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TRADER'S Be & Po

vol.482 Nov.25.2025
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛は現物・先物とも下落、カットアウト横ばい
豚カットアウト下落続く、ロインは横ばい
生産動向 フィードロット飼養頭数、前年比2〜3%減か
ワールドトレード 中国向け牛肉輸出、工場の登録更新時期が焦点
メキシコ・タンピコに不妊ハエ散布施設開設−USDA
トピック 牛肉価格操作の根拠なし、パッカーは赤字
ファクトシート ビーフ(2025年9月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛は現物・先物とも下落、カットアウト横ばい

 
 

11月第1週の生体牛の現物価格は100ポンド当たり228.70ドル、枝肉価格は358.33ドルだった。前週比でそれぞれ2.16ドル安、0.21ドル安。第2週の生体牛先物価格は、12月限が月曜日に720ポイント上昇したが、木曜日には627ポイント下落し、219.00ドルで取引を終えた。

同週の現金取引価格は、水曜日までコーンベルト地域での取引は少なく、生体牛が225ドル、枝肉は355〜356ドルで取引された。木曜日には北部で低価格帯での取引が活発化し、南部では生体牛が228ドルで取引された。

一方、11月第1週のカットアウト価格は377.86ドルで、前週比1.60ドル高。チョイスは374.34ドル(前週比2.45ドル高)、セレクトは358.91ドル(同2.83ドル高)だった。総取引量は6644ロット(≒コンテナ)で、うちフォーミュラ取引が57.6%を占め、スポット取引は30.3%、先物取引12.1%、輸出は10.2%だった。

11月第2週は、前半4日間でチョイスのカットアウト価格が2.83ドル下落し、373.57ドルとなった。

 

※2025年11月14日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

豚カットアウト下落続く、ロインは横ばい

 
 

過去4週間の豚と畜頭数は前年同期比1%減、と畜豚の重量は同1%増で、全体の供給量は前年とほぼ同水準だった。飼料コストが下落傾向にあり、肉豚のスポット価格は損益分岐点を上回っているため、生産者は出荷を急いでいない。

一方、パッカーはマージンが芳しくない。豚肉輸出、特に内臓など国内需要が低い部位の輸出が不振であるため、と畜頭数を増やすことには消極的だ。今後のカギは、豚肉価格の推移が例年の傾向通りになるか、あるいは2023年のパターンをたどるかどうかだ。

2023年の生体豚価格は、7月に100ポンド当たりで100ドルを超えていたが、年末までに50ドルを下回った。しかし、今年と2023年では需給状況に違いがある。2023年はパイプラインに豚が過剰に滞留し、生産者は深刻な赤字だったため、早期出荷が必要だった。

2023年の感謝祭後の3週間は、週当たり平均と畜頭数が268万3000頭だったが、2024年はこれよりも週当たりで約10万頭少なく、今年はさらに減少する可能性がある。このため、ロイン・プライマル価格は下落傾向にあるものの、前年同期の水準を上回っている(グラフ参照)。

競合する牛ひき材の価格上昇が、引き続き下支え要因となっている。さらに、と畜頭数の減少と、継続的な需要改善が反映されれば、ロイン価格はより速やかに反発し、2026年第1四半期には2025年水準を上回ると予想される。

ベリー価格はここ数日で約15ドル上昇したが、これはと畜頭数が予想を下回ったことや、ホリデーシーズンの手当に関連している。例年、ベリー価格は12月上旬までに下落する。と畜頭数が年間で最高に達し、ホリデーシーズンの手当が衰えるためだ。その後は、春夏のベーコン需要に向けた在庫の早期積み増しにより、第1四半期には反発すると予想される。

 

※2025年11月3日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  ポークロインプライマルの価格推移
  ベリープライマルの価格推移
 
生産動向

フィードロット飼養頭数、前年比2〜3%減か

 
 

連邦政府の機関閉鎖によって中断していたフィードロット飼養動向調査(COF)は、近々公表が再開される見込みだが、11月1日時点のフィードロット飼養頭数は、前年比2〜3%減となっている模様だ。

10月の導入頭数は同8〜9%減、出荷頭数は8%減。MBSリサーチのアナリストによると、「ここ数カ月のフィードロットへの導入頭数は、前年比8〜9%減だが、飼養頭数の減少幅はもっと小さい。これは慢性的な出荷の遅さや、と畜の鈍化と関連している。肉牛の肥育業者が飼養期間を延長し、体重を増やしている。そのため出荷ペースは急激に鈍化し、フロントエンド(肥育日数150日以上の牛)が増加している」という。

11月1日時点で長期肥育されている牛の頭数は、推定50万頭以上、前年比20%増と見込まれる。同日付としては過去最大規模であり、ベーシス(現物と先物の価格差)の拡大やフロントエンドの増加、枝肉重量の季節的な増加と相まって、今後は肥育業者優位の状況が変化する可能性がある。

しかし、ここ数カ月の導入頭数は減少しており、2026年には肥育牛の供給量が減少することが確実視されている。大量のフロントエンドの牛が、ゆっくりではあるが確実に減少するにつれ、2026年前半の牛肉供給の減少はますます鮮明になってくるだろう。

 

※2025年11月14日 CATTLE BUYERS WEEKLY/NCBA News Release

 
ワールドトレード

中国向け牛肉輸出、工場の登録更新時期が焦点

 
 

先に行われた米中間の通商交渉で合意された枠組みでは、米国産牛肉・豚肉に対する報復関税の全面停止が盛り込まれ、食肉輸出において前進が見られた。ただし、中国が過去に輸出実績のある米国の牛肉処理施設の登録更新をいつ再開するのかについては、枠組みの中ではほとんど言及がない。

中国の報復関税は3月4日に発動され、4月中旬以降は事実上、米国産牛肉の中国向け輸出は途絶えている。したがって、中国側が施設の再登録に動かない限り、この貿易枠組みは米国の牛肉業界にとって実効性がないに等しい。

合意には、中国が課した米国産農産物への障壁や、米国の輸出業者のコストを押し上げる港湾サービス料の停止も含まれる。中国は3月4日以降に実施してきた全ての報復関税を停止するが、これには鶏肉・豚肉・牛肉・小麦・トウモロコシ・乳製品などが含まれる。

米国では、タイやベトナムとの「枠組み」合意、マレーシアやカンボジアとの相互貿易協定締結により、アジア市場へのアクセス拡大が報じられたことを受けて、トウモロコシ・大豆生産者が歓迎の姿勢を示した。

米国食肉輸出連合会(USMEF)は、特に中国との枠組みについて声明を発表している。ダン・ホルストロム会長兼CEOは、「中国との貿易交渉で進展が見られたことは喜ばしい。トランプ政権が米国産農産物輸出の市場アクセス回復を重視していることを評価する」とし、中国が3月4日以降に発表した全ての報復関税の停止、および同日以降に実施した報復的非関税措置の停止・撤廃を約束通り実行すれば、米国産豚肉は中国市場でより競争力のある立場になるとの見通しを述べた。

また非関税障壁の撤廃によって、中国が過去9カ月間に失効を認めた米国産牛肉の加工工場および冷蔵倉庫の登録が速やかに更新された場合には、米国の牛肉輸出における重要市場へのアクセスが回復するだろう。

 

※2025年11月7日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

メキシコ・タンピコに不妊ハエ散布施設開設−USDA

 
 

米農務省(USDA)は、新大陸スクリューワーム(NWS)対策の新たな進展として、メキシコ・タンピコに不妊ハエ散布施設を開設すると発表した。これにより、メキシコ北東部に不妊化したハエを航空散布することができるようになる。

ブルック・L・ロリンズ農務長官は「タンピコ不妊ハエ散布施設の開設は、NWSの蔓延を食い止めるために非常に重要な手段である。メキシコ北部に不妊化ハエを散布して害虫を南部へ追いやる能力を強化する」と述べた。

不妊化ハエを放出する方法には、航空散布と地上放出装置の2つがある。航空散布は、広範囲に一定の速度で散布でき、さらに地上からアクセスできない地域にも不妊昆虫を散布できるため、より好ましい方法とされている。

USDAはメキシコで週1億匹の不妊ハエを放虫し続けているが、これまで航空散布はメキシコ南部地域に限定されていたため、同国北部地域では地上放出装置を使用する必要があった。

メキシコでは新たなNWSの症例発見が続いているが、そのほとんどは同国最南部で確認されており、北部への顕著な拡大は見られていないか、状況が変化した場合は、タンピコ施設を通してメキシコ国内の他の地域でも即時対応が可能となる。

USDAは、パナマでも不妊ハエを生産して散布している。また、メキシコ・メタパにある既存のミバエ施設の改修を支援するために2100万ドルを投資しており、この改修が完了すれば生産能力は2倍に拡大する見込みだ。

 

※2025年11月13日 USDA News Release

   
トピック

牛肉価格操作の根拠なし、パッカーは赤字

 
 

トランプ大統領が司法省(DOJ)に牛肉価格高騰に関する加工業者の調査を要請したことに対して、業界関係者の多くは価格操作の根拠はないと指摘している。

食肉・家きん類業界を代表する北米食肉協会(NAMI)のジュリー・アンナ・ポッツ会長兼CEOは、「牛肉の消費者価格は高騰しているが、牛価格が過去最高水準にあるため、パッカーは赤字を計上している」と述べ、牛の供給不足と強い需要によって、パッカーは1年以上にもわたって赤字経営を強いられていると強調した。

同氏は、「牛肉産業は厳しく規制されており、市場取引も透明だ。USDAのデータ自体が、牛肉加工部門の壊滅的な損失を裏付けている。専門家はこの状況が2026年まで続くと予測しており、事実に基づく議論が必要だ」と語った。

ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、12日付の社説「Beef Is Now Political Red Meat」で、サーロイン価格が急騰した真の理由を知るべきだとし、干ばつと繁殖農家のコスト上昇によって、米国の牛群が縮小を続けていることに触れている。また、メキシコ産生体牛の輸入がNWSの発生によって停止されたことで、供給がさらに絞られ、生体牛価格は過去1年で24%急騰し、パッカーの利益率を圧迫していることについても解説している。

オクラホマ州立大学の経済学者は、「パッカーは現在の市場で最も深刻な打撃を受けているセクターであり、低い利益率と限られた牛供給によって巨額の損失を被っている。処理する牛1頭あたり数百ドルの損失、全体での損失は数百万ドルにもなる。もしパッカーが本当に市場を支配できるのであれば、現在のような牛価格の記録的高値も起こらず、損失も出していないはずだ」と断言。

また、「パッカーのこうした損失によって、工場閉鎖などが懸念される。今回のような提案は、生産者と消費者の双方に悪影響を与え、牛肉産業を機能不全に陥らせてしまう」と警鐘を鳴らす。

パッカーには供給を支配する力がないことは明らかであり、価格を操作する能力も非常に限られている。これまでにも、複数の研究による調査結果が以下の事実を証明している。

パッカーの市場支配力はごく限られたものであり、良くも悪くも肥育牛価格に与える影響は小さい。

「規模の経済」によるコスト削減は、市場支配力の悪影響の、少なくとも10倍以上の効果をもたらす。牛肉産業の市場構造は費用効率が高く、生産農家と消費者は、より高い生体牛価格・低い牛肉価格という形で純益を得ている。

 

※2025年11月14日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

ビーフ・ファクト・シート