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TRADER'S Be & Po

vol.312 Mar 28.2018
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 牛カットアウト価格、春季の天井値に到達か
トピックス 農業予算案でUSDAに人工肉の管轄権を付与
ポーク関連ニュース 豚肉のピューレが乳児の成長を促進
業界ニュース 2017年のオーガニック食品は売上記録更新、成長率は鈍化
リテール ランチ・ミート市場90億ドル、再活性化には消費分析必要
輸出動向 第1四半期の輸出、牛肉・豚肉とも良好
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2018年3月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

牛カットアウト価格、春季の天井値に到達か

 
 

牛肉のカットアウト価格は、春の上昇期を終えようとしている。3週間続いた価格上昇が今週(5月第3週)も続くかどうかは、週末の牛肉の売れ行きと生産状況にかかっているが、今春の天井値に達したとの見方が強い。

先週の木曜日に肥育業者は、生体牛を100ポンド当たり128ドル、枝肉198ドルで売り出したが、成立した取引価格は生体牛120.00ドル、枝肉191〜194ドルと安かった。先々週の牛と畜頭数は推定64万7000頭と今年最も多く、先週は64万5000頭と2番目の多さだ。と畜頭数および牛肉生産量は、6月にかけて引き続き増加する見込み。

牛肉の卸売価格は依然として前年を下回っている。先々週のカットアウト価格は、全体平均で100ポンド当たり217.74ドル(前年同週比1.4%安)。先週はスポット市場でチョイスが4日間で2.77ドル上昇し、木曜日に231.07ドル(同5.5%安)を付けたが、セレクトは4日間で0.35ドル下落し、209.14ドルとなった。チョイス・セレクト間の価格差は21.93ドルと季節的なパターンで広がった。

7月4日(独立記念日)に向け、牛肉の売れ行きは増加する見通しだ。例年、需要は6月を通して高まる。今年は雇用の増加とともに、賃金上昇も加速すると見られている。しかし、独立記念日を終えて盛夏に入れば、生体牛価格は季節的に下落するだろう。当面の焦点は生体牛価格がいつ110ドルを割り込むかどうかだが、春季の最高値と夏季の底値の平均価格差は15%前後であり、今夏の底値は101〜103ドルになると予想される。

 

※2018年5月14日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
トピックス

農業予算案でUSDAに人工肉の管轄権を付与

 
 

新技術を使った食肉の代用製品の急増とともに、何が食肉で何が食肉でないかという議論が加熱する中、米国議会は「USDA(米国農務省)に動物由来の人工肉製品の管轄権を与える」という一文を予算案に付して対処に乗り出した。

下院歳出委員会が発表した2019年度農業予算法案は今後、小委員会、委員会、全会を通じて議論・投票されることになるが、法案では「2018年度以降、事務局長は、連邦食肉検査法の規定する種類の家畜の細胞から生成された製品、あるいは連邦家きん肉検査法の規定の通り、食品利用を目的とした管理状態下で育成した家きん類の細胞から生成した製品を規制対象とする」としている。

また、これらの製品の製造・処理に必要な検査の種類および頻度について定めた規制、ならびに製品の粗悪品および虚偽の表示を防止するために、必要なその他の規制を発行することも記載された。これらの製品を「肉」と呼ぶべきではないと主張する業界団体も、動物細胞から培養生産を行う製造施設をUSDAが規制することに賛同の意を示した。

先にNCBA(全米肉牛生産者牛肉協会)が提出したコメントの主張(既報)が反映された格好だが、議会で、この問題についての規制の考えがあるかと質問されたソニー・パーデュー農務省長官は「もちろんある。FDAとUSDAの境界線には多くの点でグレーな部分はあるが、食肉と家きん類の管轄はUSDAだ。どんな製品であれ、肉と表示される可能性のあるものは、同一の検査基準下に入るものと考えている」と述べていた。

 

※2018年5月8日 Meatingplace.com

 
ポーク関連ニュース

豚肉のピューレが乳児の成長を促進

 
 

コロラド大学が発表した新たな研究によると、豚肉などの食肉は、タンパク質を多く必要とする離乳食期の乳児の重要な栄養源となり得ることが明らかになった。生後6〜12ヶ月の急激な成長期に、食肉を乳児の補助食品の選択肢とする母親は少ない。しかし、今回の研究では、(粉ミルクまたは母乳の補助食品として)食肉を与えられた乳児は、初期の身長の発達面で有利であることが示唆された。

同大学の小児科の主任研究者、ミニュワ・タン助教授は「重要な微量栄養素を含む豚肉などの食肉は、優れたタンパク源として離乳食期の乳児にとって重要な補助食品となり得る。研究では5カ月齢でタンパク質の摂取量を増加し、豚肉を食事に採り入れると、身長の成長曲線に有益であることが明らかになった」という。

この研究では、5〜12カ月齢の健康な乳児(人工乳栄養児)64人を、豚モモ肉や牛肉のピューレなど食肉由来の補助食品と、乳製品由来の補助食品を与えたグループに分け、1日のタンパク質摂取量を研究期間前の体重1s当たり2gから、研究期間中は3gに増加させた。カロリーと脂質の摂取量は食肉、乳製品の両グループとも同量を維持した。その結果、食肉の方が、乳製品グループより12カ月齢時点で身長の成長率が約1インチ高く、さらに7カ月間の研究期間終了時に過体重になるリスクが増加しないことがわかった。

先行研究では、母乳育児中の乳児について、食肉由来の補助食品が過体重を招くことなく身長の増加を促すとの研究があったが、今回の研究で母乳、人工乳のいずれにおいても同様の結果が得られたことになる。アメリカ小児科学会は、4〜6カ月齢で固形食品の導入することを推奨しているが、母乳栄養児は人工乳栄養児よりも鉄分が不足するリスクが高い。食肉を補助食品とすれば、鉄分と亜鉛の摂取が容易になる利点もある。

WHO(世界保健機関)も早期にタンパク質を摂取する必要性を認識し、乳児ができるだけ毎日、食肉、家禽類、魚、卵を食べるよう推奨。USDA(米農務省)およびFDA(保健福祉省)は、乳児の成長に栄養素が重要な役割を果たすことを考慮して、「2020〜2025年 栄養に関するガイダンス」に乳児の栄養摂取に関するガイドラインを含める方針だ。

NPB(全米豚肉委員会)の栄養情報共有・研究マネージャーのアドリア・フセス氏は「この研究が特に素晴らしいのは、栄養豊富な豚肉が家族全員の食事において重要な役割を果たせるとわかったことだ」としている。

 

※2018年5月1日 NPB Newsrelease

 
業界ニュース

2017年のオーガニック食品は売上記録更新、成長率は鈍化

 
 

OTA(オーガニックトレード協会)が公表した「2018年オーガニック産業調査」によると、2017年の米国のオーガニック製品の総売上は494億ドル(前年比6.4%増)と新記録を達成したが、うち約35億ドルは新たな分野での売上で、オーガニック食品の売上は452億ドル(同1.1%増)で2016年の成長率(9%増)を大きく下回った。

乳製品と鶏卵の影響で成長率は鈍化したが、この売上から推計すると、オーガニック食品は米国の小売で販売される食品の5.5%を占めることになる。OTAは「オーガニック市場が成熟するにつれて、新たな流通経路と製品が拡大し、様々なカテゴリーが異なる軌道を示して発展していることを考えると、2017年に売上成長が鈍ったのは驚くべきことではない」とし、同協会のCEOは「オーガニック食品市場の成長は、成熟とともにより堅実なペースになるだろうが、消費者が健康と環境に良い、栄養豊富でクリーンな食品を追求する中、オーガニックへの需要はまさに全盛期にある。こうした需要が新たな製品を生み、今やオーガニック食品の種類は、朝食、昼食、夕食、スナック、そしてそれ以外のあらゆる食事をカバーするほど豊富になっている」としている。

 

※2018年5月21日 Meatingplace.com

 
リテール

ランチ・ミート市場90億ドル、再活性化には消費分析必要

 
 

ニールセン・リサーチ社が発表したランチ・ミート市場に関する調査では、ランチ・ミート製造企業は、販売利益の増加に向けて新たな取組みを提案している。ランチ・ミートの市場規模は90億ドルに達しているが、近年、米国では売上額・量とも減少している。このカテゴリーを再活性化し、トレンドを再生するために、ランチ・ミート製造企業は消費者の需要と店内行動についてより理解する必要があると指摘する。

最新の消費者調査をもとに、ニールセンはランチ・ミートのパッケージを生鮮食品部門の中心以外の通路に配置し、抗生物質不使用のような健康増進あるいはクリーンさを謳ったラベル表示を提案している。抗生物質不使用のランチ・ミートは、「調理済み」と「パッケージ製品」ともにそれぞれ52.8%増、17.7%増と売上が高い伸びを示している。

ランチ・ミートを購入する買い物客のうち、パッケージ製品を購入する52%が購入金額の70%以上をパッケージ製品に費やしている。一方、調理済み製品を購入する買い物客は29%にすぎないが、パッケージ製品を購入する買い物客より食品購入額の割合が高いという。ランチ・ミートの購入時に考慮されるポイントは製品の種類、味、価格、サイズが上位に位置づけられるが、一方、カスタマイズしやすいサービスデリ(量り売り)、味の特徴、価格重視のパッケージブランドによって売上増加が期待できるとしている。

 

※2018年5月22日 Meatingplace.com

 
輸出動向

第1四半期の輸出、牛肉・豚肉とも良好

 
 

2018年第1四半期(1〜3月)の食肉輸出(バラエティーミート含む)は牛肉、豚肉ともに好実績を残した。牛肉は3月の輸出額は6億9310万ドル(前年比18%増)と2014年10月の記録を塗り替え、輸出量も11万1994トン(同6%増)を記録。この結果、第1四半期計は31万8073トン(9%増)、19億2000万ドル(同19%増)となった。牛肉生産量に占める輸出比率は全体で13.2%、正肉単体で10.7%。輸出額の1頭当たり換算は315.67ドル(同18%増)。

日本向けは7万2440トン(同3%減)、4億5950万ドル(同8%増)。うちチルドビーフは3万5290トンで、輸出額は18%増の2億7500万ドルに達した。日本は昨年8月より冷凍牛肉でセーフガードを発動、3月は関税引き上げ期間の最終月で、日本の新年度開始にともない4月1日でセーフガードは失効した。

日本市場とは対照的に、韓国市場では米韓FTAによる優遇関税で、米国産牛肉、特にステーキの存在感が高まった。第1四半期の韓国向けは5万1909トン(同22%増)、3億6630万ドル(同37%増)。うちチルドビーフは輸出量34%増、輸出額44%増。台湾向けは1万3067トン(同34%増)、1億2670万ドル(同48%増)。中国・香港向けは3万5060トン(同34%増)、2億6910万ドル(同61%増)。

  米国の牛肉(バラエティーミート含む)の月別輸出量の推移
 

豚肉の第1四半期の輸出量は63万6297トン(同1%増)、輸出額は17億ドル(同8%増)。生産量に占める輸出比率は全体で26.6%、正肉単体では23%。輸出額の1頭当たり換算は54.81ドル(同5%増)。国別では、メキシコ向け20万3656トン(同1%減)、3億7130万ドル(増減なし)、日本向け10万1435トン(横ばい)、4億1970万ドル(同2%増)と上位2カ国がほぼ同様のトレンドだが、韓国向けは6万9518トン(同36%増)、2億200万ドル(同47%増)と大幅な伸び。

中国・香港向けは11万1681トン(同15%減)と減少。中国で国内生産量が増加し、価格が低下、輸入豚肉への需要が鎮静化しているためで、米国産豚肉への追加関税の発効は4月2日からであり、第1四半期の実績には影響していない。

コロンビアにけん引され、南アメリカ向けは2万9126トン(同22%増)、ホンジュラス、グァテマラなど中央アメリカは1万8605トン(同16%増)、ドミニカも1万3439トン(同13%増)で中南米への輸出が急拡大した。アセアン向けも1万634トン(同21%増)と好調。

 

※USMEF News release

  米国の豚肉(バラエティーミート含む)の月別輸出量の推移
   
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート