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TRADER'S Be & Po

vol.345 Dec.9.2019
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 牛肉価格は感謝祭後に軟化、年末に再上昇か
ランキング ポークパッカー上位47社、1日と畜能力50万頭突破
トピック 牛ひき材価格が急上昇、4年ぶりの高値
枝肉の輸出データの報告を規則化―USDA
業界ニュース タイソンのカンザス州の牛肉工場が再開へ
リテール 小売の牛肉需要は予想以上に強い、豚肉は大幅改善
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2019年10月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

牛肉価格は感謝祭後に軟化、年末に再上昇か

 
 

生体牛の現金取引とボックスビーフ市場は、感謝祭(11月28日)の後に軟化する可能性が高い。しかし、クリスマスから新年に向けて牛肉需要が増加するため、価格は再び上昇することが見込まれる。

昨年12月の価格推移をみると、最初の2週間、生体牛は100ポンド当たり平均118ドル強で推移し、第3週に小幅上昇、最終週は平均122.52ドルまで上昇した。今年の価格は、11月第3週段階で生体牛115.19ドルと前年水準には達していない。

しかし、11月第4週は強基調で推移し、特に北部の枝肉価格が上昇。生体牛は前週比0.59ドル高、枝肉は0.68ドル高。枝肉価格は181.72ドルとタイソン社のホルコム工場閉鎖前の水準を回復した。

アナリストは「今週はさらに上昇するかもしれない」という。ここ数週間、ボックスビーフの高値により、パッカーマージンが大きかった。生体牛価格と肥育業者マージンが調整される局面だろう。

生体牛の先物は12月契約分が約119ドルを維持。このため、肥育業者は生体牛118ドル、枝肉184ドルでオファーし、水曜日に南部平原で生体牛116ドル、枝肉184ドルで5万6892頭が取引された。

一方、チョイスのカットアウト価格は感謝祭用の手当てが完了し、値下がりした。先週は最初の4日間でチョイスは5.94ドル下落し、セレクトは0.47ドルの低下。全体平均は234.26ドルとなった。

しかし、牛肉は小売での販売が依然として良好。さらに、ひき材需要の急激な高まりと価格高騰(別項参照)に加え、牛肉輸出は前週比30%増、5週間ぶりに1000ロード(≒コンテナ)を超えており、ボックスビーフ価格は年末のホリデーシーズンの需要で再上昇する可能性が高いだろう。

 

※2019年11月25日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
ランキング

ポークパッカー上位47社、1日と畜能力50万頭突破

 
 

全米豚肉委員会(NPB)は、2019年のクイック・ファクトで、主要ポークパッカーの推定と畜能力(工場別・1日当たり)を公表した。それによると、主要47社・グループの合計と畜能力は50万6470頭で、前年より1万1935頭増加し、50万頭を突破した。

増加の主因は、プレステージファームがアイオワ州に建設した新工場が1日当たり1万頭で稼働を開始したこと。トップ3は順位・と畜頭数ともに変動なし。第1位はスミスフィールドグルーブの10工場・13万300頭。2位はJBS5工場・9万3000頭、3位はタイソン・フーズ7工場・8万1300頭。

前年4位のホーメルは、ネブラスカ州フリモントの工場を売却したため、8位にランクが下がった。代わってクレメンス・フード・グルーブが4位に上昇したが、5位のトライアンフ、6位のシーボード、7位のトライアンフ−シーボードは豚肉のマーケティングがシーボード基準で統一されており、これらをシーボードグループとみなして合算すると3工場・6万2400頭になる。

  ポークパッカーの1日当たりと畜能力(2019)
 
トピック

牛ひき材価格が急上昇、4年ぶりの高値

 
 

米国産の90CL(赤身率90%の牛ひき材)の価格は、雌牛のと畜頭数が前年比で大幅に増加しているにもかかわらず、過去4年間で最高値に達した。今後の世界的な需給の不確実性、特に中国からの強い需要と豪州の供給減から、米国国内産と豪州から輸入された90CLの価格が急上昇した。

11月第2週の90CLの価格は、100ポンド当たり240.29ドル。これは、前年同週比25.7%高、2015年10月第2週以来の高値更新となった。今年これまで(11月2日現在)の雌牛と畜頭数が、前年同期比で15万6420頭(週平均3555頭)多いにも関わらず、この高値となっている。

一方、輸入物の90CL価格は、豪ドルベースでは史上最高値。先週の指標価格は1s当たり8.40豪ドル、月曜日には9.60豪ドルを付けた。今年の年初から2.17豪ドルの上昇だ。加工用の牛ひき材は豪州の牛肉輸出の約3分の1を占め、米国が最大の市場となっている。

MLAは、中国の需要が世界の食肉需給に大きな影響を与えていると指摘する。中国は2019年に世界の主要な輸出国で急速に市場シェアを拡大し、豪州からはトリミングのほか、ナックルやインサイドなどの赤身のプライマルカットも購入。結果的に、これが豪州の牛価格を3年ぶりの高値に押し上げ、米国の輸入価格も上昇した。米国のトリミング(50CL)の価格も先週、100ポンド当たり93.37ドル、前年同週比43.5%高と高騰した。

ハンバーガーは米国の食生活の主力であり、豪州の牛肉貿易を支えてきた。しかしこの歴史的な関係は今後数年間で変化するかも知れない。過去10年間、米国は年間で使用する赤身の牛ひき材の約20〜35%を輸入しているが、これは牛肉消費量全体の8〜14%に過ぎない。言い換えれば、米国産牛肉の半分以上がひき材として消費されている。

豪州は米国が輸入するボンレスビーフの主要供給源で、過去10年間、44%を占めている。次いでNZ38%、ニカラグア7%、ウルグアイ5%。しかし、豪州はこの2年間で中国向けが拡大し、日本、韓国などを含めたアジア諸国への牛肉輸出割合は2015年の34%から2018〜2019年は56%を占めるまでになったという。

 

※2019年11月25日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

枝肉の輸出データの報告を規則化―USDA

 
 

米国農務省(USDA)は11月18日、輸出業者は豚肉と牛肉の枝肉の販売を報告しなければならないとする規則を公表した。アフリカ豚コレラ(ASF)の被害拡大により、中国の豚肉輸入が急増していることに関して、より正確な情報の収集と提供を図ることが狙い。

USDAは、中国への豚肉輸出が増加する中で「報告の欠如」があったとし、規則の明確化を図った。輸出業者の一部には、「USDAは輸出業者にマッスルカット(正肉)の販売情報を報告するようにとしていたが、これに枝肉が含まれるかどうかは不明だった」という。

中国は、WHグループのスミスフィールド・フーズ社のような企業から米国産豚の枝肉を購入している。大手パッカーは「今回の規則変更は、業界に透明性を提供し、混乱を解消するのに役立つ」という。

USDAは、輸出販売データを毎週公表しているが、これまでは枝肉の販売報告が不確実であったため、データは不完全だった。「今回の措置でルールはかなり明確になった。中国が実際に必要とする豚肉の量を図る上で有意義になる」。

米国からの中国向け枝肉の出荷は、スミスフィールド・フーズが豚枝肉を3分割して輸出することを今年6月から拡大した。USDAのデータによると、出荷量は9月末までに合計7万8390トンに達し、2017年(676トン)の10倍以上に達している。USDAは「農産物輸出販売データのタイムリーな報告と公開は、市場を効果的に機能させるための鍵となる」と述べている。

 

※2019年11月26日 FOODMARKET.com

 
業界ニュース

タイソンのカンザス州の牛肉工場が再開へ

 
 

タイソン・フーズは、8月9日の火災で閉鎖していたカンザス州のホルコム工工場の操業を再開する。12月第1週に牛の受け入れを再開する予定で、1月の第1週までに完全稼働する予定だ。

同工場は1日当たり6000頭のと畜・処理能力を持っており、工場閉鎖は生体牛の現金取引価格の下落と、牛肉価格(カットアウトバリュ―)の上昇に繋がっていた。再稼働は全米の牛と畜能力を正常化させ、カンザス州南西部の生体牛価格を押し上げるかもしれない。

 

※2019年11月25日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
リテール

小売の牛肉需要は予想以上に強い、豚肉は大幅改善

 
 

LMIC(畜産マーケティング情報センター)の新たな分析により、今年の牛肉需要は予想以上に強いことが確認された。第3四半期の牛肉需要は、LMICの食肉需要指数で前年よりも上昇した。この指数は、USDAの小売価格調査を加味した国内消費者需要の変化の尺度である。

小売の牛肉需要指数は、2008年から2013年にかけて100を下回る値で推移し、その後から現在まで上昇傾向にある。2014年以降の第3四半期の指数は102以上で推移し、2017年108、2018年107、2019年は110に達し、2015年以来の高水準。第3四半の数値の高さから、今年の年次指数は2015年以来の高水準になる見込みだ。

一方、小売の豚肉需要指標は第3四半期にさらに大きく上昇し、昨年の93から106まで上昇。牛肉よりも大幅な改善を見せ、第3四半期では2000年以降で最も高くなった。2000年〜2004年の小売豚肉需要指数は94〜102の幅で推移し、2005〜2014年の第3四半期は90未満、2015年以降からは90を超えて推移していた。過去5年間で、2019年は牛肉と豚肉の両方がプラスの変化(需要曲線の上方移動)が明らかとなったが、2019年の第3四半期は、豚肉需要指数が好調に推移。牛肉も上昇したが、第3四半期のうち2カ月は1%未満の上昇にとどまった。

 

※2019年11月25日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ポーク・ファクト・シート