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TRADER'S Be & Po

vol.381 Jul.12.2021
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛価格の上昇加速、カットアウトは続落
ベリー乱高下、カットアウトは高値修正の兆し
生産動向 経産牛のと畜増加、干ばつを反映
業界ニュース 価格上昇に沸く食肉市場、全畜種の需要強まる
ポーク関連ニュース 中国の豚価格下落、輸出需要の不透明感強まる
トピック “Product of USA” ラベルの全面見直し−USDA
USDAがフードバンク等緊急食料支援に10億ドル
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2021年5月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛価格の上昇加速、カットアウトは続落

 
 

生体牛の現金取引価格は、6月第3週の平均価格が100ポンド当たり122.84ドルと前週比2.81ドル上昇。第4週はさらに続伸し、平均126ドル近辺まで上昇した。枝肉価格も3週間前の190.69ドルから197〜199ドルまで回復した。

フロントエンド(肥育日数150日以上)の牛の供給は減少傾向にあるが、と畜頭数の内訳からみると、依然として潤沢のようだ。パッカーはこれを積極的に購入しているが、その背景には、生体牛取引に関する新しい規制や法案通過の方針転換を計ろうとしているのではないかとの憶測もある。

一方、ビーフカットアウト価格は6月第2週に天井に達した後、第3週には反落に転じ、第4週も続落した。第3週のカットアウト全体(カット、ひき材、トリム)の平均価格は100ポンド当たり316.03ドル、前週比7.93ドル安。取引量は6422ロード(≒コンテナ)で、内訳ではフォーミュラ取引が57.4%と際立って多く、スポット市場取引は27.3%、フォワード取引15.3%。うち輸出量は12.4%だった。

チョイスのカットアウト価格は第4週の前半4日間で15.88ドル値下がりし、307.42ドルとなった。セレクトは7.47ドル安の276.14ドル。チョイスとセレクト間の価格差は31.28ドルと、依然として大幅な値差が発生している。

 

※2021年6月28日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

ベリー乱高下、カットアウトは高値修正の兆し

 
 

この数日間、ポークベリー価格は激しい乱高下をみせた。6月15日にベリープライマル価格(100ポンド当たり)は前日比24.5%安、48ドル下落。翌水曜日はこの水準でもみ合い、木曜日には35ドル高となった。要因は不明だが、かなりの数量が投げ売りされたようだ。

通常、ベリーの取引では、重量区分で軽量(Derind #9-13)の方が重量の重い(#13-17)ものよりも割高だが、火曜から水曜にかけては#9-13が30%安く、取引量も2倍以上だった。突発的な事象である可能性もあるが、下図のグラフが示すとおり、急激な価格修正の多くの場合は、さらなる値下がりの前兆だ。

今回のベリー価格の下落は、1日の下落幅としては過去2番目に大きい。最大の下げは、昨年5月に起こった61.52ドルの急落だ。この下落が一部のベーコン製造業者の在庫処分であれば、消化が進むにつれて価格は「通常の」水準に回復する。

しかし、例えばファーストフードチェーンなどの大手ユーザーが「これまでの価格水準では利益が確保できない」、あるいは「値上げは最終消費者に受け入れられない」との状況判断であれば、今後の発注量が縮小するサインでもあり、下振れリスクが強まる可能性がある。

ポークカットアウトの先週の平均価格は123.44ドル。前週比で8%、10.7ドル下落した。この下落幅の約44%はベリーによるものだが、モモの下落も影響している。モモのプライマル価格は、過去2週間は90ドル台半ばだったが、先週の平均価格は79.58ドル。前週比で15%、14ドル値下がりした。90ドル台をつけたことで、輸出需要が細ったようだ。

生鮮の精肉用品目は、父の日や独立記念日向けの販促需要に支えられて今のところ堅調だが、値下がりの兆候もある。同週のロインプライマルは4%安、リブプライマルは8%安。メモリアルデー以前に300ドルをつけていたリブプライマルは、211ドルまで下落している。

 

※2021年6月21日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  シポークベリープライマルの価格推移(日次ベース)
  生体豚現金取引価格とカットアウトバリューの価格差の推移
 
生産動向

経産牛のと畜増加、干ばつを反映

 
 

米国内の複数の地域で干ばつが悪化している影響で、経産牛のと畜頭数が急増している。LMIC(家畜取引情報センター)のケイトリン・マクロック氏は、「今年の牧草地・放牧地は、2012/2013年以来最悪の状況でスタートしたが、すでに米国の大部分において、家畜維持のための追加飼料が必要になることは明らかだ。西部では牧草の不作が2年続き、今年も繁殖用母牛の淘汰が起こるだろう」と指摘する。

6月第2週の時点で、「悪い」または「非常に悪い」と評価される牧草地・放牧地に肉牛群の約25%がいることがわかった。これは、同条件が40%とされた5月下旬に比べれば多少上向いているものの、まだ牧草地・放牧地が回復しているとは言えない状況だ。

地域別に見ると、経産牛のと畜頭数は、地域区分1〜3を除くほとんどの地域で増加している。今年これまでの増加率は、地域区分5、6、9の地域でそれぞれ前年比29%増、12%増、18%増と大幅に増加。太平洋岸北西部でも同5%増加している。

連邦検査下にある牛肉工場全体の経産牛と畜頭数は、同10.1%増。ここ数週間で経産牛のと畜増が加速し、週当たり7万頭を超えている。過去2年間は、春子を産出した雌牛のと畜が年末に向けて急増する傾向にあったが、今年は年末まで牧草地・放牧地の収容力がもたないかも知れない。西部に加えて、南東部にまで干ばつが拡大しており、北部平原でも限られた降雨の下で厳しい状況が続いているという。

 

※2021年6月14日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
業界ニュース

価格上昇に沸く食肉市場、全畜種の需要強まる

 
 

経済の急速な再開と拡大にともなって、食肉市場全体が強い需要に沸いている。オクラホマ州立大学のダレル・ピール氏によると、特定の食肉製品の卸売価格が記録的な高値をつけ、1年前のパンデミックによる混乱で記録した水準を超えるケースも数多いという。

昨年とは違って、供給不足の問題はない。今年は牛・豚・鶏肉すべての累計生産量は、昨年だけでなく2019年と比べても高い水準にある。ブロイラーのムネ肉の価格は、クイックサービスレストランによるチキンサンド向けの争奪戦でつり上がり、5月に過去最高水準に達した。チキンレッグ、レッグクオーターの価格は、年始以降、急激に上昇している。

ポークのカットアウト価格は、今年に入って上昇し続けており、昨年のパンデミックで起きた急騰の水準を超え、2014年以来の最高値をつけている。5月最終週の平均価格は100ポンド当たり130.22ドル、前年同週比72.2%高。ビーフのカットアウト価格も年初から上昇基調で推移してきた。

ミドルミート(ロイン系)がカットアウト価格の上昇をけん引しており、テンダーロインはポンド当たり17ドル、リブアイは13ドルを超えて過去最高を更新している。テンダーロインは主にレストラン向けの品目だが、リブアイはレストランやスーパー、さらに輸出でも人気が高い。

ストリップロインは、今年は特にスーパーでの人気が高く、価格も急激に上がっているが、昨年のパンデミックによる高値を超えるまでには至っていない。ブリスケットの価格は1月以降劇的に上昇しており、5月の平均価格は7ドルを超えた。これは、バーベキューが再開されつつあるもう一つの指標だとピール氏は指摘する。

チャックやラウンドなどのエンドミートの価格も、ミドルミートほどではないものの、上昇している。輸出需要とあわせて、スーパーで値ごろなカットやひき材に使用されることで需要 が高まっている。

トリミングの価格も高値が続いている。50CLが4月中旬をピークに値下がりしているが、これは重量の重い肥育牛のと畜が増えて供給量が比較的多いことが要因のようだ。5月最終週の50CLの平均価格は94.42ドル、前年同週比11.6%高。赤身率の高い90CLの平均価格は265.84ドル、同10.4%安だった。

 

※2021年6月14日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
ポーク関連ニュース

中国の豚価格下落、輸出需要の不透明感強まる

 
 

下図が示すとおり、中国の肉豚価格が値下がりを続けている。これに伴い、米国からの中国向け豚肉輸出への影響にも関心が高まっている。最新の中国の肉豚の平均価格はKg当たり16.24元だが、一部では15元まで低下している。

これをポンド当たりに換算すると1.14ドル。今年の年初に比べて55%安、ピークに比べると60%安となる。米国の肉豚価格よりはまだ高いものの、その差は縮まっている。先週の米国の豚枝肉価格は1.15ドル。中国の価格と比較するために生体豚ベースに換算すると、歩留まり74%として、ポンド当たり0.85ドルとなる。

中国の豚肉市場を注視しているアナリストは、価格暴落の背景として、生産の回復に加えて、需要の高値疲れや輸入豚肉の在庫増加、また生産者が今夏の供給不足を見込んで生体重量の大型化を進めたことで枝肉重量が大幅に増加(330ポンド増)していること、さらに価格下落による売り急ぎなどの影響をあげている。

しかし、これらの情報を無条件に受け入れることはできない。確認のためのデータや情報が開示されていないこと自体が中国市場の不透明さを増幅させているともいえるが、いずれにしろ、中国の肉豚・豚肉価格の短期的な急落と、米国内の一部の品目(ベリー、モモ等)の価格修正によって、豚先物市場ではネガティブな見方が強まっている。

 

※2021年6月21日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  中国の生体豚価格の推移
 
トピック

“Product of USA” ラベルの全面見直し−USDA

 
 

USDAのトム・ヴィルザック長官は7月2日、連邦取引委員会(FTC)が“Made in USA” 基準の適用強化を決議したことを受けて、「アメリカの消費者保護のためにFTCが重要なステップを踏み出したことを嬉しく思う。USDAは、FSIS(食品安全検査局)が規定する製品のラベリングにおいてイニシアチブを取り、FTCの努力を完全なものにしていく」とし、食肉製品の現在の“Product of USA”ラベルの全面的な見直しを開始することを表明した。

USDAは昨年、“Product of USA”の自主的な表示が製品の生産地について消費者の混乱を招く可能性があるという懸念に対処するために、独自のルールを作成する意向を発表。バイデン政権も春の規制アジェンダにおいて、今後このトピックに関するルールを策定することを表明していた。

声明の中で、同長官はUSDAやFTCに提出された多くのコメントから、食肉製品における現在の“Product of USA” ラベルが消費者、生産者、そして公正で競争の激しい市場に不利益を与え、効果的に機能していない可能性があることを認識しているとし、「全面的な見直しを通じて、今後作成するルールが包括的、効果的かつ永続的なものになると確信している」と述べている。

また、「貿易パートナーを含むあらゆる利害関係者から提案されたアイデアを全て検討し、AMS(農業マーケティング局)と協力し、すべて国際取引ルールを満たす方法で実行することを約束する」としている。

FTCの新しい規則では、米国製ラベルについての虚偽の是正、損害賠償、罰則、その他の救済を求める能力を含む広範な救済策を規定。ルール違反ごとに最大4万3280ドルの民事賠償を求めることができるようになっている。

USDAの発表を受けて、NCBA(全米肉牛・牛肉生産者協会)は、現在の原産国表示が誤解を招くという業界の懸念に対処するため、迅速な行動をとったUSDAを称賛するとのコメントを発表した。

 

※2021年7月2日 Foodmarket.com

 
 

USDAがフードバンク等緊急食料支援に10億ドル

 
 

USDA(米国農務省)は、緊急食料支援プログラム(TEFAP)に対し、米国救済計画法による5億ドルの資金と合わせて、最大10億ドルを投資する計画だ。フードバンクや地方組織が地域社会に対して、非常時の食料支援を確実に行えるようにネットワークを支援・拡大するのが狙いだ。

USDAは、COVID-19のパンデミック下での教訓をもとに、州や地元団体などと協力して合意を結び、地元生産者からより効果的に食料を購入し、サービスを提供できるようにするインフラを整備するという。

バイデン政権の掲げるスローガン“Build Back Better”(より良き復興)の下で、より良い食料システムの構築に焦点を当て、今後数カ月以内に一連の追加投資を行う予定だという。

“Build Back Better”の取組みを通して、米国政府は、栄養価の高い食品へのアクセスを改善し、人種的不公正と不平等、そして気候変動に対処し、生産者と労働者に継続的な支援を提供し、より回復力のある食料システムを構築することを目指している。

 

※2021年6月28日 CATTLE BUYERS WEEKL

 
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ポーク・ファクト・シート