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TRADER'S Be & Po

vol.332 May 9.2019
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
ワールドトレード 日米貿易協定の催促で書簡、88団体・企業が合同で
市況ニュース カットアウト価格、イースター前に上昇
トピックス ウォルマート、アンガス牛のサプライチェーン構築
リテイル イースター向けで豚肉の販促増加、ターキーは大幅安
生産動向 4月のフィードロット飼養頭数、史上最多に
業界ニュース ASF警戒でワールド・ポーク・エキスポを中止
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2019年3月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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ワールドトレード

日米貿易協定の催促で書簡、88団体・企業が合同で

 
 

米国の農業および食品業界の88社・団体は、4月22日、日本との2国間貿易交渉について「迅速な行動」を求める合同書簡を、USTR(通商代表部)のロバート・ライトハイザー代表宛に提出した。

書簡には、タイソンフーズ・スミスフィールドフーズなど多くの食肉企業をはじめ、穀物・乳製品など幅広い分野の団体と企業が名を連ねている。書簡の主な要点は以下のとおり。

◇日米貿易協定の交渉と実効は、米国の農業ならびに食品産業の重大な損失を防ぎ、大きな利益をもたらす。日本は米国の農産物にとって4番目に大きな市場であり、それが支える米国の数百万人の雇用のためにも、日本へのアクセス改善と継続的な成長が不可欠である。

◇CPTPPや日欧EPAなどの先行する協定により、米国の農産物と輸出企業は不利益を被っている。日本は4月にEUおよびCPTPP加盟国に対し、2度目の関税引き下げを実施。その結果、米国の小麦、牛肉、豚肉、乳製品、ワイン、果物や野菜などの輸出業者は、日本市場でのシェアの大幅な損失に直面している。

◇日米間の協定は、実効の第一段階で先行するCPTPPと日欧EPAの条件と同等の市場アクセスが与えられるものでなければならない。さらに、協定によって関税の段階的な引き下げを加速し、関税または低関税率割当(TRQ)で米国が他国より不利にならないことが保証される必要がある。衛生植物検疫措置、バイオテクノロジー、TRQ管理、地理的表示など非関税障壁に対処する必要がある。

 

※2019年4月24日 Meatingplace.Comほか

 
市況ニュース

カットアウト価格、イースター前に上昇

 
 

ビーフのカットアウト価格は、牛肉需要が増加する5月に入ってから上昇すると予想されていたが、今年はバイヤーの手当が早まり、イースター(4月22日)を前に上昇に転じた。チョイスの価格は、週初めの4日間で100ポンド当たり4.22ドル上昇。セレクトは1.56ドル下落したが、全体の取引量も406ロード(≒コンテナ)と前週の365ロードより増加した。

季節的に牛肉価格は上昇基調をたどる公算が大きい。アナリストは「チョイスのカットアウト価格の第一ステップは233ドル、その次は239ドルをいつ超えるかだ。チョイスとセレクトの価格差は20ドルに広がるだろう」と予想する。

4月第3週の水曜日に、セーフウェイとキングスーパーは、チョイスのプライムリブをそれぞれ4.67ドル、4.77ドルで拡販した。1人1点限りの特売であったが、これによって各社の在庫消化が加速したことから、イースター後の在庫補充買いが強まるのは確実とみられる。

小売販売におけるチョイスの需要は強い。実際に3月の牛肉小売価格は前月を上回り、3カ月連続で上昇した。生鮮牛肉の平均小売価格は、2月のポンド当たり5.67ドルから3月には5.78ドル(前年同月比3.0%高)に上昇。チョイスの平均価格は6.07ドル(同3.4%高)と前月の5.90ドルから6ドル台に上昇した。

先々週の牛肉取引ではスポット取引、フォーミュラ取引が減少した一方、先物取引が著しく増加。また輸出額も回復傾向を示し、116Aチャックロールは過去最高の輸出額を記録した。ミドルミート(ロイン系)の先物にプレミアムがついていることもあり、カットアウト価格は当面、上昇基調が続くだろう。

 

※2019年4月22日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
トピックス

ウォルマート、アンガス牛のサプライチェーン構築

 
 

全米の食品雑貨チェーン最大手のウォルマートは、アンガスビーフの一貫したサプライチェーンを構築し、牛肉業界へ参入することを発表した。新たな供給ルートから選りすぐりのアンガスビーフのステーキやロースト用などの各種カットは、ジョージア、アラバマ、フロリダなど南西部州のウォルマート500店舗で販売される。

食肉部門のシニアバイスプレジデント、スコット・ニール氏は「我々は牛肉業界への参入に向けて、アンガスビーフで高い評価を持つ多数の企業の協力のもと、明確なラベル表示とトレーサビリティの透明性を高め、安定した品質と価格での提供を可能にする高度なシステムを構築した」という。

これにより、アンガス牛の生産者にとっては安定した需要が生まれ、さらにカンザス州のクリークストーン社の牛肉処理工場では250人以上、ジョージア州のFPLフード(同社運営の製品工場)では200人以上の雇用が創出される。

同社に以前から高品質なアンガス牛を提供してきたテキサスのBob McClaren of Prime Pursuitsのボブ・マクラーレン氏は「創業から4代目となるマクラーレンファミリーと44の農場の伝統は、1世紀以上前と変わらず現代にもふさわしい価値をもつ」と述べている。またMc6 Cattle Feedersのハンク・マクホルター氏は「ウォルマートは顧客の声に真摯に耳を傾け、ステーキハウス品質のナチュラルブラックアンガス牛を提供するべく、難しい課題に取り組んできた。この取り組みは、家庭でのディナーやバーベキューをより高級なものにするだけでなく、アンガス牛のサプライチェーン全体を一変する。テキサスで4代にわたって牛を飼養する家族経営農場の当社が、それに貢献できることを誇りに思う」とコメント。

またクリークストーン社の大浦理社長兼CEOは「アンガスビーフ業界のリーダーとして、プレミアム品質のブラックアンガスビーフをウォルマートの顧客へ提供し、同時に最先端の工場で雇用を拡大できるこの機会を歓迎する」。FPL Foodのフランソワ・レーガー社長兼CEOは「小売業界におけるウォルマートのリーダーシップは、多くの関係者に利益をもたらす。FPLの従業員だけでなく農場経営者、牧場主、牧畜業者といった農業コミュニティに対し、等しく多くのチャンスを与え、その好影響を多くの人が実感するだろう」と述べた。

 

※2019年4月24日 Foodmarket.com

 
リテイル

イースター向けで豚肉の販促増加、ターキーは大幅安

 
 

イースター向けの販促では、多くのスーパーで七面鳥、豚モモ肉、リブローストを目玉商品として販促した。販促比率は豚肉が最も多く、タンパク質全体の25.4%に達した。2番目に多かったのは牛肉の23.6%、次いで魚介類23%。鶏肉は16.2%、七面鳥は前週の3.6%から5.6%に急増した。

昨年のイースターは今年より3週間早かったため、販促価格を2018年3月26日の週と比較すると、豚モモ肉はポンド当たり1.66ドル(前年比20セント安)。骨付きバットのポーションハムは1.07ドル(同3セント安)、シャンクポーションは0.99ドルで横ばい。

イースター向けディナー商材では、ビーフローストが5.93ドル(21セント高)。ポークローストは2.47ドル(5セント安い)。七面鳥(冷凍丸どり)は1.35ドル(92セント安)と前年に比べ大幅に値下がりし、過去5年間で最も低い水準。

 

※2019年4月24日 Foodmarket.com

 
生産動向

4月のフィードロット飼養頭数、史上最多に

 
 

全米のフィードロット(1000頭以上収容)における4月1日現在の総飼養頭数は1196万4000頭(前年同月比2.0%増)となった。これは1996年の統計開始以来、4月としては最多となる。

内訳は去勢牛(子牛含む)が745万頭(同1%減)、未経産牛(同)451万頭(同8%増)。3月の導入頭数が201万4000頭(同4.8%増)と増加した半面、出荷頭数はと畜稼働日が昨年より1日少なかったこともあり、177万7000頭(同3.4%減)に留まった。

3月の導入頭数が前年同月を下回ったのはネブラスカ、アイオワ、アリゾナの3州のみ。ネブラスカとアイオワは天候要因でフィードロットの状況が悪く、それぞれ11.5%減、2.8%減となった。

導入頭数の重量別内訳によると、1000ポンド以上(7万頭・8000頭減)を除き、各区分で増加した。600ポンド未満は32万5000頭・同1万頭以上増、600〜699ポンド30万頭・同1万5000頭増、700〜799ポンド59万5000頭・同6万頭増、800〜899ポンド53万9000頭・同8000頭増。900〜999ポンドは18万5000頭でほぼ横ばい。

飼養頭数が昨年より少ないのは、アイオワ、ミネソタ、ネブラスカ、サウスダコタの4州のみ。テキサスは285万頭・同15万頭増と過去最高を更新した。次いでネブラスカが258万頭・同10万頭減、カンザス238万頭・同4万頭増。コロラド、アイダホ、カンザス、オクラホマ、ワシントンの導入頭数は、前年比2ケタ台の増加となった。

 

※2019年4月22日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
業界ニュース

ASF警戒でワールド・ポーク・エキスポを中止

 
 

全米豚肉生産者協議会(NPPC)はこのほど開催した理事会で、中国および他のアジア各地で拡大するASF(アフリカ豚コレラ)の侵入阻止の一環として、「World Pork Expo(ワールド・ポーク・エキスポ)2019」の開催を中止することを決定した。

ワールド・ポーク・エキスポは1987年以降、毎年6月にアイオワ州デモインの州立屋外催事場で開催され、会期中の3日間で世界中の関係者約2万人が来場する世界最大の豚肉業界専門の展示会。

中止の理由について、NPPCのデイビッド・ヘリング会長は「獣医師および第三者機関の専門家による評価では、イベント開催に伴うリスクはごくわずかだと結論付けられたが、私たちは細心の注意を払う。豚肉産業は輸出依存度が高い。ASFが発生すれば、直ちに輸出市場は閉ざされてしまう。予防がASFに対する唯一の防御策であり、米国への侵入防止に全力を尽くす」と説明している。

中国でのASF拡大は、この疾病の脅威が新たなレベルに達していることを意味しており、豚肉生産者は議会に対して、ASFや他の動物疾患の感染防止のためにUSDA(米農務省)が行う措置の強化と、税関・国境警備局の検査員約600人を新たに配備するなど、ASF予防強化に必要な資金を求めている。

 

※2019年4月 NPPC News releaseならびにFoodmarket.com

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート