赤字を残したが、トランプ大統領と私は、新しい市場を開拓し、既存の障壁を取り除くために積極的に取り組んでいく。4つのプログラムは、米国の農村地域が長期的な経済成長を維持するための重要なステップだ」としている。

USDA-FAS(海外農業局)は、米国の農産物の国際的な宣伝・販売を支援することを目的とした資金を提供する。

◎市場アクセスプログラム(MAP): 米国の農畜産業に毎年2億ドルを配分し、果物・野菜・ナッツ・加工品・バルクおよび中間品の世界市場への輸出促進を支援する。

◎海外市場開発プログラム(FMD): 年間3450万ドルの助成金が提供される。長期的な海外市場の制約に対処し、米国の農産物の新しい市場や新たな用途を特定することで、米国の農家・加工業者・輸出業者を支援する。

◎特殊作物技術支援プログラム(TASC): 米国の特殊作物の輸出を阻害または脅かす問題に対処することを目的としたプロジェクトに毎年900万ドルを提供する。

◎新興市場プログラム(EMP): 新興市場における米国産農畜産物の輸出機会の開発・維持・拡大を支援する活動に年間800万ドルを提供する。

 
関税問題

トランプ大統領の新関税政策への食肉団体の反応

 
 

トランプ大統領が発表した新たな関税政策(最低関税一律10%、相互関税等)を受けて、食肉業界団体はさまざまな反応を示した。

USMEF(米国食肉輸出連合会)のダン・ハルストロム会長兼CEOは、「今回の大統領令は、相互関税に対する政権のアプローチをより明確にするものであり、米国の輸出品が大きな貿易障壁に直面している市場に対して、注意を喚起したことに感謝している。また、USMCAに準拠した製品に対する関税ゼロを維持していることも高く評価する」と述べるとともに、「貿易相手国がどのような反応を示すかが懸念事項だ。制限的な対抗措置ではなく、貿易障壁の撤廃に重点を置いてくれることを期待している」と付け加えた。

NCBA(全米牛肉協会)の政府担当上級副会長であるイーサン・レーンは、相互関税の発表に対する見解を次のように示した。

「米国の家族経営の牧場や繁殖農家は、あまりにも長い間、世界の特定の貿易相手国から不当な扱いを受けてきた。トランプ大統領は、海外の消費者が高品質で健全な米国産牛肉を享受することを妨げている貿易障壁に対処するために行動を起こしている。NCBAは、世界中で米国産牛肉が公平に扱われ、輸出機会が最適化されるよう、関与を続けていく」。

また同氏は、米国産牛肉への関税や非関税障壁に関して、「例えば豪州は、米国の消費者に約290億ドルの牛肉を販売してきたが、米国は豪州に生鮮牛肉を1ドルも販売できていない。ベトナムは米国産牛肉に30%の関税をかけているが、豪州産牛肉にはそのような関税はかけていない。タイは米国産牛肉に50%の関税をかけている。ブラジルとパラグアイには危険な口蹄疫の歴史があるにもかかわらず、バイデン政権は輸入を許可し続けた。EUは米国産牛肉に非科学的な"グリーン・ディール"規制を多数かけて、市場機会を制限している」と語った。

NAMI(北米食肉協会)のジュリー・アンナ・ポッツ会長兼CEOは、「今後数日間、関税と報復関税の発効による食肉業界への影響を把握・理解するために、メンバーと協力していく」と述べた。

NPPC(全米豚肉生産者協議会)は、「輸出市場の維持・拡大は、米国の豚肉産業の成功にとって極めて重要だ。米国は2024年に86億ドル相当の豚肉を100カ国以上に輸出した。特にメキシコとカナダ、そしてアジアと西半球諸国は、貿易協定によって培われた長年の関係を持ち、米国の豚肉生産者にとって重要な貿易相手国だ」と、輸出の重要性を強調するコメントを発表した。

 

※2025年4月3日 FOODMARKET.com

 
 

北米の大部分は関税回避も食肉輸出にはリスク

 
 

トランプ政権の新たな関税措置で、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に準拠する製品は関税が免除されたが、米国の食肉輸出はまだリスクにさらされている。特に危険なのは、相互関税を課せられる各国が、米国の輸出品に対して報復関税を課すかどうかだ。

北米市場がすでに統合されていることを考えると、報復関税の影響は甚大なものになる可能性がある。昨年、カナダからは78万頭の牛が輸入され、メキシコからは124万頭の肥育素牛が輸入された。

昨年の両国からの牛肉輸入量は、カナダ10億1300万ポンド、メキシコ5億9700万ポンド。カナダで生産される4分の1が米国に輸出され、米国からカナダへの輸出を差し引いた米国の純輸入量は、カナダの牛肉生産量の20%に達する。報復関税が発動されれば、隣国2カ国への米国産食肉の輸出が脅かされることになる。

米国は昨年、両国に56億8300万ドルの牛肉と豚肉を輸出した。メキシコ向けが13億5000万ドル、カナダ向けは8億7700万ドルだった。

豪州は、米国への牛肉・羊肉の輸出に10%の関税が課せられることになる。豪州のビーフセントラル社のジョン・コンドン社は、「この関税率は、豪州の関係者が予想していた上限だが、他の対米輸出国は10%よりはるかに高い関税賦課の対象となっている」と語る。

牛肉輸出の主要競合国であるブラジルも、10%の関税を課される貿易相手国のひとつだが、ブラジルの対米牛肉輸出量は、1月にすでに年間割当量を超えたことですでに枠外税率の26.5%が発動されている。

同氏は、「米国のハンバーガーに使われる牛トリミングを例にとれば、豪州からの輸入に関税を課すことによって、米国の消費者は年間1億8000万ドルの負担を強いられることになる」と指摘する。

一方、ニュージーランドの食肉業界は、Beef+LambニュージーランドとNZ食肉産業協会(MIA)が共同声明で、「米国が10%の関税を課すことに失望している」と述べ、各製品の現行の関税率に上乗せする形で課されるとの認識を示している。牛肉の場合、合計10.75%の枠内関税率と36.4%の枠外関税率となる。ニュージーランドには2015年以降、まだ十分に利用されていない大きな枠がある。羊肉については、合計で約10.06%となる。

 

※2025年4月4日 CATTLE BUYER’S WEEKLY

 
需給予測

牛肉生産量予測を連続して上方修正、輸出予測は引下げ

 
 

USDAは最新の畜産物需給予測で、牛肉生産量の予測を2カ月連続で引き上げた。2025年の牛肉生産量の見通しを、先月予測から1億2000万ポンド増の266億8500万ポンドに上方修正した。

肥育牛と経産牛のと畜ペースが従来予想よりも遅いことから、第1四半期の牛肉生産量予想を先月より6500万ポンド引き下げた。一方で、第2四半期は枝肉重量の増加がくり越されることから2500万ポンド引き上げ、第3・第4四半期は、と畜頭数と枝肉重量の増加が見込まれることから、それぞれ7000万ポンド、9000万ポンド引き上げた。年間の牛肉生産量予測は、前年を約1%下回る水準だ。

主要5州の去勢牛価格は、2月の平均価格が202.60ドルで、1月より1.89ドル安かったが、3月上旬までのデータに基づき、第1四半期の予想価格は3ドル引き下げられて202ドルとなった。第2四半期は、事前予想よりも需要が比較的軟調であることを踏まえて2ドル引き下げ、198.00ドルと予測。年間の去勢牛価格予想は1.25ドル引き下げて199.50ドルとした。

牛肉の輸出に関しては、第1・第2四半期の予測をそれぞ1000万ポンド、1500万ポンド引き下げて、7億500万ポンド・7億3000万ポンドとした。第3・第4四半期はそれぞれ2500万ポンド引き上げて、7億ポンド・6億8500万ポンドとし、年間輸出量は28億2,000万ポンド、前年比6%減と予測している。

 

※2025年4月4日 CATTLE BUYER’S WEEKLY

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート