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TRADER'S Be & Po

vol.264 Apt.11.2016
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛、ボックスビーフともに急落
豚カットアウト堅調、と畜減と輸出改善が支え
トピックス 2016年の日本の米国産牛肉輸入予測は12%増
生産動向 素牛導入増え、夏季の肥育牛供給は潤沢
フードサービス 全米レストラン上位500社、総売上高4.9%増
需給展望 2016年の牛肉生産量増加、国内需要は減
業界ニュース NCBAの新 CEOにケルダン・フレーザー氏
USMEFインフォメーション 米国の牛枝肉の格付制度を学ぶ専用サイト開設
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2016年2月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛、ボックスビーフともに急落

 
 

生体牛とボックスビーフの価格はイースター(3月27日)を前に急落した。スーパーの販促は予想通りハム(豚モモ肉)主体となったが、これが価格下落の原因ではない。2月中旬から続いてきた上昇基調への反動が表れたのだ。

生体牛価格はこの5週間で100ポンド当たり7.62ドル、枝肉価格は同17.07ドル上昇。チョイスのカットアウト価格も2月19日から3月17日までに23ドルも急騰した。その反動が3月18日から出始め、24日までの5営業日で9.80ドルも下落した。

ネブラスカでは枝肉が前週比5ドル安の218ドル、カンザスとテキサスでは生体牛が同3ドル安の136ドルと値下がりした。4月の肥育牛出荷頭数が前年同月を下回ると見込まれていることから、アナリストは「当面の市況はこの水準、価格は横ばいで推移するだろう」と予想する。

しかし価格が現状を維持できるかどうかは疑問だ。いくつかのデータがそれを示している。3月1日時点で肥育期間が120日間以上の牛の頭数は前年比3%増、4月1日時点でも2%減とわずかな減少だ。さらに6月分の先物取引が4月分よりも大幅に安いことから、出荷の早出しが起こる可能性がある。

年初から4月と6月の先物取引価格には10ドル以上の開きがあり、1月第3週に一時的に8ドルに縮まったが、それ以降は10〜11ドルの差で推移。加えて枝肉重量が例年の季節的な傾向に反して増加している。3月第2週の肥育牛(去勢牛と未経産牛)の枝肉平均重量は834ポンドで前週比4ポンド増、前年同週比18ポンド増。これを週当たりと畜頭数に換算すると、1万8000頭増に相当する。

同週のと畜頭数は54万2942頭で、当初予想の53万6000万頭を超えた。結果的に供給過多に陥り、3月18日のスポット市場は劇的な値下がりとなった。カットアウトの急反落でバイヤーは当用買いに終始し、スポット市場での引き合いが弱まり、フォーミュラ取引が増加した。

 

※2016年3月28日 CATTLE BUYERS WEEKLY

   
 

豚カットアウト堅調、と畜減と輸出改善が支え

 
 

3月第3週の豚カットアウト価格は100ポンド当たり76.35ドル。前年比で12.2%高、2013年比ではわずかに低い水準だ(2014年はPEDvで価格が混乱したことから比較には含めない)。この上昇は、全体の豚肉供給がわずかに前年水準を下回ったことが要因。過去2週間のと畜頭数は週当たり平均で221万4000頭、前年比0.8%減。週当たり豚肉生産量は4億7050万ポンド、同1.4%減。

価格が堅調な要因は、輸出が継続して前年を上回っていることにもある。中国向け輸出の増加により、3月の輸出量は前年比14%増となる見込みだ。週当たりのと畜頭数は、これから夏場まで季節的に減少することが見込まれ、これが今後の価格にも反映されるだろう。

現在の予測では、今後3カ月間のと畜頭数は前年比で1.5〜2%減。生体豚の重量も前年以下で推移する見込みで、豚カットアウト価格は6月中旬までに90ドル前後となり、7月から下降局面になると予想する。キーポイントの1つはベリーの価格だ。

現状のベリーの価格は前年の約2倍で、これがカットアウト価格を押し上げている。もしベリーの価格が例年より早く下降すれば、豚肉価格全体のピークも早まるだろう。いずれにしろ、夏場に向けて生体豚価格は上昇し、ベリーの価格次第でカットアウト価格は80ドル台に達する可能性もある。

 

※2016年3月21日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

 
トピックス

2016年の日本の米国産牛肉輸入予測は12%増

 
 

USDAの各国大使館レポートによると、日本の2016年の米国産牛肉の輸入は12%増と予測されている。その要因は豪州の牛肉生産量が減少すること。

同レポートによると、日本の2016年の牛肉輸入では豪州産が前年比7%減の37万8000トン、米国産は12%増の25万9000トンと見込まれている。マーケットシェアは豪州52%、米国36%。

米国産の拡大は、特にチルドビーフがけん引する。メキシコやカナダも相対的な量は少ないが、豪州の減少によりシェアは拡大するだろう。同レポートでは、日本市場は牛肉より安価な豚肉と家きん肉類の供給が十分であるため、「消費者の購買傾向は、安価な食肉へとのシフトが継続している」とし、2016年も小売とフードサービスの両市場で厳しい競合が続くとしている。

 

※2016年3月28日 FOODMARKET.Com

 
生産動向

素牛導入増え、夏季の肥育牛供給は潤沢

 
 

2〜3月にフィードロットへの素牛導入が増加し、晩夏までの肥育牛供給が前年を上回る基盤ができつつある。これらの一部は初夏までに出荷されるため、導入頭数の増加による牛肉価格への影響が現れるのは、今年の後半になりそうだ。

枝肉重量も増加しているため、年間の牛肉生産量予想を上方修正するアナリストもいる。一部のパッカーと生産者は重量制限に努力しているが、アナリストは「生産者は重量付加による収益確保策を手放すことはないだろう」という。

3月1日時点のフィードロットの飼養頭数は1077万頭、前年比0.8%増。長年のCOFレポートの中でも、2月1日より3月1日時点の方が飼養頭数の方が多い年は2014年と今年しかない。2月の導入頭数は171万頭、前年比10.3%増。2月の導入頭数としては過去3年間で最多。1997年の最高記録よりわずか8万7000頭少ないだけだ。

重量別では、600ポンド未満が前年同月比5000頭増、600〜699ポンドは3万5000頭増、700〜799ポンドは4万9000頭増、800ポンド以上は7万頭増。2月の総出荷頭数は159万1000頭、同4.9%増だが、と畜稼働日が1日多いことを勘案すると約0.5%の増加となる

 

※2016年3月28日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
フードサービス

全米レストラン上位500社、総売上高4.9%増

 
 

2015年の米国の外食企業では、スターバックスが目覚ましい売上成長を記録する一方、サブウェイが多数の競合他社にランチ市場のシェアを奪われ、売上減少に苦しんだ。

テクノミック社のチェーンレストランTOP500の年間レポートによる上位500社の総売上高は約2880億ドルと、前年比4.9%増加した。業態別ではファスト・カジュアルが11.4%増と高い伸びをみせ、業界全体の成長を牽引した。フルサービスレストランの成長率は3.4%増にとどまった一方、リミテッドサービスの外食チェーンは5.5%増加した。

企業別では、マクドナルドが朝食メニューの全日導入などで売上高が1.1%増、トップの座を維持したが、上位企業で目覚ましい伸びを示したのはスターバックスで、こちらは12.8%増。次いでタコベルの8.2%増、バーガーキングの4.2%増。タコベルは、バーガーキングとウエンディズを抜いて4位へと飛躍した。

サブウェイは3.4%減と2年連続のマイナス成長となったが、それでも3位にとどまった。サブウェイが苦戦する一方で競合他社のアービーズ、ジミージョンズ、ジャージーマイクスなどは力強い売上成長を達成した。

 

※2016年3月28日 Meatingplace.com

 
需給展望

2016年の牛肉生産量増加、国内需要は減

 
 

CattleFax社によると、2016年の食肉生産と市場予測のポイントは以下の通り。

飼養動向・と畜頭数

2016年の肉牛の総飼養頭数は前年比3.5%(310万頭)増と、1974年以来で最大の増加となる。経産牛・未経産牛のと畜頭数が過去45年間で最少だったことから、雌牛の飼養頭数の拡大は最高潮の3080万頭と、前年より110万頭増加する。肥育素牛と子牛の増加によって、2016年の去勢牛・未経産牛のと畜頭数は60万頭増加し、2370万頭になると予想される。

肥育素牛・子牛供給

子牛の生産は過去2年間で57万頭増加。2016年は雌牛の飼養頭数増加によっておよそ100万頭増加する。フィードロット外の肥育素牛と子牛の増加から、2016年のフィードロット導入頭数は増加する見込み。この傾向は2017、2018年も継続する。

牛肉の生産と供給

2016年の牛肉生産量は、前年比7億ポンド増加して244億ポンドの見込み。と畜頭数の増加と枝肉重量の微増が要因。冬の寒波が肥育実績に影響し、枝肉重量の増加は年間わずか1ポンドに留まる。国民一人当たりの牛肉供給量は、牛肉生産の増加により0.4ポンド増の54.6ポンドの見込み。牛肉輸入が少なく輸出が増加することで、生産増の一部が相殺される。2017、2018年の増加は1ポンド以上と見込まれる。

豚肉・家きん類

2015年の豚肉・家きん類の生産量は30億ポンド増と、1970年以来最大の増加となったが、2016年はさらなる増加が予想される。豚肉生産量は6億6400万ポンド増の252億ポンド、家きん類は5億8600万ポンド増の458億ポンドと、いずれも記録的な水準に達するだろう。

牛肉需要予測

供給増加による価格低下が進むが、需要は大幅な減少傾向になる。小売の牛肉需要は2015年に8%増、冷蔵品の小売価格は平均でポンド当たり約6.04ドルだったが、2016年の小売価格は平均5.80ドル台の見込み。小売価格は2015年7月に6.15ドルの記録的高値に達し、より安価で量の多い豚肉と鶏肉に消費が流れた影響もあり、2016年の牛肉需要は5%減少すると推定される。

国際需要

2015年の米国産牛肉の高値により、世界的な牛肉消費はより安価で豊富な豚肉や鶏肉、あるいは競合する他国産牛肉に流れた。米国の牛肉、原皮、内臓肉の輸出額減少は、2014年秋から2015年秋の肥育牛一頭当たりで118ドルの損失に値する。米国産牛肉に対する世界的な需要は、確定的ではないが拡大の可能性もある。世界の人口は約74億人、向こう10年間ではさらに8億人増加する。この人口増大は米国の牛肉生産者にとって好機。2018年まで生産量が増加する米国産牛肉の需要を拡大するには、貿易の障壁を取り除くことが重要である。

 
業界ニュース

NCBAの新CEOにケルダン・フレーザー氏

 
 

NCBA(全米肉牛生産者牛肉協会)は、ケンダル・フレーザー氏を新たなCEO(経営最高責任者)に選出した。フレーザー氏は1985年からNCBA(前身組織)に従事してきた最も経験あるスタッフで、前CEOのフォレスト・ロバーツ氏が予想外の辞任を発表した後、昨年7月にCEO代理となっていた。

NCBAのトレイシー・ブラナー会長は、フレーザー氏は米国の牛肉産業界で最も歴史があり、そして最大の組織であるNCBAで長年の経験を有し、産業界が幾多の試練を乗り越える先導役を果たしてきた実績があり、新CEOに相応しいと評している。

 

※2016年3月28日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
USMEFインフォメーション

米国の牛枝肉の格付制度を学ぶ専用サイト開設

 
 

USMEFはこのほど公式サイト上に、米国の牛枝肉格付け制度を解りやすく学べる専用Webサイトを開設しました。「アメリカン・ビーフの格付け制度を学ぼう〜米国牛枝肉の格付けの歴史・表示の決め方とは?〜」と題したこのサイトは、「ラーニング・モジュール」と「格付シミュレーション」の2つで構成されています。

ラーニング・モジュールでは格付制度の歴史、手順、テクノロジーなどが学習できます。「制度の歴史」を始め、「品質等級」「歩留り等級」「ブランドプログラム」がチャプター分けされ、それぞれの等級の決め方が手順に沿って、ビジュアル的にも解りやすく解説されています。格付制度だけではなく、と畜後の枝肉の温度やpH値と品質の関係、歩留まり等級の計算式などさまざまな事柄が学べる内容となっています。

格付シミュレーションでは、ラーニング・モジュールで学んだ事柄を実際に試すことができます。枝肉の性別の見分け方から年齢(成熟度)の判定、リブアイの色とキメ、マーブリング(脂肪交雑)の測定などを行い、最後に格付印をスタンプできる設計になっていますので、格付員の目線でチャレンジしてみてはいかでしょうか。同サイトには下記よりアクセスできます。

http://www.americanmeat.jp/index_trd.html

  American Beef Promotion Guide Book
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート