印刷する
 

TRADER'S Be & Po

vol.438 Jan.15.2024
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース パッカーの赤字続く、生体牛の先物は下落
夏・秋の豚肉供給は前年超え、価格は需要次第
ランキング 2023ビーフパッカー上位30社
生産動向 乳牛と肉牛の交雑牛、牛肉市場でシェア広げる
トピックス 乳牛で検出されたHPAIウイルスに関するQ&A―APHIS
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2024年2月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
定期購読(無料)の登録はこちら バックナンバーはこちら
 
市況ニュース

パッカーの赤字続く、生体牛の先物は下落

 
 

ビーフパッカーのマージンは引き続き赤字だ。このため、肥育牛のと畜頭数が低水準にあり、生体牛の現金価格を抑制する要因となっている。3月最終週の生体牛価格(100ポンド当たり)は188.23ドル、前週比1.33ドル安。枝肉価格は299.49ドル、同2.64ドル安だった。

アナリストは、「パッカーマージンは先週で6週連続の赤字。赤字幅は週を追って拡大し、先週時点で1頭当たり96.27ドルになった」という。と畜頭数の減少に加えて、3月25日にテキサス州の乳牛が高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)に感染し、ヒトへの感染が確認されたとの発表を受けて、先物市場で売りが強まった。(この発表の詳細については、後述のトピックス「乳牛で検出されたHPAIウイルスに関するQ&A-APHIS」を参照のこと)

月曜日(4月1日)の続報を受けて、生体牛先物の4月限価格は492ポイント下落し、180.07ドルとなった。6月限、8月限はそれぞれ492ポイント、610ポイント下落した。肉牛でのウイルス感染は発見されていないが、先物市場の嫌気ムードが現金取引にも悪材料となった。おそらく4月一杯は悪影響が続くだろう。

火曜日には、アイオワで生体牛が185ドル、枝肉295ドル、ネブラスカでは枝肉298ドルをつけた。先物価格は火曜に若干回復したものの、水曜には再び下落し、木曜日にはわずかに戻した。現金取引は北部で2万3116頭が生体牛186〜189ドル、枝肉は295〜298ドルで取引された。

◎カットアウト下落、牛ひき材90CLは最高値

週間のと畜頭数が低水準で推移しているものの、牛肉の卸売価格は下落しており、牛肉需要が弱いことへの懸念が深まっている。年初来の牛肉生産量は、前年同期比で4.2%少ない。週間と畜頭数は、先週までの7週連続で60万頭を割っており、肥育牛(去勢牛・未経産牛)の年初来のと畜頭数は46万6千頭と少ない。

先週のカットアウトの平均価格は313.31ドル、前週比2.41ドル安。チョイスの平均価格は312.26ドル、前週比同1.43ドル安。チョイスは4日間で9.57ドル下げ、木曜には297.15ドルとなった。セレクトは7.38ドル下げて296.05ドルとなったが、チョイスとセレクトの価格差は1.10ドルと、今年最も縮まった。

一方、90CL(ビーフトリミング)の卸売価格は、3月最終週に338.56ドル(前年同週比23.7%高)で、記録的な水準に達した。生産量が少ないことから、依然として上昇傾向にある。

 

※2024年4月5日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

夏・秋の豚肉供給は前年超え、価格は需要次第

 
 

USDAの最新の豚飼養動向調査(3月期調査)は、概ね予想範囲内の調査結果であり、生体豚の先物にはほとんど影響を与えなかった。春から夏にかけての供給増は、国内外市場の底堅い需要で相殺されるとの見方が主流だ。

12〜2月期の子豚生産頭数は、概ね6〜8月期の出荷頭数と一致するが、アナリストの予想平均1.3%増に対して、USDA調査は1.9%増。12〜2月期の子豚生産頭数の増加率が、豚飼養頭数の増加幅を上回っていることから、今夏の供給は大方の予想より若干多い可能性もある。

過去6カ月間、特に昨年後半には、主要生産者が母豚農場の閉鎖を発表して以降、繁殖豚群に関して多くの議論や関心か高まってきたが、12〜2月期の分娩頭数は前年比で2.6%減少した。12月調査の繁殖豚に対する分娩見込み頭数の割合は47.9%で、昨年より若干高いが、コロナ前の水準を下回ったままで推移している。

分娩頭数が低下したにもかかわらず、最終的な子豚生産頭数が増加した理由は、一腹当たり産子数が前年比で4.6%も増加したことだ。3〜5月期の分娩見込み頭数は0.9%減と予想されているが、一腹当たり産子数の増加傾向を加味すると、今秋の肥育豚供給は、前年をわずかに上回る可能性がある。

 

※2024年4月8日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  米国の子豚生産頭数の前年比増減(4半期毎)
  米国の繁殖豚の飼養頭数の推移(左)/ポークカットアウト価格と先物価格(日次ベース)(右)
 
ランキング

2023ビーフパッカー上位30社

 
 

キャトルバイヤーズウイークリー(CBW)紙は、毎年発表している恒例の「ビーフパッカー上位30社ランキング」(2023)を掲載した。1日当たりのと畜能力を基にしたランキングで、施設数はと畜工場のみ、牛の種類は主要なものを記載している。

上位30社のと畜工場は55工場で、前年と変わらず。1日当たりのと畜能力は12万8885頭で、前年から120頭増加した。上位5社の合計は、前年と同じ27工場で、9万7500頭の能力を有している。

上位3社のと畜能力に占める市場シェアは、2021年58.1%、2022年55.5%。このうち肥育牛(去勢牛・未経産牛)に占めるシェアは、2021年の67.1%から66.8%に低下した。上位5社の総と畜頭数に占めるシェアは、2021年の73.6%に対して2022年は70.2%。肥育牛では2021年の83.8%に対して82.4%と低下した。今回、アッパーアイオワビーフ社が23位で初めてランクインした。

 

※2024年4月5日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
  2023 ビーフパッカー上位30社
 
生産動向

乳牛と肉牛の交雑牛、牛肉市場でシェア広げる

 
 

3月21日にサウスダコタ州スーフォールズで行われた「I-29 Moo University」の会合では、乳牛と肉牛の交雑種による牛肉生産が増加し、牛肉市場に大きな影響を与え始めていることに関心が集まった。

カンザス州立大学のケン・オッデ名誉教授は、過去5〜6年間、交雑種の牛肉生産が広がりを見せており、2024年には320万頭の交雑牛の牛肉製品が市場に出荷され、2026年には500〜600万頭になるとのCattleFax社の予測を紹介。「この数量に達した場合、肥育牛肉市場の約15%に匹敵する量となり、牛肉市場にかなりの影響を与えることになる」との見通しを示した。

乳牛(ホルスタイン種、ジャージー種)との交雑に使用される肉用種は、アンガス、シャロレー、シメンタール、リムジンなど。乳用種の去勢牛は、これまでも牛肉市場に出荷されてきたが、現在、酪農業界では乳用種の去勢牛を交雑種の去勢牛に置き換える動きが広まっており、乳牛に肉牛の遺伝学を加えることで、より多くの価値を生み出しているという。

交雑に用いられる肉用種は、精液の入手可能性に左右される傾向があり、歴史的にもアンガス種が大部分を占めている。ホルスタインの子牛は、肉用牛市場では価値が低い傾向があり、酪農家は交雑牛を飼育して、より価値の高い子牛を生産することで、利益を最大化することができる。

 

※2024年4月5日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
トピックス

乳牛で検出されたHPAIウイルスに関するQ&A-APHIS

 
 

米国のいくつかの州で、乳牛群から高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)が検出されたことを受け、USDA―APHIS(米国農務省動植物検疫局)は、よくある質問に対する回答を発表した。

2024年4月3日現在、6つの州で家畜のHPAIの症例が確認されている。最初の確認は3月25日、テキサス州の乳牛からHPAIウィルスが検出された。以降、カンザス州、ミシガン州、ニューメキシコ州、アイダホ州、オハイオ州でも乳牛群のHPAI感染が報告されている。主な質問と回答は以下の通り。

Q) 牛のHPAI感染経路は?

USDAの報告によると、野生の渡り鳥が感染源であると考えられている。しかし、ミシガン州の牛群内でウイルスが蔓延しているため、牛から牛へ感染した可能性は否定できない。

政府は、生産者と獣医に対し、乳牛の移動を最小限に抑え、適切なバイオセキュリティ対策を維持し、病気の蔓延を抑えるために、必要な移動を行う前に家畜を検査することを奨励している。

感染した動物に直接接触した場合には、ヒトがHPAIに感染する可能性があるが、現在のところ公衆へのリスクは依然として低い。米国では現在までに、鳥インフルエンザA(H5N1)のヒト症例が2件報告されている。2022年には、コロラド州で最初のヒトの症例が発生した。2件目は2024年4月1日、テキサス州で鳥インフルエンザに感染したと推定される乳牛に曝露した個体で、ヒト症例が確認されている。

Q) HPAIの検出では、家禽群のケースのように牛群を摘発淘汰する必要があるか?

現在USDAは、乳牛群の摘発淘汰の必要性を想定していない。HPAIは家禽群では致命的だが、乳牛群においては感染した牛は回復しており、関連する死亡例はほとんど、または全く報告されていない。

HPAIに感染した牛の症状には、泌乳率の低下、嗜眠、脱水症状、発熱などがある。感染した牛は現在、他の動物から隔離されている。

家禽群におけるHPAIの検出は、2022年に比べて大幅に鈍化している。最近では、Cal-Maine Foods社が4月2日に、テキサス州パーマー郡の施設でHPAIが発見されたために家禽群全体の約3.6%を淘汰すると発表した。

Q) 牛乳のリコールはあるか?

現時点では、牛乳のリコールは必要ない。製品は市場に出る前に低温殺菌され、牛乳中のバクテリアやウイルスは不活化される。米国食品医薬品局(FDA)は、生乳には危険な微生物が含まれている可能性があるため、HPAIの検出に照らして、生乳の消費に関連するリスクを消費者に喚起している。

USDAは、今回の牛の罹患による牛乳の供給や、消費者価格への影響は認識していない。市場は平常の動きを続けており、先週の牛乳余剰量は供給が長期にわたることを示している。さらに、数カ月間は牛乳の生産量が季節的に多くなることから、牛乳の供給は十二分に潤沢であると考えている。

Q) 今回の検出は肉牛や牛肉の供給に影響するか?

 USDAは、米国の食肉供給は安全であると述べている。HPAIは食品安全上の懸念事項ではないと判断している。消費者は、いつものように生肉を適切に取り扱い、安全な内部温度で調理することが奨励される。肉を安全な内部温度で調理すれば、インフルエンザを含む細菌やウイルスは死滅する。

 

※2024年4月5日 FOODMARKET.com
(本項の日本語は仮訳です。すべてのQ&Aの原文および検出状況などは下記を参照下さい)
https://www.aphis.usda.gov/livestock-poultry-disease/avian/avian-influenza/hpai-detections/livestock

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート