豚肉の卸売価格は、この時期としては異例の水準まで上昇している。主因は、11月3日時点でベリー価格(プライマル100ポンド当たり)が176ドルまで上昇していることだ。これに伴い、カットアウト価格も104ドルと、前年比で19%・16.7ドル高い。
2013年にベリーの価格報告が義務化されて以来、11月にベリーの価格が7月や8月を上回ったのは初めてだ。グラフが示すように、例年、ベリーの価格は秋季には安定する。季節的な要因(寒気や新学期の開始など)により、外食需要が冷え込むとともに、豚肉の供給が年間のピークに迫るからだ。
ベリー価格が10月に年間平均を大きく上回った年(2015年・2020年など)もあるが、いずれの年も前年の春・夏季の価格が低かった。昨年の春から初夏にかけては、カリフォルニア州の規制関連で需要の不確実性が強まり、ベリーの価格は低迷した。
今年は、2022年からの高値で小売や外食需要が鈍ったことにより、ベリーの価格は1年の大半で安定的に推移。特に夏季の価格が長期的な季節トレンドを下回っていたことで、バイヤーは手当を楽観していた。
秋季には十分な供給と価格下落が予想されていたため、多くのバイヤーは在庫を消化したが、これにより8月から9月にかけての在庫が急速に枯渇し、11月に年間最高値が出現する要因となった。
しかし、過去15年のうち14年間は、11月と12月の価格が年平均を下回っていることから推測すると、現在のベリー価格がいつまで持続できるか疑問もある。最近の価格上昇はベリーのみに集中しており、カットアウト全体では下振れリスクの懸念が強い。
現在の先物相場は、12月のベリー価格を135ドル前後と予想している。現状の価格をかなり下回るが、季節的な観点で見れば依然として高い水準だ。
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