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TRADER'S Be & Po

vol.334 Jun. 10.2019
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
USMEFインフォメーション 貿易課題解決で見通し好転―USMEF・BOD会議
輸出動向 輸出見通しが一気に好転、報復関税や月齢制限撤廃
ワールドトレード ASF発生後もゾーニングで貿易継続―米・加が合意
トピックス 中国の豚肉価格、ASFで70%高騰の懸念も
生産動向 牛肉生産量は2019・2020年ともに記録更新
フードサービス 外食の食材コスト、今年後半に上昇―ラボバンク
飼料関連ニュース 飼料価格の上昇は来年も抑制、潤沢な在庫と他国の生産増で
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2019年3月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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USMEFインフォメーション

貿易課題解決で見通し好転―USMEF・BOD会議

 
  USMEF BODミーティング

米国食肉輸出連合会(USMEF)は5月22〜24日、カンザスシティで2019年春季の「USMEF BODミーティング」を開催しました。

初日に行われた最近の貿易動向に関するセッションの冒頭、ダン・ハルストロム会長兼CEOは「コメントを準備していた1週間前には、メキシコ向け豚肉の20%関税などネガティブな話題が多かった。しかし、月曜日(20日)の朝、ほぼ1年ぶりに関税ゼロで米国産豚肉がメキシコに輸出されるなど、メキシコ、カナダ、日本から素晴らしいニュースが入った」とし、メキシコ、カナダの報復関税の撤廃、日本の月齢制限の解除について報告しました。

ハルストロム会長は、米国産牛肉・豚肉の主要市場である日本の日欧EPAや環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)は、米国にとって大きな不利益になるとした上で、最近の日米貿易交渉開始とその加速に期待がもたれること、また5月20日に発効した月齢制限解除により「日本への米国産牛肉輸出は年間1億5000万ドルから2億ドル増加する」との見通しを示し、米国農務省(USDA)と米国通商代表部(USTR)の問題解決に向けた取組みに謝意を表明しました。

アイオワ州の豚肉生産者であるコンリー・ネルソンUSMEF会頭は「業界が一体となった回復力が、米国の農業輸出拡大と市場アクセスの改善に重要な要素である」とし、「今は明らかに不確実性と不安定さが増している時代。それは時として米国の農業における緊張と分裂の増大につながる可能性がある。このような困難な時代だからこそ、業界の全部門間でハイレベルな協力関係をゆるぎないものにすることが重要である」と強調しました。

基調講演では世界的な貿易にも精通した地政学的戦略家でベストセラー作家ピーター・ツァイハン氏が『障害の最先端』と題し、現在の貿易環境が米国の農業と食肉産業にどのような影響を与えるかについて見解を示しました。2日目はUSDAの貿易・海外農業問題担当のデッド・マッキニー氏による講演およびUSMEF常任委員会会合、最終日の24日にアフリカ豚コレラ(ASF)の貿易への影響に関するパネルディスカッションなどが行われました。

 

※2019年5月23日 USMEF news release

 
輸出動向

輸出見通しが一気に好転、報復関税や月齢制限撤廃

 
 

米国の牛肉・豚肉の輸出見通しが一気に好転した。トランプ大統領がメキシコ・カナダ2国に対する鉄鋼・アルミニウム輸入関税の撤廃を発表したことを受け、メキシコは米国産豚肉に対する20%関税、カナダは米国産の調理済み牛肉に対する10%関税を撤廃すると発表。北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新たな貿易協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の批准へ向けた道が切り開かれた。

一方、日本とは米国産牛肉に対する月齢制限を完全に撤廃することで合意。即時施行により、2003年以降初めて、月齢を問わず全ての牛の製品の日本への輸出が許可された。米国農務省(USDA)はこのアクセス拡大により、日本へ輸出される米国産牛肉および牛肉製品は年間2億ドル増加すると推定している。

米国食肉輸出連合会(USMEF)のダン・ハルストロム会長兼CEOは「メキシコ、カナダへ向けた関税ゼロでのアクセスを回復したことは、米国の食肉業界にとって劇的な打開策となる。USMCAへ向けた大きな障害が取り除かれたことから、USMEFは3国間の一刻も早い批准を望んでいる」とコメント。他の貿易団体も同様に歓迎している。

日本の月齢制限の撤廃は「世界の牛肉貿易において、BSEを克服し前進するための大きな一歩。 日本への輸出は今後も30カ月齢未満の牛由来が大半だが、30カ月齢以上のマッスルカットおよびバラエティーミートのチャンスは大きい。BSE以前の時代からいる日本のバイヤーはこれらの扱いに精通しており、日本向け輸出額は推定で年間7%〜10%、1億5000万から2億ドル増加する」(USMEF)。

月齢制限撤廃により、30カ月齢以上の牛由来のマッスルカットはショートプレート、チャックアイロール、ショートリブ、ミドルミート、クロッド、ブリスケなどの引き合いが増え、バラエティーミートではタン、マウンテンチェーントライプはじめスカート、ハンギングテンダー、アボメイサム、インテステインなどの需要が見込まれる。

 

※2019年5月27日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
ワールドトレード

ASF発生後もゾーニングで貿易継続―米・加が合意

 
 

米国農務省(USDA)とカナダ食品検査庁(CFIA)は、両国いずれかでアフリカ豚コレラ(ASF)が報告された場合、ゾーニングシステム(地域限定主義)で貿易を継続することで合意した。この合意は、2018年8月にCFIAとUSDAが締結し、ゾーニングと取引の原則を確立したゾーニング契約に基づいたもの。

共同声明で両国の獣医長はASFが発生した場合、生体豚、豚の精液、ペットフード、副産物および食肉の貿易を承認された無病地帯で継続できるよう、輸出証明書の修正に取り組み、合意に達したと述べている。

報道によると、USDAの担当者は家畜と海外農業に関する下院小委員会に先立ち、アフリカ豚コレラに対する効果的なワクチンの開発には最大8年かかる可能性があり、ASFには20以上の種類があることを明らかにした。

 

※2019年5月23日 Meatingplace.com

 
トピックス

中国の豚肉価格、ASFで70%高騰の懸念も

 
 

現地報道によると、中国およびアジアの他の地域で発生が拡大しているアフリカ豚コレラ(ASF)危機により、中国政府当局者は今年下半期に豚肉価格が最大70%上昇する可能性があると伝えた。

中国政府の予測によると、下半期の豚肉価格は2018年8月から今月までの平均価格を16%上回るとし、価格上昇を懸念している。サウス・チャイナ・モーニング・ポストによると、中国の消費者物価指数の重要な要素である豚肉、果物、野菜の価格は4月、過去6カ月で最速のペースで上昇した。

国連食糧農業機関(FAO)の発表によると、中国では昨年8月にASFの発生が確認されて以来、110万頭以上の豚が淘汰され、ASFはカンボジア、モンゴル、ベトナムに広がっている。

 

※2019年5月29日 Meatingplace.com

 
生産動向

牛肉生産量は2019・2020年ともに記録更新

 
 

米国の牛肉生産量は2019年、2020年と連続して最高記録を更新する見込みだ。2019年の生産量は272億6900万ポンド(前年比1.5%増)と推定され、過去最高記録(2002年・271億ポンド)を超える勢い。2020年はさらに0.9%増かし推定275億1000万ポンドに達すると予測される。

生産量増加により、2019年の国民一人当たりの消費量は57.7ポンド(同0.5ポンド増)、2020年はほぼ横ばいの予想。2020年の肥育牛価格の平均は100ポンド当たり121ドル。輸出量は、アジア圏の需要増加とオセアニアからの牛肉出荷量減少により、新記録を達成する見込みだ。

生産量が最大を記録した2002年のと畜頭数は357万頭だったが、2019・2020年のと畜頭数はこれより約6%少ないと推定される。USDA・ERSは、この要因として遺伝学的改良・飼料効率・経営効率の向上を挙げている。

繁殖技術の向上により、生存率や飼料転換率が高い子牛生産が可能となり、牧草地およびフィードロットでの肥育効率が向上、枝肉重量の増加スピードとともに、肥育素牛の回転率が上がっているという。

 

※2019年5月27日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
フードサービス

外食の食材コスト、今年後半に上昇―ラボバンク

 
 

ラボバンク社は、米国の外食産業向けの食材コストは今年後半に上昇すると発表した。アフリカ豚コレラ(ASF)の発生で輸出需要が増加し、食肉全般、特に豚肉、鶏肉の価格に影響が強まる。中国との貿易交渉次第で価格上昇はより速くなる。牛肉の価格上昇は最後になるが、ファストフード向けのパティ価格は豪州・NZからの中国向けが増加し、米国の輸入量が低下していることから、最も早く影響を受けるだろう。

過去2年間、外食向けの食品コストは比較的なだらかな状況にあり、それが他分野(人件費、不動産)のコスト上昇を補うのに役立っていた。ASFの影響で、今年後半から2020年にかけてこの状況が変化すると予想される。多くの外食事業者が今年の手当を早めに済ませようとしているが、供給業者は不確実な見通しから、長期的な価格固定には消極的だ。

ASFの発生で中国の豚肉生産量は約3割・1600万トン減少。これは米国の年間豚肉生産量(1200万トン)より多く、世界の豚肉輸出量(800万トン)の2倍。このギャップを補うためには、世界の豚肉、鶏肉、そして牛肉も中国へ供給されることになるだろう。この前例のない貿易シフトにより、市場では予期せぬ製品の不足が起き、短期的に市場の不確実性が増し、世界の食肉価格が高騰する可能性がある。

米国の中国向け輸出は3大食肉すべてにおいて、関税や貿易条件でいくつかの制限を受けているが、ラボバンク社は直接的か間接的かにかかわらず、また他国が中国への供給を増やしても、米国産食肉は輸出需要の増加、国内での入手可能性の低下に直面し、価格上昇に繋がるだろうとしている。

実際に、中国向けの豚肉輸出は高関税にもかかわらず、この数週間で記録的な伸びを示し、肥育豚の先物価格はすでに最高値に近く、多くのカット製品の価格は前年比25%高の水準にある。

 

※2019年5月22日 FOODMARKET.com

 
 
飼料関連ニュース

飼料価格の上昇は来年も抑制、潤沢な在庫と他国の生産増で

 
 

家畜生産者はトウモロコシと大豆の作付け状況を注視する必要がある。穀物価格はこの3年間、価格上昇が抑制されており、家畜生産者の収益を支えると同時に、米国の食肉生産を急増させる大きな要因の一つになった。

一部地域では過度な降雨量が予想され、作付けが遅れている。USDAは4月21日までのトウモロコシの作付けは6%と報告した。過去5年間の4月第3週の作付け平均12%。この差は大きく見えるが、現時点で心配する必要はない。昨年は4月末時点で約17%、その後2週間以内に45%進み、5月第3週に約81%に達した。

世界のトウモロコシ貿易も変化している。20年前、米国は世界のトウモロコシ輸出の3分の2を占めていたが、USDAによると、2018―19年度の米国のトウモロコシ輸出量は推定5840万トン、世界の取引量に占めるシェアは約35%。過去20年間で、トウモロコシの輸出量は9600万トン(134%)増加したが、その増加に占める米国のシェアはわずか13%。

南米の生産者は、トウモロコシと大豆の作付面積を増やし、世界の需要拡大に確実に対応している。ウクライナも世界市場で存在感を強めており、今年度の同国のトウモロコシ輸出量を2960万トン、シェアは18%と推定される。

国内の大量在庫の繰り越しと、他国での生産増が要因となり、近年のトウモロコシと大豆の価格は低位安定してきた。2019―20年度も継続するか、作付け状況を注視する必要がある。

 

※2019年4月29日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  トウモロコシ輸出国の輸出量とシェア(2018―2019年度)
 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート