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TRADER'S Be & Po

vol.421 Mar.27.2023
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛は高値維持、カットアウト反落
豚カットアウト18%安、ベリー安が主因
トピック 「米国産」表示に新たな規則案発表―USDA
ワールドトレード 中国でASFが増加、今年後半の豚肉生産減少も
需給予測 豚肉の国内供給潤沢、景気と需要への影響を注視
消費動向 食肉の購入増加、パンデミック前の水準超え
リテール ケースレディーミート拡大続く、パッケージシェア83%に
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2023年1月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛は高値維持、カットアウト反落

 
 

生体牛の現金取引価格は、引き続き底堅い展開が続いている。コーンベルト地帯のフィードロットの状況が悪く、また南部では出荷待ちの頭数が少ないことが下支えとなっている。

3月第1週の生体牛平均価格は100ポンド当たり165.02ドル、枝肉平均価格は264.43ドル。それぞれ前週比2.70ドル高、3.46ドル高。週当たりと畜頭数が48万7000頭と少なく、5週連続の上昇となった。

第2週は、と畜頭数の減少見通しから、当初は横ばいから強含みと予想されていた。しかしボックスビーフの卸売価格の大幅安を受けて、ほぼ横ばいにとどまった。週前半の取引はほとんどなく、水曜日にアイオワで162〜165ドル、カンザスでは163〜165ドルで取引された。

この3週間で21.26ドルも上昇してきたカットアウト価格は、反落に転じた。3月第1週のカットアウト平均価格は288.91ドル、前週比7.05ドル高。前年同週比では10.0%高を付けたが、第2週は前半4日間でチョイスが4.72ドル安の284.6ドル、セレクトは同0.81ドル安の276.05ドルとなった。

 

※2023年3月13日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

豚カットアウト18%安、ベリー安が主因

 
 

3月第1週のポークカットアウト平均価格は100ポンド当たり82.4ドル、前年同期比18.3ドル安(18.2%安)。この下落の主因はベリーの安値(13ドル安)だ。さらにロインプライマルも15%安、リブプライマルは28%安となっており、この2部位でカットアウト価格を6ドル引き下げている。

ベリーの安値は、在庫が大量に積み増しされてきたことに加え、と畜頭数が予想を上回って推移していることが要因だ。USDA発表の1月末のベリーの在庫は7010万ポンド(前年同月比57%増)。過去5年平均比でも43.5%増と多い。

例年、ベリーの在庫は、需要が供給を下回る冬から初春の間に増加する。現状の予想では、ベリーの4月末時点の在庫は、過去5年平均を約33%上回る計7500万ポンド近くに達すると見られる。

この大量在庫が消化される5・6月まで、ベリーの価格は低く抑えられるだろう。在庫の消化に伴って、7・8月はベリーの価格上昇が見込まれるものの、それでも2023年の年間平均価格は136ドル、前年比14%安にとどまると予想される。これが引き続きカットアウト価格全体の引き下げ要因になるだろう。

 

※2023年3月13日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  カットアウト価格の構成パーツの価格変動(3月第1週の前年比高安)
  ポークベリープライマルの価格推移(日次ベース)
 
トピック

「米国産」表示に新たな規則案発表―USDA

 
 

米国農務省(USDA)は3月6日、自主的表示の「Product of USA」に関して、新しい表示規則案を発表した。この規則案では、食肉・家きん肉・卵製品における「Product of USA」または「Made in the USA」の任意表示は、それらが米国内で生まれ、飼育・と畜・加工された動物に由来する場合のみ使用を許可する。

この規則案は、関係者からの請願書や何千ものコメントおよびデータに裏付けられている。2021年7月に包括的な見直しを開始し、全国規模の消費者調査を行った結果、現在の「Product of USA」表示は、調査対象となった消費者の大多数にとって誤解を招くものであったことが明らかになった。

かなりの消費者が、表示の意味を「米国で生まれ育ち、と畜・加工された動物からつくられた製品」と捉えていることがわかり、現行の「Product of USA」の表示内容を改訂し、米国の原産地情報をより正確に伝えるために、今回の変更案を制定した。

本規則案では、「Product of USA」の表示は引き続き任意であり、また「genericlabel approval」が継続適用されるため、FSIS(食品安全検査局)の事前承認を受ける必要はないが、検査担当者が確認できるよう裏付け書類を保管する必要がある。

 

※2023年3月6日 USDA news release

 
ワールドトレード

中国でASFが増加、今年後半の豚肉生産減少も

 
 

中国でASF(アフリカ豚熱)の感染が急増しているため、今年後半の肉豚の生産は減少する見通しだ。養豚企業経営者やアナリストらが明らかにした。これを受けて、需要回復の最中にある世界最大の豚肉消費国では、豚価が上昇しつつある。

中国でのASF感染は、第一波が2018年から2019年にかけて発生した。それによって豚肉生産量が劇的に減少し、世界の豚肉貿易市場を揺るがした。それ以降、中国の農家は衛生面を大幅に改善し、このウイルスの影響を低減したが、依然として周期的な感染は絶えず、しばしば冬場に発生が増加している。

養豚企業経営者は、今年の感染急増の始まりは、コロナ抑制策を緩和して以降、数百万もの人々が移動した1月の旧正月前後だったという。Huachuang Securitiesのアナリストは、「ASF検査企業のデータによると、旧正月以降、陽性件数が急増し、1ヵ月の陽性件数は2022年の年間水準にまで達している」とレポートで述べている。

山東省や河北省など北部の省では養豚が盛んだが、この地域の大手企業のシニアマネージャーを務める人物も、「3月には極めて多数の新規感染が見られ、未だ終わっていないと感じる」と述べている。

 

※2023年3月15日 FOODMARKET.com(sauce: Reuters)

 
需給予測

豚肉の国内供給潤沢、景気と需要への影響を注視

 
 

米国の2023年の国民一人当たりの豚肉消費量は、前年比0.2%減と予想される。供給減にもかかわらず、2023年の年間豚肉卸売価格(カットアウトバリュ)は現時点で100ポンド当たり97.5ドル、前年比6%安と予想され、景気が後退へと向かえば、さらなる値下がりが懸念される。

下図が示すとおり、2021年および2022年は需要が強かった。ポストコロナでフードサービスの売上が回復したことが一因だった。2009年などの景気後退期には豚肉需要が急減し、当時のベリー価格も軟化していた。ベーコン需要は過去10年で回復力が強くなったが、依然としてフードサービスの需要に影響を受けやすい。

ベリー以外の品目は、少なくとも第2四半期間は季節的に上昇すると予想されるが、それでも昨年の水準は下回るだろう。豚肉の需要は長期的なトレンドに回帰する方向にあるが、品目によって値動きは大きく異なるだろう。ベリー価格は在庫の多さと外食需要の鈍化により、前年を大きく下回って推移すると予想される。

卸売市場における生鮮豚肉は、牛肉、鶏肉との競争も激化している。第2四半期のロイン、バット、リブの価格には上昇傾向が予想されるが、過去2年間の水準には届かないだろう。

消費者支出が鈍化しており、この傾向は春から夏にかけても継続する見通しだ。もし失業率が現在より上昇した場合は、消費者支出や全体的な需要見通への懸念はさらに強まるだろう。

現状における2023年と2024年の予測は、グラフに示したとおりだが、輸出が増えれば国内供給量は減り、需要曲線上で左側に移動するため、価格は上昇することになる。

 

※2023年3月13日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  ポークカットアウト価格と一人当たり国内供給量の相関
  米国の週当たり豚と畜頭数の推移
 
消費動向

食肉の購入増加、パンデミック前の水準超え

 
 

NAMI(北米食肉協会)とFMI(全米食品産業協会)が毎年行っている食肉(家きん肉含む)の消費・購買動向に関する年次報告書「第18回Power of Meat(2022)」によると、アメリカ人の食肉購入は、コロナ前よりも増加していることが明らかになった。2022年の食肉部門の販売額は871億ドル(前回調査比5.7%増)で、購入量もパンデミック前の水準を上回った。

「ミートイーター(肉食をする人)」の割合は78%で、前回調査より4ポイント上昇。「ビーガン/ベジタリアン」は6%で変わらず。「セミ・ベジタリアン」16%。

1回当たりの食肉購入額は15ドル以上で、購入頻度は週平均1回(2019年比5%増)。購入場所はスーパーマーケット(50%)が最も多く、次いでスーパーセンター(35%)、ディスカウントストア(5%)、会員制大型店(4%)など。

食肉購入の際の決定要因は、「品質および見た目(鮮度)」が引き続きにトップで、次いで「ポンド当たり単価」「パッケージ価格」が続く。2022年に食品・飲料価格は12.4%上昇したが、食肉価格の上昇率は 9.3%と全体を下回り、食肉の購入量は2021年比で2.5%減にとどまった。

しかし、大多数(76%)の回答者が、節約のために購入する食肉の量・種類・カット・ブランドや購入店舗を変えたと回答。節約のために最も気をつけていることは、必要な量だけ買う(42%)、値引き品を探す(35%)、安売り時にまとめ買いする(35%)など。また17%がオーガニックやグラスフェッドの食肉購入量を減らしたと回答している。

食肉購入者の85%は、"○○に良い"( 自分・家族にとって良い/動物に良い/地球に良い/農家・労働者にとって良い)という特性を最低一つは考慮していると回答。食肉類のブランドについては、「倫理的かつ責任ある調達方法にコミットしていることを信じている」(47%)、「持続可能な生産にコミットしていることを信じている」(45%)と回答している。

 

※2023年3月13日 FOODMARKET.com

 
リテール

ケースレディーミート拡大続く、パッケージシェア83%に

 
 

CRYOVAC社が毎年行っている調査「CRYOVAC Brand National Meat CaseStudy(2022)」によると、ケースレディーミート製品は、全ての食肉で引き続き増加している。包装販売される食肉のうち、ケースレディーミートのパッケージシェアは、2002年の49%から2018年に81%まで拡大、2022年は83%に達した。

包装製品会社であるSealed Airのディレクターは、「より多くの小売店が、トレーやラップなどを削減できるサステナブルなパッケージを選択している」という。

ケースレディーミートが拡大する一方で、生鮮肉のSKU(ストック・キーピング・ユニット=単品)の数は減少している。2022年の1店舗当たりのSKU数は平均117で、2018年(130)に比べて10%少ない。1店舗当たりの総パッケージ数は平均1039でほぼ横ばい。

消費者の81%は、「ケースレディーミートは、店内加工・包装品と同じくらい良い」と評価。この消費者の信頼感が普及をけん引し、七面鳥の99%、鶏肉の96%をはじめ、全ての食肉製品でケースレディ販売が当たり前になってきている。

店内加工が最も多いのは牛肉だが、牛肉のケースレディーミートは2018年の66%から2022年には71%に拡大。調査開始当初は、牛肉製品の51%が店舗でカット・包装されていたが、その比率は2022年に17%まで低下している。

 

※2023年3月13日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
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    マーケット・データ

     
     
     
     
     
     
     

    ビーフ・ファクト・シート