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TRADER'S Be & Po

vol.417 Jan.23.2023
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 2023年の生体牛価格は高値必至、干ばつの影響続く
2023年の豚肉供給、上半期は減少も秋には小幅増加
トピック 2022年ビーフパッカー上位30社
輸出動向 牛肉輸出額、11月までで109億ドル、年最高更新
生産動向 軽量級の子牛、値上がりが顕著に
USMEFインフォメーション SMトレードショーに出展、2月15日から幕張メッセで
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2022年11月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

2023年の生体牛価格は高値必至、干ばつの影響続く

 
 

この2年間、広範囲に及ぶ干ばつが、牛の飼養頭数に多大な影響を与えてきた。これは2023年も継続する可能性があり、生体牛の価格は前年を上回って推移するだろう。2023年の生体牛の年間平均価格(100ポンド当たり)は、2022年の144.41ドルに対し、156〜157ドル近辺と予想される。

肥育素牛価格も大幅高となる見通しだ。家畜マーケティング情報センター(LMIC)では、サザンプレーンズにおける700〜800ポンド級の去勢牛の平均価格は、2022年の168.89ドルに対して180〜182ドル、500〜600ポンド級去勢牛は同191.40ドルに対して207〜209ドルと予想している。

米国ではこの4年間、牛群が減少してきた。2023年1月1日時点の牛総飼養頭数は8950万頭と推定される。これは前年比で240万頭の減少だ。LMICによると、今年の牛と畜頭数は3259万1000頭(前年比5.3%減)となる見込み。これに連動して、牛肉生産量は269億7200万ポンド(同4.9%減)になると予想している。

枝肉の平均重量は828ポンド(前年比3ポンド増)と予想され、と畜頭数の減少(前年比180万頭減)を若干相殺するが、肥育牛・経産牛ともに入手可能性が低下するため、パッカーは生産能力を抑えて工場を稼働することになるだろう。

肥育素牛の入手可能性は、干ばつの影響によって左右されるだろう。子牛の主要生産州で干ばつが続けば、引き続きフィードロットへの導入が促進される可能性もある。オクラホマ州立大学のダレル・ピール氏は、「17州における干ばつの状況が改善しなければ、未経産牛は繁殖用としての保有よりも導入に流れ、牛群の減少が2023年も続く可能性がある」と予想している。

 

※2023年1月9日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

2023年の豚肉供給、上半期は減少も秋には小幅増加

 
 

USDA(米国農務省)の豚飼養動向調査を基に、2023年の肉豚出荷・と畜頭数を予想すると、春季のと畜頭数は前年比2%程度の減少、夏季は同1.6%増、秋季は同1%程度の増加となっている。年間の豚肉生産量は、下半期に増加するが、上半期の落ち込みをカバーするまでには至らず、2022年比で「微減」となる見通しだ。

2022年12月1日時点の肥育豚の飼養頭数は、前年同期比で2%減と135万5000頭少ないため、今年の第1四半期・第2四半期の出荷頭数は、前年同期を下回って推移する。例年の季節的な減少と飼養頭数の減少が要因となり、2023年は年初から、豚肉供給はタイト感に直面するだろう。

2022年秋季の通常稼働週のと畜頭数は、週当たり257万頭前後だった。これに対して、今年1〜3月の週当たり平均と畜頭数は242万頭前後と予測され、15万5000頭少ない。昨年4・5月の週当たり平均は238万頭前後、今年はこれに対して4万7600頭少ないと予想される。

豚肉バイヤーは例年、春季の後半から夏季の季節的な供給減少に備えて、第1四半期に在庫を構築する。また外国のバイヤーも、第2四半期の季節的な供給減を認識していることから、第1四半期の輸出量が増える。今年はすでにタイト感があるため、第1四半期の輸出や在庫構築のいかなる遅れも、例年以上に夏季の供給に大きな圧力を加えることになるだろう。

2023年後半の供給を予想する上で重要な繁殖豚の飼養頭数は、12月1日時点で615万4000頭(0.5%増)だった。多くのアナリストが前年比で減少を予想していたため、少し意外な数値であったが、9〜11月期に繁殖豚の保有が前年同期に比べて改善したことが一因だろう。繁殖豚の増加と、一腹当たり産子数の緩やかな向上により、12〜2月期の子豚生産頭数は1%増と推定される。

2022年の生体豚価格は、大半の期間で力強い回復を示した。豚肉価格は一部の品目で卸売価格が値下がりし、中国向けの輸出需要も緩んだが、生体豚現金価格は100ポンド当たりで2021年比13ドル・15%高となり、シカゴ商品取引所の現金取引指標も6%高となった。

 

※2023年1月2日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  米国の子豚生産頭数(四半期毎の前年同期比増減)
  米国の繁殖豚の飼養頭数の推移
 
トピック

2022年ビーフパッカー上位30社

 
 

Cattle Buyers Weekly紙は、第35回目となる「全米ビーフパッカーランキング上位30社」(2022)を発表した。これは1日当たりのと畜能力をベースにしたランキングで、上位30社合計の工場数は55工場で前年と変わらず、と畜能力も前回と大きな変化はない。

上位5社のと畜能力は27工場・9万7500頭で前年と変わらず。施設拡張などによって、以下の3社が能力を増強した。6位(前年6位)キャビネス/CSビーフ100頭増、13位(15位)FPLフード300頭増、20位(23位)VPPグループ50頭増。

  2022ビーフパッカー上位30社
 
輸出動向

牛肉輸出額、11月までで109億ドル、年最高更新

 
 

USDA発表・USMEF集計の食肉輸出統計によると、米国産牛肉の輸出額は前年同月を上回り、1〜11月累計で110億ドルに迫り、年間の過去最高を更新することが確実となった。豚肉は、量と金額ともに今年最多を記録した。

11月の牛肉輸出量は11万5777トン(前年同月比6%減)、輸出額は8億4660万ドル(同20%減)。1〜11月累計の輸出額は109億ドル(同14%増)となり、2021年に記録した年間最高記録(105億8000万ドル)をすでに突破した。輸出量も136万トン(同3%増)と記録的なペースを維持している。

牛肉輸出額は、全体での記録更新と同時に、1〜11月の輸出額が25億1000万ドルに達した韓国をはじめ、いくつかの個々の市場でも年間記録を達成した。韓国向けの輸出量は26万7664トン(同4%増)で、年間記録を更新する見込み。

中国/香港向けの11月の輸出量は、前年をわずかに下回る2万233トン、輸出額は1億8430万ドル(同10%減)。1〜11月は26万3431トン(同20%増)、24億1000万ドル(同27%増)で、新しい年間記録を打ち立てた。

フィリピンとベトナムの成長にけん引されたASEANは、6万168トン(同20%増)、4億2750万ドル(同60%増)。フィリピン、シンガポール、カンボジアへの輸出額が、年間最高を更新した。タイへの出荷も記録的なペースで進んでいるため、この地域での成長が拡大している。

日本は、11月に2万3840トン(同13%減)、1億5580万ドル(同36%減)と減速したことから、1〜11月でも28万4158トン(同4%減)と前年を割り込んだが、輸出額は21億7000万ドルで、前年をわずかに上回っている。

一方、11月の豚肉輸出量は24万5663トン(同3%増)、輸出額は7億2510万ドル(同10%増)と、量・金額ともに今年の最高を記録し、2021年5月以来の高水準となった。1〜11月累計は243万トン(同10%減)、70億ドル(同7%減)。

 

※2022年12月7日 USMEF Press Release

 

豚肉の国別輸出は「ポークファクトシート」を参照下さい。

 
生産動向

軽量級の子牛、値上がりが顕著に

 
 

ここ数カ月間、軽量の子牛価格が上昇している。サザンプレーンズでの400〜500ポンドの子牛価格(100ポンド当たり)は、10月の200ドル割れから、12月には230ドルまで上昇した。コロラド州立大学のステファン・クーンツ氏は、「市場関係者の多くが季節動向に反した上昇を予想していたが、これほどの上げ幅は予期していなかった。秋冬を通して子牛価格が上昇し、経産牛価格も堅調だったが、牛肉全体の価格システムにとっては明らかに危険信号だ」という。

ボックスビーフの卸売価格(カットアウト価格)は、12月に250ドルを割って一服している。過去2年間のような強力な需要のけん引力は見られない。肥育牛価格は上昇し、ボックスビーフ価格が横ばいだったため、結果的にパッカーのマージンが圧縮された。

生体牛とカットアウトの価格の開きは、11月時点で1頭あたり約250ドル。同氏は、「コロナ以後に、この差で利益が出せたパッカーはいないだろう。生産者の中には、パッキングは非営利の公共サービスであるべきだと考える人もいるが、現実的にはそうはいかない。パッカーは工場の稼働時間やと畜頭数を縮小するだろう。肥育牛価格が新たな高値に跳ね上がることはなく、子牛市場を真に楽観視するには、降水量が増えるのを待たなければならないだろう」と述べている。

 

※2023年1月9日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
USMEFインフォメーション

SMトレードショーに出展、2月15日から幕張メッセで

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)は、2月15〜17日の3日間、千葉市の幕張メッセで開催される「第57回スーパーマーケット・トレードショー2023」にメンバー企業3社とともに出展します。

USMEFブースでは、アメリカンビーフ・ポークの需要拡大に向けた2023年の活動予定の案内と販促提案を紹介します。今回は、「揚げる」をテーマにした一般試食を行い、ビーフでは「アイダホフィンガーステーキ」、ポークでは「豚カラ」を提供します。
またブース内試食では、一般試食に配布する2品に加えて、ビーフは「カントリーフライドステーキ」「コトレッタ」、ポークは「電子レンジで作るサラダポーク」を試食提供し、春夏の提案メニューの販促を紹介します。各種パンフレット・ガイドブック等も配布しますので、ご来場の際は是非ともUSMEFブースにお立ち寄り下さい。なお、パッカーブースには以下の3社が出展します。

【共同出展メンバー企業】
N.B.P.Japan
Trex
Jones Daily Farm

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート