トランプ政権の新たな関税措置で、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に準拠する製品は関税が免除されたが、米国の食肉輸出はまだリスクにさらされている。特に危険なのは、相互関税を課せられる各国が、米国の輸出品に対して報復関税を課すかどうかだ。
北米市場がすでに統合されていることを考えると、報復関税の影響は甚大なものになる可能性がある。昨年、カナダからは78万頭の牛が輸入され、メキシコからは124万頭の肥育素牛が輸入された。
昨年の両国からの牛肉輸入量は、カナダ10億1300万ポンド、メキシコ5億9700万ポンド。カナダで生産される4分の1が米国に輸出され、米国からカナダへの輸出を差し引いた米国の純輸入量は、カナダの牛肉生産量の20%に達する。報復関税が発動されれば、隣国2カ国への米国産食肉の輸出が脅かされることになる。
米国は昨年、両国に56億8300万ドルの牛肉と豚肉を輸出した。メキシコ向けが13億5000万ドル、カナダ向けは8億7700万ドルだった。
豪州は、米国への牛肉・羊肉の輸出に10%の関税が課せられることになる。豪州のビーフセントラル社のジョン・コンドン社は、「この関税率は、豪州の関係者が予想していた上限だが、他の対米輸出国は10%よりはるかに高い関税賦課の対象となっている」と語る。
牛肉輸出の主要競合国であるブラジルも、10%の関税を課される貿易相手国のひとつだが、ブラジルの対米牛肉輸出量は、1月にすでに年間割当量を超えたことですでに枠外税率の26.5%が発動されている。
同氏は、「米国のハンバーガーに使われる牛トリミングを例にとれば、豪州からの輸入に関税を課すことによって、米国の消費者は年間1億8000万ドルの負担を強いられることになる」と指摘する。
一方、ニュージーランドの食肉業界は、Beef+LambニュージーランドとNZ食肉産業協会(MIA)が共同声明で、「米国が10%の関税を課すことに失望している」と述べ、各製品の現行の関税率に上乗せする形で課されるとの認識を示している。牛肉の場合、合計10.75%の枠内関税率と36.4%の枠外関税率となる。ニュージーランドには2015年以降、まだ十分に利用されていない大きな枠がある。羊肉については、合計で約10.06%となる。
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