印刷する
 

TRADER'S Be & Po

vol.249 Jul.21 2015
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
ワールドトレード 南米2カ国の牛肉輸入解禁へ、数量は限定的
市況ニュース 牛肉の小売販売不調、先物は上昇
ポーク関連ニュース 2016年の供給拡大は当初予想より緩やかに
生産関連ニュース 南部プレインズの集中降雨、牛群再構築を後押し
輸出動向 5月の輸出量は牛肉8万8466トン、豚肉18万4865トン
業界ニュース JBSがカーギルのポーク事業を買収
シンプロットとカヴィネスの新牛肉工場の建設承認
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2015年5月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
定期購読(無料)の登録はこちら バックナンバーはこちら
 
ワールドトレード

南米2カ国の牛肉輸入解禁へ、数量は限定的

 
 

APHIS(動植物検疫局)は、アルゼンチンのパタゴニア地方とブラジルの14州からの生鮮牛肉(非加熱の冷蔵、冷凍)の輸入に関する最終規則を発表した。これに対してNCBA(全米肉牛生産者牛肉協会)は、口蹄疫のリスクなどに懸念を表明し、輸入解禁を反対しているが、対照的にNAM(I 北アメリカ食肉協会)、この規制は健全な科学的リスク評価に基づくもので、人と動物に関する国際的な貿易ルールに則しており、最終的には米国の産業界に利益をもたらすとして賛成の立場を表明している。

APHISの輸入規則案は、連邦の官報で告示された後、60日後に有効となる。その後USDAは対米輸出を申請するすべての工場を検査。アルゼンチンとブラジルの食品安全規格と国内検査システムとの同等性を、評価・監査する。

輸入が解禁されても、現行の割当制度から判断して、輸入量は限定的な水準にとどまる。ブラジルの農相は、今回の決定により今後5年間で輸出量を10万トンにできる潜在需要があるとコメントしているが、米国の国際貿易委員会によって設定された牛肉と子牛肉の無税枠は、単独の割当のない国の合計は6万4805トンでしかない。

カナダとメキシコには輸入数量の制限はない。豪州の年間割当量は37万8214トンと、FTAで追加された4万トン。NZは21万3402トン、日本は200トン、アルゼンチンとウルグアイは各2万トン。ブラジルには単独の割当はない。

アナリストは、割当量を消化していない国の3分の2はブラジルに置き換えられるだろうという。USDAは、ブラジルからの年間輸入量は2万〜6万5000トン、平均で4万トンと試算し、たとえ輸入量が4万トン増えたとしても、国内供給の増加は1%に過ぎず、価格への影響は卸売価格で0.11%、小売価格で0.04%、肥育去勢牛で0.14%未満であり、ほとんど影響はないとしている。

 

※2015年7月6日 CATTEL BUYER'S WEEKLY

 
市況ニュース

牛肉の小売販売不調、先物は上昇

 
 

米国内の牛肉販売は、不振のまま夏場に突入した。独立記念日を含む3連休は、メモリアルデーの連休を上回る販売が期待されていたが、期待外れに終わった。牛ひき肉の販売が低下し、多くの小売業者が目玉商品としてシーフードを取り上げたため、ステーキの販売量も減少。バイヤーの買い付けが必要量の手当に終始したことから、カットアウト価格はスポット市場で急落した。

牛肉販売の鈍化により、肥育牛のと畜頭数は急速に前年を下回った。パッカーは営業利益が改善していたにも関わらず、販売できる量しか加工しなかった。6月の週当たりの平均と畜頭数は44万9000頭(前年同月比11%減)。今年6月27日までのと畜頭数は推定で1081万4000頭(同6.2%減)と前年より71万4000頭も少ない。

これは牛肉工場の1日当りの最大と畜能力に対して、稼働率が84%で推移したことになる(本紙データを基に週5日間稼働で試算)。アナリストは、5月から6月にかけてと畜頭数が季節的に減少したことからも、6月の牛肉販売が低調であったことは明らかだという。逆に、6月から7・8月にかけては季節的な増加があり、肥育牛のと畜頭数は週当たりで7月45万9000頭、8月46万2000頭へと増加すると予測する(前年同月比ではいずれも3%減)。

主要パッカーはこの4週間、安値で生体牛を購入できた。先物価格(100ポンド当たり)が6月契約で147.85ドル、8月は148.07ドルだった。しかし現金取引では前週水曜日(6月30日)にネブラスカ・アイオワ・南ミネソタで計5000頭が生体牛148.79ドル、枝肉239ドルの高値で販売された。

これにより、前週の週当たり平均価格は生体牛148.79ドル、枝肉237.78ドルとなった。パッカーが現金市場で高値購入したことは、先物取引価格にも反映され、8月、10月の契約価格は151.07ドルと300ポイント上昇、12月契約は153.70ドルまで上昇した。

 

※2015年7月6日 CATTEL BUYER'S WEEKLY

 
ポーク関連ニュース

2016年の供給拡大は当初予想より緩やかに

 
 

USDAが6月26日に公表した四半期毎のホッグ   ピッグレポートによると、短期的な供給は予想どおり急速に回復するが、2016年の供給は当初予想よりゆるやかな成長になるだろうとしている。生産と価格に関する要点は以下の通り。

6月1日現在の総飼養頭数は6690万頭(前年同月比8.7%増)で、うち肥育豚は6097万5000頭(同9.4%増)。以前の報告書を基に、市場アナリストは総飼養頭数を8.6%増と予想していたが、この予想は6月第3週までのと畜頭数が11.3%増、4週には12.3%増となったことでズレがあることが明らかになっていた。

アナリストの予測とUSDAの報告書の大きな違いは180ポンド以上の飼養頭数。アナリストの予測では前年同月比10%増だったが、実際には13.4%増と大幅に増加していた。120〜179ポンドの飼養頭数も1281万頭(同11.5%増)とアナリストの9.4%増を上回った。USDAの報告書から推測すると、7月後半から8月前半の週当たりのと畜頭数は207万頭前後、8月後半はさらに増加し219万頭前後に達するとみられる。留意すべき点は、2月後半から3月前半にPRRS(豚繁殖・呼吸障害症候群)による損失があったものの、USDAの7月後半から8月前半の出荷にはこれが現れていないことだ。

50ポンドと119ポンドの飼養頭数は1718万1000頭で、前年比8.7%増。アナリストの8.3%増よりもわずかに多い。この区分の豚は8月後半と10月半ばに市場に出荷される。従って、9月の週間と畜頭数は224万頭、10月は235万頭前後と推測される。週当たりと畜頭数がこれよりも多かった時もある。2012年9月にはほぼ240万頭の出荷があったが、今年の違いは市場に出荷されている豚が当時よりはるかに重いことだ。

第3四半期の豚肉生産量はPEDvの影響のなかった2012年、2013年との比較で5.0%増、第4四半期は同様の比較で4.4%増と予想される。この供給増が値下げ圧力となり、8月の生体豚価格(100ポンド当たり)で76ドルを維持しそうだが、9月から10月にかけては70ドルから67ドルまで低下。11月には週当たりと畜頭数が240万頭となり、価格は63ドルまで急落する可能性もある。

 

※2015年6月29日 NPB Pork Merchandiser's Profit Maximizer

  米国の四半期毎の子豚生産頭数
 
生産関連ニュース

南部プレインズの集中降雨、牛群再構築を後押し

 
 

南部プレインズでの集中豪雨が、この地域での牛群の再構築を後押ししている。更新用の雌牛も秋までは出荷が保留されるだろう。2015年上半期の雌牛のと畜頭数は前年同期より6%少なく、肉用牛の雌牛は17%も減少している。これは国内産の加工用牛肉(90CL)の生産が減少し、輸入牛肉の需要が高まることに繋がっている。

テキサスとオクラホマで牧草地の状況が良化したことで、肥育素牛は前年よりも長く牧草地にとどまり、肥育素牛の供給を減少させるだろう。また更新用の雌牛の保持が積極的に行われる効果もある。今年これまでの去勢牛のと畜頭数は5.8%減にとどまっているが、未経産牛は8.7%減少している。

最新のCOFレポートでも牧草地帯の改善効果が表れている。5月のフィードロットへの導入頭数は171万1000頭(同10.2%減)と大幅に減少。2009年以来の低い水準となった。さらに、導入頭数の重量区分を見ても軽量級の素牛が減少している。

700ポンド以下は15.2%、11万頭減。700〜799ポンドは17.9%、8万5000頭減。800ポンド以上の導入はほぼ前年と同じだ。

アナリストは「南部プレインズのフィードロットは、5月に軽い牛を巡って育成牧場との競合が激しくなった。導入頭数の少なさは第4四半期の生体牛価格の値上がり要因となるからだ」という。5月のフィードロットの出荷はと畜稼働日が1日少ないことを加味すると、前年比同月比3.8%減。6月1日の総飼養頭数は1056万1000頭(同0.6%増)。

 

※2015年6月29日 CATTEL BUYER'S WEEKLY

 
輸出動向

5月の輸出量は牛肉8万8466トン、豚肉18万4865トン

 
 

USDAの公表を基に、USMEFが集計した5月の食肉輸出動向によると、牛肉全体(バラエティーミート含む)の輸出量は8万8466トン(前年同月比14%減)。輸出額は5億5670万ドル(同6%減)で今年初の前年割れとなった。1〜5月累計の輸出量は43万393トン(同10%減)。輸出額は26億8000万ドル(同2%増)。

1〜5月の牛肉生産量に占める輸出比率は全体で13%、牛正肉は10%で、それぞれ前年同期に比べて1ポイント弱の低下。しかし、と畜牛1頭当りに換算した輸出額は291.17ドルで、前年同期よりも9%上昇している。

国別では、韓国向けが97405トン(同5%増)、6480万ドル(11%増)と前月に引き続き好調。1〜5月計でも4万8568トン(4%増)、3億4190万ドル(9%増)と前年を上回っている。短期的にはMERSの影響で減速する可能性もあるが、USMEFのセング会長兼CEOは「MERSは食品安全の問題ではないが、6月には韓国のレストラン部門に多大な影響を与えた。幸い、韓国事務所からの報告によると、状況は著しく改善し、7月には消費者の行動も正常に戻っている」とし、韓国の牛肉需要の急速な回復を見込んでいる。

日本向けは1万7964トン(10%減)、1億690万ドル(15%減)だが、1〜5月計では8万8936トン(2%増)、5億6460万ドル(3%増)と依然として前年同期を上回っている。香港は4万9264トン(17%減)、3億7040万ドル(8%減)。台湾は1万2321トン(5%減)と数量は前年を下回ったが、輸出額は1億1750万ドル(13%増)と2ケタの伸び。

豚肉の輸出量は18万4865トン(同2%減)、輸出額は4億8920万ドル(18%減)。1〜5月累計は91万967トン(同6%減)、24億2000万ドル(同15%減)。1〜5月の豚肉生産量に占める輸出比率は25%(前年同期28%)、豚正肉だけでは21%(同23%)。と畜豚1頭当りに換算した輸出額は51.39ドルで19%減少した。

4月の豚肉輸出をリードした日本とメキシコ向けが5月には再び後退したことが全体の減少に繋がった。日本向けは3万9340トン(9%減)、1億5290万ドル(18%減)。1〜5月計では18万9188トン(11%減)、7億520万ドル(18%減)。メキシコ向けはこの19カ月で最も少ない5万3186トン(6%減)、9510万ドル(31%減)。

 
業界ニュース

JBSがカーギルのポーク事業を買収

 
 

ブラジルを本拠地とする世界最大の食肉パッカー・JBS社は7月1日、子会社のJBS・USA社がカーギル社の米国におけるポーク事業を買収することで合意したと発表した。買収額は14億5000万ドルでアイオワとイリノイの2つの豚肉加工工場を始め、4カ所の養豚場および5つの飼料工場が含まれる。

JBS・USA社は米国の牛肉・豚肉・ラムの大手加工業者であり、また、大手鶏肉加工会社の主要株主でもあるため、司法省の審査が必要となる。業界のデータでは同社の市場シェアはビーフ22%、家禽18%。食肉パッカーとしてはタイソン社に次いで2位。カーギル社のポーク部門の買収で米国での食肉事業の統合拡大を推進する。

 

※2015年7月2日 FOODMARKET.Com

 
 

シンプロットとカヴィネスの新牛肉工場の建設承認

 
 

カヴィネス・ビーフ・パッカーズ社とJ.R.シンプロット社は合弁でアイダホ州ボイジに近いアダ群に新しい牛肉加工工場の建設を予定している。地域経済への寄与を期待して、地元も歓迎の意を表している。

合弁会社の名前は「CS Beef Packers LLC」。計画では1億ドルを投じて38万平方フィートの敷地に新しい牛肉加工工場を建設、2016年秋の稼働を予定している。1日当たりのと畜能力は1700頭。

カヴィネス社は53年の社歴をもつ家族経営の食肉加工業者で、テキサス州アマリロとヘレフォードに2つの加工工場を持つ。一方のシンプロット社は冷凍食品の大手企業で豪州、カナダ、メキシコ、韓国、中国および東南アジアにも拠点を持ち、従業員は1万人。12カ所の牧場を有し、アイダホ、ネバダ、オレゴン、ワシントン州で3万頭の牛を飼養している。

 

※2015年7月7日 MeatPoultry.com

 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 

ポーク・ファクト・シート