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TRADER'S Be & Po

vol.314 July 9.2018
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース ビーフカットアウト価格は下落、生体牛先物も低下
ワールドトレード 報復関税による貿易戦争、甚大な損失発生の可能性
トピックス 2018年の国民1人当たりの食肉消費量、新記録へ
ポーク関連ニュース 6月1日現在の豚飼養頭数3%増、過去最高
フードサービス 5月のレストラン業績指標わずかにダウン
USMEFインフォメーション アメリカン・ビーフ バーガープロモーションを展開
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2018年5月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

ビーフカットアウト価格は下落、生体牛先物も低下

 
 

6月17日(父の日)の牛肉販促は、例年以上に活発だった。7月4日(独立記念日)の売れ行きも期待されるが、それでもカットアウト価格は7月から8月にかけてさらに低下すると予測される。アナリストは「チョイスのカットアウト価格は当面100ポンド当たり210ドルまで下がり、その後は198〜200ドルへと低下する。この低下は7月4日以降から明らかになってくるはずだ」と予想する。

パッカーの予約相対取引と輸出における牛肉の販売量は、依然として前年同期を上回っている。米国農務省(USDA)が公表したボックスドビーフの取引報告によると、6月11日の週の22〜90日以内の受渡し契約分は1159ロード≒コンテナ、前年比16%増。このうち予約相対取引は285ロードで同52%増。過去6週間の移動平均では同29%増。

牛肉の輸出量は1173ロードで同55%増。NAFTA域内および他の海外市場向けの両方で増加した。特に顕著な伸びを示しているのはインサイドラウンド、グースネック、キャップ、ショートロイン、トップバット、フラットミートなど。

牛肉の卸売価格は、昨年水準よりも大幅に安い。同週のチョイスのカットアウト平均価格は100ポンド当たり217.86ドル、前年同週比9.1%安。一方、生体牛の現金取引は、ネブラスカ、アイオワ、ミネソタで火・水曜に売買された5000頭弱が100ポンド当たり110ドル前後、枝肉価格は176〜177ドルだった。生体牛の先物は、6月受渡し契約分が108.65ドル、8月分は106.12ドル。パッカーマージンは1頭当たり200ドル超の黒字であることから、同週のと畜頭数は推定66万4000頭と多かった。

 

※2018年6月25日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
ワールドトレード

報復関税による貿易戦争、甚大な損失発生の可能性

 
 

米国、中国、メキシコ、カナダの間で勃発した貿易戦争により、米国経済は何十億ドルもの損失と何十万もの雇用消失を被る恐れがある。米国の豚肉産業だけでも、今後12カ月間で8億3500万ドルの損失が見込まれている。

この貿易戦争は、トランプ大統領が中国製品500億ドル分に25%の関税を課すと発表した後、中国が米国製品500億ドル分に対し関税を25%に引き上げる報復措置を取ったことでエスカレートした。何らかの交渉と和解がなければ、340億ドル分の中国製品に対する米国の関税は7月6日に発効する。

米国小売協会のCEOマシュー・シェイ氏は、この貿易戦争にはアメリカの家庭も巻き込まれると指摘。同協会とコンシューマー技術協会の調査によると、中国製品500億ドル分に関税を課すことで、米国の国内総生産(GDP)は年間約30億ドル減少、アメリカ人13万4000人の雇用喪失につながることになる。中国製品1000億ドル分に関税を課すと、その影響は年間49億ドルのGDP減少、45万5000人の雇用喪失にまで拡大するという。

米国食肉輸出連合(USMEF)の特別報告書によると、中国の報復関税に加え、メキシコが米国産豚肉に対する関税を6月5日に0%から10%へ、さらに7月5日に20%へ引き上げることで、豚肉産業は2018年の残りの期間で3億ドル以上、さらにその後12カ月間で6億ドルを失う可能性があるという。

メキシコ向けの米国産豚肉輸出は、モモが75%を占めるが、メキシコへ出荷されなくなった製品は、他の輸出市場や国内市場で低価格で吸収される可能性が高い。こうした値下げ圧力がモモとピクニックの双方に加わると、2018年7月〜12月には4億2500万ドル、次の12カ月間には8億3500万ドルの損失が発生する可能性があるという。

USMEFは、追加関税によって@米国製品の市場価格が下落し、輸出量が減少するA高い関税に適応するために、輸出製品の価格とマージンが下がるB食肉価格の下落に引きずられて家畜の価格が下がるC取引相手国が米国製品に代わる多様な製品を求めることで、マーケットシェアの長期的な損失が発生する、などの可能性があると分析している。

メキシコは2018年末まで、チルド・フローズンポークの無税輸入割当35万トンを設定し、うち97%は2017年に輸入実績のある企業に割り当てられている。 輸入許可証は先着順で付与されるが、米国の企業は米国産豚肉の許可申請を承認されていない。

米国・メキシコ間の貿易戦争によって最も利益を享受する見込みが高いのはカナダだ。加えて欧州連合(EU)も、約60のと畜施設がメキシコへの輸出が承認されたことから恩恵を受ける可能性が高い。実際に、EUは先週初めてメキシコに豚肉を輸出した。 カナダとEUの対メキシコ豚肉供給量が増加すれば、メキシコでの米国産豚肉のシェアは現在の90%から75%にまで低下。米国の輸出量は月間約1万トン、今年の残り期間で6万トン以上減少する可能性がある。

米国・中国間貿易の緊張は、豚肉産業だけにとどまらず、関連産業界の大手企業の株価から大豆の先物価格、牛肉輸出の未来まで、あらゆるものに影響を与えている。中国は先週、米国の牛肉輸出認定施設リストを更新した。

北米食肉協会のバリー・カーペンター会長兼CEOは、追加施設20件が確実に承認されるよう努力したUSDAに拍手を送りたいと述べるとともに、牛肉の中国・香港向け輸出量は昨年から23%増、輸出額51%増、2018年はさらなる成長が見込まれていたが、貿易摩擦が拡大しているため、米国産牛肉のサプライヤーは、中国市場で真のポテンシャルを発揮できない可能性があると懸念している。

この貿易戦争の影響は、まだ米国の肥育牛価格や牛肉卸売価格には及んでいない。だが、オクラホマ州立大学のデレル・ピール博士は、この不確実な状況が今年下半期の市場に悪影響を及ぼす可能性は高いと指摘する。牛肉輸出への直接的な影響だけでなく、豚肉の輸出減少と国内供給の増加による間接的な影響など、複雑な組み合わせで市場に波及するだろうと指摘。最終的な影響範囲を定義するのは難しいが、悪影響であることに疑う余地はないと危惧している。

 

※2018年6月25日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
トピックス

2018年の国民1人当たりの食肉消費量、新記録へ

 
 

USDAによると、2018年の米国民1人当たりの食肉消費量は、2007年の最高記録を上回る可能性がある。飼料穀物価格の安定的な安値、豚とブロイラーの飼養頭数の増加などで食肉全体の生産量が増加し、結果として消費量を押し上げる見込みだ。

2018年の一人当たり食肉消費量は、小売重量ベースで222.4ポンド近くに達する見込み。一人当たりの牛肉消費量は、2000年から2015年まで毎年0.3%減少したが、2016年から回復に転じ、2018年は前年比3.7%増の予想。豚肉は4.2%増、ブロイラーは1.1%増と予想される。豚の飼養頭数は、2000年初頭は約5900万頭だったが、2018年までに7300万頭に拡大。ブロイラーは、2000年の出荷羽数は約82億羽だったが、2016年には88億羽に達し、2018年はさらに6%増えるだろう。

飼料穀物の価格が比較的安値で安定していることが、生産量の増加につながっている。経済調査局によると、飼料効率の改善によって家畜の成長速度と重量増加が促進され、生体ならびに枝肉重量が安定的な増加基調をたどっている。これは主に選択交配による動物遺伝学的な改善と、最新鋭の生産システムによるという。世界的な需要増・輸出増も生産拡大に繋がっている。

 

※2018年6月25日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
ポーク関連ニュース

6月1日現在の豚飼養頭数3%増、過去最高

 
 

USDAによる最新の豚飼養動向調査では、6月1日現在の肉豚の総飼養頭数は7350万頭(前年同期比3%増)。1964年の調査開始以降、6月1日としては過去最高を記録した。3月1日から1%増加し、アナリストの推定値と概ね一致している。

繁殖豚の飼養頭数は632万頭(同3%増)。3月からは2%増加し、アナリストの予想平均より約10万頭多かった。アナリストは「生体豚の出荷増が確実となり、今後数カ月先の生産量のカギは去勢豚・未経産豚の枝肉重量になる」という。6月16日までの週以降、枝肉重量は顕著に減少している。

2018年3〜5月期の子豚生産頭数は3320万頭(同4%増)。1970年以降の3〜5月期としては最多を記録した。同期間の分娩母豚頭数は312万頭(同4%増)。繁殖豚頭数の50%に相当する。6〜8月期の分娩母豚頭数は317万頭、9〜11月期は318万頭となる見込み。いずれも2017年同期比で2%増、2016年同期比では4%増。

 

※2018年6月29日 MeatingPlace.com

 
フードサービス

5月のレストラン業績指標わずかにダウン

 
 

全米レストラン協会による5月のレストラン業績指標(RPI)は101.2と、前月比で0.1ポイント低下した。好調な既存店売上高が来店客数の減少で相殺されるという傾向が、ここ数ヵ月間続いている。レストラン経営者は、経済情勢は約1年ぶりの低水準まで悪化するとの見通しを持っており、今後数ヵ月間の売上増に対する楽観的な見方は減少している。

RPIとは、米国の外食産業の健全性と今後の見通しを表す重要な指標。ニュートラルな水準を100とし、指標が100を超えれば産業の拡大期(活況)を、100未満であれば縮小期(不況)を表す。現況指数(既存店売上高、入店客数、従業員数、設備投資)と期待指数(既存店売上高、従業員数、設備投資、経営状態)の2要素で構成されている。

5月の現況指数は0.1%減の100.6。4カ月連続で100を超えており、現在の業績が活況にあることを示している。今後6カ月間の見通しを表す期待指数は0.4%減の101.7で、2カ月連続の減少。100を超えて活況を示しているものの、過去8カ月間では最低の水準だ。

5月の既存店売上高は、全体の40%が前年同期比で増加、30%が減少を報告。全体では7カ月連続の増加となったが、来店客数は対照的に2カ月連続で減少した。

 

※2018年6月29日 FOODMARKET.COM

  米国のレストラン業績指数の推移
 
USMEFインフォメーション

アメリカン・ビーフ バーガープロモーションを展開

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)は、「アメリカン・ビーフ ハンバーガープロモーション」を実施します。グレインフェッドならではの味の違い、「ジャンクフード」ではない「肉料理」としての「アメリカンビーフ ハンバーガー」のおいしさを訴求する活動を強化します。

7月21日発売の「東京カレンダー」にて特集記事を掲載。トウモロコシ肥育で、豊かな風味とやわらかさ・ジューシーさを兼ね備えたアメリカン・ビーフを使用した、おいしいハンバーガーを販売する都内の店舗と商品を紹介します。各店のバーガー職人の部位の選択から、配合、加工・調理へのこだわりを紹介します。

8月6〜13日の週には、都内の電車で中吊広告を掲出します。さらに、SNS(Twitter, Instagram)を活用した消費者向けハンバーガーキャンペーンを実施し、アメリカン・ビーフのパティ(ハンバーガー)がなぜおいしいのか、また、“ジャンクフード”のイメージが強いハンバーガーの中でも、「アメリカンビーフ ハンバーガー」はハンバーガー職人のこだわりが詰まった立派な”肉料理“であることを広く知っていただくためのプロモーションを展開します。

  アメリカン・ビーフはパティがうまい。
   
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート