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TRADER'S Be & Po

vol.344 Nov.25.2019
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛価格回復、カットアウトは上昇
トピック ASFの最新情報と豚肉市況の見通し
中国の豚肉輸入急増、米国からの輸出も拡大
輸出動向 2020年の食肉輸出予測、牛肉5%増、豚肉15%増
USMEFインフォメーション アメリカン・ポークセミナーを福岡、大阪でも開催
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2019年9月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛価格回復、カットアウトは上昇

 
 

生体牛の現金取引価格は、8月9日に大手パッカーのカンザス州の工場が火災で閉鎖して以降、12週間を経てようやく閉鎖前の水準に回復した。先週の主要5州の生体牛(去勢)の平均価格は100ポンド当たり113.03ドル。前週比で2.90ドル上昇し、火災閉鎖前の週平均112.37ドルを上回った。枝肉価格は179.39ドル、前週比4.83ドル高。

先週の現金取引は、週の前半は横ばいだったが、後半には南部平原で生体牛が114.00ドル、枝肉は181.00ドルで販売され、カンザスでは生体牛114ドル、枝肉は181〜182ドルで取引された。

先週のと畜頭数は推定で65万8000頭と多かったが、アナリストは、フィードロットの導入状況から予測すると、11月後半には出荷頭数が減少するという。例年、サンクスギビングデー(感謝祭=11月第4週の木曜日)以降に、価格は一時的に下落するが、その後は再び上昇する可能性が高い。

ただ、懸念材料は枝肉重量が増加していることだ。10月最終週の去勢牛の枝肉重量は平均906ポンド(前年同週比11ポンド増)、前週比6ポンド増。未経産牛は835ポンド(同7ポンド増)、同4ポンド増。昨年の同時期は冬の厳しい天候の影響を受けて軽量化していた反動でもあるが、今後の推移を注視する必要がある。

カットアウト価格は堅調な需要、特に小売業界の需要が強く上昇した。先週木曜日の終値はチョイスが100ポンド当たり238.29ドル、セレクトは213.02ドル。前週平均に比較し、それぞれ6.76ドル高、6.83ドル高。取引量は7462ロード(≒コンテナ)と前年同週比17.8%増加し、2018年10月の第3週以来最大の取引量となった。

 

※2019年11月11日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
トピック

ASFの最新情報と豚肉市況の見通し

 
 

この1年間の豚肉市況予測は、中国をはじめとするアジア諸国でのアフリカ豚コレラ(ASF)の問題に左右されてきた。中国での影響と回復に要する期間が統計的に把握しづらい中で、時には米国産豚肉のエンドユーザーを混乱させることもあるが、1つの重要な視点は、2020年の主要国における食肉(牛・豚・鶏肉)の世界の生産量が、中国でのASF発生以前の水準を7%下回るということだ。

急激な供給収縮は、世界中の食肉の供給構造の再編をもたらす可能性が高い。しかもこの供給不足は、家畜の生産サイクルから短期間では解消されない。すでに牛肉輸出は、中国向けの劇的な変化によって在庫が着実に減少しており、2020年には豚肉輸出へのシフトが強まると予想される。また、北米、南米、アジアから中国への鶏肉輸出はさらに増えることが見込まれる。

中国でのここ3カ月間のASF発生の症例報告は極わずかだが、これは疾病が封じ込められているためではない。単に豚の飼養頭数が減少したことによるものとみるべきだろう。

中国の約400の監視ステーションの最新調査では、豚の飼養頭数は前月から約3%減少。繁殖豚は1年前から38%減少し、総飼養頭数は約41%減少している。中国の子豚、肥育豚、豚肉の小売価格はここにきて急騰した(グラフ参照)。これは供給不足の深刻さの明らかな兆候だ。

今夏まで価格上昇を抑えていた冷凍在庫が、ついに枯渇し始めたようだ。需要がピークとなる旧正月(2020年1月下旬)に向けて、豚肉不足はさらに顕著になると予測される。

  中国の子豚価格・肥育豚価格・豚肉小売価格の推移
  中国の母豚数の前年比の推移
 
 

中国の豚肉輸入急増、米国からの輸出も拡大

 
 

中国では、豚肉はほとんどが温と体で流通、生鮮で消費される。国内生産の縮小を受けて、9月の中国の豚肉輸入は前年同月比72%増と急増した。米国の輸入シェアは16%だが、輸入の伸び率の約3分の1を占めている。

ASFは、中国以外のアジア諸国で広がり続けている。ベトナム、フィリピンでは発症例数がまだ増加しており、豚肉消費の主要な市場である韓国でも北朝鮮との国境地域で症例が増加している。日本では発生していないが、管理当局は侵入防止に懸命になっている。

中国はこの2カ月間で米国産豚肉の購入を増やし始めたが、まだ購入約束済の約7億7000万ポンドを輸入していない。米国の豚肉供給は現在、過去最高の水準にあり、輸出が2ケタ増加しても豚肉価格は比較的安定している。

肥育豚の出荷は、季節的に第1四半期に減少し、第2四半期はさらに低下するが、米国の豚肉パッカーは、中国向け輸出への対応からラクトパミンフリーの豚肉を増やす準備を進めている。現時点の予測では、2020年の初めに米国の肥育豚供給の75%以上がラクトパミンフリーになる可能性がある。

最大の問題は、米中両国間の貿易交渉だ。現時点では、米国産豚肉は報復関税を含めて関税率は62%であるのに対して、ヨーロッパやブラジル産豚肉の関税は12%だ。関税差があっても、現状の米国産豚肉とEU産豚肉の価格は拮抗している。貿易協定が成立すれば、中国の政府機関と民間企業の両方が米国から大量の輸入を行う可能性がある。

  中国の月別豚肉輸入量の推移
 

※2019年11月11日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

 
輸出動向

2020年の食肉輸出予測、牛肉5%増、豚肉15%増

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)は、2020年の米国の牛肉輸出は前年比5%増、豚肉は同15%増との見通しを示した。牛肉の輸出増加は日本との新しい貿易協定が後押しとなり、韓国でもチルドの成長が持続。豚肉は、食肉の供給不足に直面している中国向けが記録的な数量になる可能性が高いという。

この見通しは11月5日、ダン・ハルストロム会長兼CEO、ジョエル・ハガード副会長(アジアパシフィック担当)や各国の上級スタッフが出席したメディア・コールで語られた。USMEFが7日に発表した9月ならびに第3四半期までの輸出動向と主要輸出先の概観は以下のとおり。

9月の牛肉輸出量は10万9799トンとほぼ前年同月並みだが、第3四半期までの累計輸出量は99万1325トン(前年同期比2%減)。輸出額の1頭当たり換算は318.54ドル(同5%減)。1〜9月平均は3%減の310.77ドル。生産量に占める輸出割合は14.6%、正肉単体では11.9%。1〜9月累計の割合は14.3%、正肉11.6%。

9月の豚肉輸出量は20万2248トン(同13%増)。1〜9月累計は190万トン(同5%増)。輸出額の1頭当たり換算は49.98ドル(同3%増)、1〜9月51.50ドル(同2%減)。輸出割合は25.1%、正肉単体は21.7%。1〜9月は26.3%、同22.8%。

【日本】

9月の日本向け輸出は2万4041トン(同14%減)。1〜9月累計は24万1739トン(同4%減)。この減少は正肉19万2676トン(同10%減)によるもので、牛バラエティーミートは4万9063トン(同26%増)と引き続き増加している。

日本市場では、競合国との関税率ギャップが輸出数量に反映している。米国産牛肉の関税率は38.5%で、他の競合国よりも12.8%高い。ハルストロム会長は、新たに合意・署名された日米貿易協定の内容に言及。新協定の実施には、日本の議会承認が必要なため、2020年1月1日になるとの見通しを示した上で、豪州の牛群が減少する中、新協定の下で競合他国と公平な条件になれば、米国産牛肉には新たな成長機会があることを強調した。

【韓国】

9月の輸出量は2万1267トン(同11%増)、1月〜9月累計は19万5557(同8%増)。韓国の税関データ(1〜10月)における米国産牛肉のシェアは56%を占め、昨年の53%から上昇している。米国産牛肉の関税率は18.7%で他の競合国よりも5.3%低い。関税率は2026年までにゼロになる見通し。

韓国の小売市場では、米国産のチルドビーフの支持が高まっている。米国産の市場シェアは62%で豪州の38%を引き離している。コンビニで販売される家庭料理のキット商品で、米国産牛肉にはユニークな機会があるという。

【メキシコ】

9月の牛肉輸出量は1万9464トン、前年同月をわずかに上回った。うち牛バラエティーミートは9018トン(同26%増)で根強い需要がある。1〜9月累計の輸出量は17万5992トン(同1%減)。豚肉は同5万6467トン(同1%減)、同52万9776トン(同10%減)。

メキシコは5月下旬に、米国産豚肉に対する20%の報復関税を撤廃。以来、輸出は大幅に回復しているが、まだ1年近く続いた報復関税問題の影響が残っている。米国・メキシコ・カナダ協定の批准が市場心理の確実な助けになる。

【中国・香港】

9月の豚肉輸出量は5万1192トン(同158%増)、1〜9月は40万7514トン(同47%増)。ASFの影響で国内豚の供給がひっ迫し、豚肉価格はこの1年で80%以上も値上がりした。中国の1〜9月の総食肉輸入量は430万トン(同38%増)。米国産豚肉の関税率は72%で、米国産のシェアは13%に留まっている。

ハガード副会長は、報復関税が撤廃されれば劇的に成長する可能性があると強調し、米中貿易交渉の第1段階の合意を切望するとしたが、一方で中国の食肉不足に対応するためには、世界的な供給チェーンに大きな負担がかかることを解説した。

 

※2019年11月11日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
USMEFインフォメーション

アメリカン・ポークセミナーを福岡、大阪でも開催

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)は「アメリカン・ポークセミナー&テイスティングセッション」を札幌市(10月31日実施)に続き、名古屋、福岡、大阪で連続開催します。

当セミナーでは、アメリカン・ポークの最新市場動向および販促計画をご紹介させていただきます。また、テイスティングセッションでは、USMEFが推奨するアメリカン・ポークのメニューをお楽しみいただけますので、ご都合に合わせて各会場でご参加くださいますようご案内申し上げます。

主なプログラムと開催日程は以下のとおりです。

【プログラム】
アメリカン・ポークのマーケット状況
アメリカン・ポーク 外食のトレンド
アメリカン・ポークの販促提案
メニュー提案デモンストレーション
 低温調理器を使った調理実演(ヒレカツ、厚切りステーキ)
 アメリカのBBQ定番メニュー「プレドポークバーガー」
テイスティングセッション
 低温調理メニュー/プルドポークを使ったアレンジメニュー等

【開催日程】(開催時間はすべて15時〜17時30分)
◇名古屋会場/11月26日(火) 定員100名
       ストリングスホテル 八事 NAGOYA
       (名古屋市昭和区八事本町100-36)
◇福岡会場/11月28日(木) 定員100名
       オリエンタルホテル福岡 博多ステーション
       (福岡市博多区博多駅中央街4-23)
◇大阪会場/12月5日(木) 定員150人
       アートホテル大阪ベイタワー
       (大阪市港区弁天町1-2-1)

お問い合わせはUSMEF:担当 加藤(skato@usmef.org)まで。

 
 

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