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TRADER'S Be & Po

vol.438 Jan.15.2024
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 豚肉のスポット市場回復には一定期間が必要
生産動向 米国の牛飼養頭数、1951年以来の低水準-USDA
輸出動向 2023年豚肉輸出額は過去最高、牛肉は好調な締めくくり
ワールドトレード カリフォルニア州のProp12施行で、対米輸出機会を探る英国
サステナビリティ 米国の持続可能な豚肉生産への取り組みを評価−FAO報告書
食肉企業100社へ、GHG排出量の測定と対策目標設定を支援
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2023年12月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

豚肉のスポット市場回復には一定期間が必要

 
 

ここ数週間、豚肉の供給量が大幅に変化し、豚肉卸売価格も大きく変動した。11月末から12月14日までの3週間の平均と畜頭数は、268万3000頭だった。加えて、同3週間の枝肉重量は約217ポンドと、年間で最も重かった。

しかし、12月第3週から1月第1週までのと畜頭数は、週平均234万頭で34万3000頭も減少した。例年なら生産は年明け後に回復するが、今年は寒波の襲来で、従業員の通勤やトラック輸送が停止し、稼働できない工場もあった。

USDAによると、1月第2週の週間と畜頭数は217万4000頭と、前年同週比で19%減・50万頭ほど少なかった。第4週は271万9000頭(同7%増)と回復したが、1月の4週間計では依然として前年より少ない(グラフ参照)。豚肉取引のスポット市場は、この不足分を補充する過程にある。

供給の大幅な上下動が及ぼした影響は、製品によって異なる。最も上昇したのはベリーだ。ベーコン工場は、12月の安値時に小売業者から受けた注文をカバーするための手当に迫られ、ベリープライマルの価格は1月3日以降、100ポンド当たりで49%高・48ドルも上昇した。これは、同期間中のカットアウト価格上昇の8%を占める。

ベリーに続いて価格の上昇幅が大きいのはポークトリムで、特に72CLは11%上昇した。供給不足の中で、製造業者は高値で手当することを余儀なくされた。一方でハム(モモ)の価格は、同11%下落した。メキシコ向け輸出は好調だが、輸出用貨物の輸送便不足が影響したようだ。ピクニックも同10%下落した。

豚肉の供給は徐々に回復へと向かい、製品原料問題の一部は解決する見通しだが、今回の事象は、第4四半期の潤沢な供給で原料確保を楽観視していたユーザーへの警鐘となった。今春から夏場は、と畜頭数が週あたり260万頭以上になることはないだろう。

 

※2024年1月29日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

 
  米国の豚の週当たりと畜頭数の推移
  ポークカットアウト価格の推移
  ポークカットアウト価格の構成部位別の前年比高安
 
生産動向

米国の牛飼養頭数、1951年以来の低水準-USDA

 
 

USDAが発表した牛飼養動向調査によると、1月1日時点の牛総飼養頭数は5年連続で減少し、1951年以降最低の水準まで縮小した。米国西部で続く干ばつを受けて、牧草地が縮小するとともに、肥育コストの高騰によって牧場経営者が牛群を削減。これにより、肥育牛供給のひっ迫と牛肉価格の高騰が続いている。

牛および子牛の総飼養頭数は、8720万頭(前年同期比2%減)。肉用雌牛頭数も2%減の282万頭で、1961年以降最低の水準にある。アナリストは、「干ばつの状況が緩和すれば、牧場経営者は今年後半にも牛群の拡大に乗り出す可能性がある」という。

1月23日時点の干ばつモニターによると、全米の牛飼養エリアの23.49%が異常な乾燥状態にあるとされているが、前年同期の72%からは大きく改善されている。

証券会社のコモディティエコノミスト長は、「明らかな供給ひっ迫に直面しているが、問題は今後の需要がどうなるかだ」と指摘する。米国の牛肉輸入量が増加し、輸出が減少していることで、牛群の縮小分は補てんされているとの見方もある。

USDAの予測では、2023年の牛肉輸入量は前年比9.3%増の37億1000万ポンドに達しており、2024年には37億7000万ポンドとさらに増加する見通しだ。

 

※2024年2月1日 FOODMARKET.com

 
輸出動向

2023年豚肉輸出額は過去最高、牛肉は好調な締めくくり

 
 

USDA公表・USMEF編纂の食肉輸出統計によると、2023年の米国産豚肉の輸出額は、メキシコをはじめとする多くの市場の成長にけん引され、過去最高額となった。牛肉の輸出量は前年を下回ったものの、12月の輸出額は前年比10%増と、8月以降で最大となり、好調な締めくくりとなった。

12月の豚肉輸出量は26万8399トン(前年同月比10%増)、輸出額は7億6580万ドル(同11%増)。この結果、2023年の輸出額は81億6千万ドル(同6%増)となり、1頭当たり換算の平均輸出額も64ドルに迫る勢いで、過去最高を記録した。年間の輸出量は291万トン(同8%増)で過去3番目に多かった。生産量に占める輸出割合は29.6%、正肉単体では25.4%と前年の23.8%から1・6ポイント上昇している。

USMEFのダン・ホルストロム会長兼CEOは、「2023年は、世界で米国産豚肉の需要が爆発的に成長した。メキシコでは米国産豚肉の存在感が顕しい拡大を続け、また、西半球と数多くのアジア太平洋市場でも高い需要が見られる」とコメントしている。

12月の牛肉輸出量はやや減少して10万8497トン(同4%減)だが、8月以降では最大となった。輸出額も8億6080万ドル(同10%増)と8月以来の高水準。これにより、2023年の牛肉輸出量は129万トン(同12%減)、99億6900万ドル(同15%減)と100億ドルを下回ったものの、過去3番目に高い水準となった。牛肉生産量に占める輸出割合は14%、正肉単体では11.7%となり、それぞれ過去最高だった前年(15.2%・13%)から低下した。

豚肉の輸出先別では、メキシコ向けが110万トン(同14%増)・23億5000万ドル(同15%増)で記録的な伸びを示した。輸出額第2位の日本向けは34万2163トン(同4%減)・14億ドル(同5%減)。中国向けは58万5806トン(同9%増)・13億7000万ドル(同7%増)、韓国向けは19万1262トン(同9%増)・6億3340万ドル(4%増)。

その他では、中央アメリカ向けがホンジュラス・グアテマラなどの堅調な成長により13万7469トン(同15%増)・4億570万ドル(同20%増)と年間最高額を記録した。ドミニカ共和国向けも9万9610トン(同16%増)・2億7620万ドル(同18%増)と過去最高を記録。南米向けもチリとペルーの大幅な成長によって11万8660トン(同2%増)・3億4060万ドル(同10%増)と増加した。

 

※2024年2月8日 USMEF News Release
牛肉の主要輸出国別の輸出量はビーフファクトシートの頁を参照下さい

 
ワールドトレード

カリフォルニア州のProp12施行で、対米輸出機会を探る英国

 
 

カリフォルニア州で2024年1月1月からProposition 12が全面的に施行されたことを受け、英国の豚肉産業が米国への輸出機会を探っている。Prop12は、2018年に住民投票として発案され、2023年5月11日に最高裁判所が5対4の判決で支持した州法で、特定の条件下で育てられた食肉や卵を州内で販売することを禁じている。

同法では、繁殖豚は1頭当たり24平方フィート以上の床面積が使用可能な環境で飼育される必要がある。飼育場所の州内、州外にかかわらず、未調理の豚肉全体が対象となる。卵、子牛肉、豚肉の生産者は、年初までに第三者認証を受けることが義務付けられているが(認証機関一覧は同州農務省のWebサイト参照)、現段階でProp12に準拠しているのは、米国の母豚の4%程度と推定される。

英国では豚の40%が屋外で飼育されているため、カリフォルニア州に新たな販売機会を見出そうと、英国の食肉輸出業者6社は、イギリス農業・園芸開発委員会(AHDB)と同伴で5日間のカリフォルニア州訪問に乗り出した。

AHDBは、「他の州でもカリフォルニア州と同様の提案が出ており、米国では将来的にさらに大きな機会が生まれる可能性がある。英国の豚肉業界は、同州の需要を満たすことのできる確固たる立場にある」とし、今回の訪問では、北米で2番手の大手チェーンをはじめ、高品質な食肉の流通業者、卸売業者および主要スーパーマーケットと商談を行ったという。

AHDBの取引開拓シニアマネージャーであるスサナ・モリス氏は、「カリフォルニア州の人口は約4000万人で、米国の豚肉生産量の15%を消費している。しかし、米国の国内生産が新基準で生産した豚肉で同州の需要を満たせる可能性は、短期的にはかなり低い。英国の豚肉生産者は、この需要の一部を満たすのに適した立場にあり、この新しい機会を最大限に活かしたい」と意欲を見せている。

 

※2024年2月1日 FOODMARKET.com

 
サステナビリティ

米国の持続可能な豚肉生産への取り組みを評価−FAO報告書

 
 

全米豚肉委員会(NPB)のサステナビリティ担当役員のジェイミー・バリ氏は、「国連食糧農業機関(FAO)が公表した最新の報告書では、米国の豚肉生産者の持続可能な生産への取り組みが高く評価されている」という。

FAOは12月に、気候変動や持続可能性についての畜産に関する2つの重要な報告書を公表した。これらの報告書では、地球温暖化を1.5℃に食い止める目標を達成し、飢餓を終わらせるためのロードマップを示し、その実現には持続可能な生産を拡大することが第一の焦点だとしている。

ジェイミー氏は、「FAOの報告書と、過去60年間に米国の豚肉生産者が成し遂げた大幅な改善は、米国の豚肉業界と国際機関の目標が合致していることを示している。継続的な改善こそが持続可能性の基盤であり、ゴールではなく過程であること。過去の成功を認識し、より大きな指標を積極的に未来へと向けることだ」という。

米国の豚肉生産者は長い間、効率化を通じた継続的な改善を行ってきたことをデータが明らかにしている。「理念×実践×証明 =公共の信頼」という公式を用いて、「We Care Ethical Principles®」の6つの項目に献身的に取り組んでいることを明確にしてきた。

米国の養豚農家は、これらの基本理念を発展させ、目標と指標を決定。それを実証するために、Sustainable Environmental Consultants(SEC)とネスレ、Ducks Unlimitedと協力し、農場のデータ収集に着手している。

昨年、17万5000エーカーの土地と300万頭超の豚に関するデータをFAOに提供した実績は、米国の生産者が継続的な改善への関与を続けている証拠だ。来年、NPBはデータから得たより詳しい情報をFAOと共有する。その結果として、栄養価の高い持続可能なタンパク質の提供と、気候変動および食料安全保障の解決に寄与していく方針だ。

 

※2024年1月30日 Pork Checkoff news

 
 

食肉企業100社へ、GHG排出量の測定と対策目標設定を支援

 
 

北米食肉協会(NAMI)は、6万5000ドルを投資して、Supplier Leadership on Climate Transition(気候変動に関するサプライヤーリーダーシップ:Supplier LoCT)とパートナーシップを締結した。これにより、Supplier LoCTが提供する気候変動研修プログラムに、アメリカの大手食肉企業100社が参加する機会が生まれることになった。

NAMIの会員企業は、温室効果ガス(GHG)排出量削減のための研修に参加できるようになる。2021年に開始されたSupplier LOCTは、気候変動対策をサプライチェーン全体で推進するための共同プログラムだ。NAMIは今回の投資を通じて、2024年に最大100社の参加を助成し、「2030年までに全ての会員が科学的に基づく排出量削減目標を設定する」という目標を支援する。

NAMIのジュリー・アンナ・ポッツCEOは、「この野心的な目標を達成するには、長期的なコミットメントに加えて、技術的なギャップを埋め、能力を構築するなどの短期的な実践的行動が必要だ。このプログラムを通じて、食肉会社の排出量測定や排出量目標の設定を支援していく」と述べている。

NAMIは、牛肉、豚肉、羊肉、子牛肉、七面鳥、加工食肉企業が参加する、米国最古かつ最大の業界団体で、会員は350社以上に及び、米国で販売する食肉の95%以上、七面鳥の70%以上を占めている。

同団体が掲げる「プロテインPACT」は、健康な人々、健康な動物、健康なコミュニティ、健康な環境のために、世界的な持続可能性の発展を推進するプログラムだ。

 

※2024年2月5日 FOODMARKET.com

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート