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TRADER'S Be & Po

vol.236 Dec.1.2014
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
業界ニュース ビーフパッカートップ30、上位5社不動もシェア低下
パッカーランキングの変遷、25年間で大きな変化
ポーク関連ニュース 豚カットアウト持ち直す、モモ、ウデ等の上昇で
市況ニュース 生体牛高値更新も牛肉需要は高値疲れで鈍化
需給トレンド フィードロットの飼養頭数、前年並みに近付く
トピックス 米国の牛肉、豚肉輸出額、2014年は130億ドルに
ワールドトレード 中国がブラジル産牛肉の禁輸を正式に解除
USMEFインフォメーション 焼肉ガイドブック・リニューアル版を発刊
マーケットデータ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2014年9月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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業界ニューズ

ビーフパッカートップ30、上位5社不動もシェア低下

 
 

キャトル・バイヤーズ・ウィークリー紙は独自調査による「2014年ビーフパッカートップ30」を発表した。肉牛飼養頭数の減少はビーフパッカーのと畜頭数にも大きな影響を与えている。トップ30社の1日当りの最大と畜能力は前年に比べ4.4%、5560頭も減少した。これは前年の6.5%減、8824頭減少に続くもので、パッカー業界はこの2年間でと畜能力が1万4384頭も減少したことになる。歴史的にみても前例のない減少である。

30社・53工場の1日当りのと畜能力は12万2010頭。と畜能力の売上高の第1位はタイソンフーズ社。7工場で2万8950頭の処理能力を有し、前年に引き続き第1位の座を維持した。第2位はJBS USA社で9工場、2万7125頭。第3位は8月1日にウィスコンシン州ミルウォーキーの工場を部分的に閉鎖し、6工場、2万3000頭となったカーギルビーフ社。4位のナショナルビーフ社は5月23日にカリフォルニア州ブローリー工場を閉鎖したため2工場、1万2000頭となり、5位のアメリカンフーズグループも7月にミネソタ州セントポールの設備を閉鎖し4工場、6500頭となった。

トップ3合計の処理能力は22工場・7万9055頭(前年は23工場・8万1775頭)。トップ5では計28工場・9万7575頭(同31工場・10万3575頭)。この結果、2013年のトップ5社計のシェアは78.4%で2012年(79.3%)から0.9ポイント低下。トップ3社のシェアは61.6%で2011年(62.3%)に比べ0.7ポイント低下した。肉用牛(肥育牛の去勢と未経産牛)に対するトップ3社のシェアは73.4%、トップ5社では91.0%でいずれも低下した。

 

※2014年11月10日 CATTLE BUYER'S WEEKLY

 
  2014年パッカーランキング上位30社(上位20社まで抜粋)
 
 

パッカーランキングの変遷、25年間で大きな変化

 
 

キャトル・バイヤーズ・ウィークリー紙のビーフパッカートップ30社のランキング調査は1989年から開始された。この25年間のランキングがどう変化してきたかをみると、まず、1989年のトップ3社はIBP社、コナグラレッドミート社、エクセル社。この3社はそれぞれタイソンフーズ社、JBS USA社、カーギルビーフ社となり、現在もトップ3の地位にある。

4位だったビーフアメリカ社は廃業し、他の9社に買収された。ナショナルビーフ社、ハリスランチビーフ社、そしてオーロラパッキング社は1989年から同じ社名で継続し、ABフーズ社も1989年当時の社名であるワシントンビーフと呼ばれている。

この25年間で多くの統合、再編が行われ、上位企業が大規模化してきた。ただ近年はトップ5社のシェアは比較的安定している。一方で小規模な企業の多くが姿を消した。1989年の業界全体のと畜能力は1日当り14万5000頭であったが、現在は12万8000頭に縮小している。

新生した企業もある。1989年当時、1250頭の能力を有して15位にランキングされていたアイオワ州のテーマミートパッキング社。同社はアイオワプレミアムビーフ(IPB)社として再びランキングに登場した。と畜処理能力は1100頭でランキングは当時と同じ15位。IPB社は4000万ドルを投下して拡張し、11月10日から稼働を開始した。この工場は閉鎖される前の2003年から2004年にかけてアイオワクオリティービーフ社として運営されていた。

IPB社は高級品質のブラック・アンガス種のみを扱い、CABの認定も取得。中東市場で成長する米国産牛肉への需要に応えるべく、と畜は100%ハラールで対処。EU諸国を含む世界43カ国への輸出を可能にしている。

 

※2014年11月10日 CATTLE BUYER'S WEEKLY

 
ポーク関連ニュース

豚カットアウト持ち直す、モモ、ウデ等の上昇で

 
 

10月上旬以降から豚肉のカットアウト価格が大幅に値下がりしてきたが、生体豚の先物価格はこの数日間で500ポイント以上も上げた。生体牛の先物価格が急騰したことも要因の一つたが、カットアウト価格も11月14日に100ポンド当たり95.93ドルと前週より2ドル上昇。冬に向かって豚肉価格が上昇に転じる可能性もある。

カットアウトの上昇はハム、ピクニック、ベリーの価格上昇によるもの。ハムは通常の季節需要により11月中旬から12上旬には上昇することが見込まれており、代替え需要を含めてピクニックもクリスマスに向かって上昇することが予想される。

問題はホリデーシーズン向けの手当が一巡したあとの動きだ。ハムとピクニックの手当はあと3週間ほどで終わる。その後のロインとベリー、トリミングの価格次第でカットアウトの価格も左右される。ただ、季節的に冬場のロインは値動きが小さく、また今年は去年とは違ってロインの供給は潤沢で、小売市場では余り気味だ。と畜頭数は増加し、枝肉重量も重いままで、豚肉の生産量は前年をわずかに下回る水準まで回復している。

ベリー価格は今年前半に高騰したが、高値は長続きしなかった。フードサービスで色々なメニューにベーコンを使うケースが増え、小売でもベーコンの販売が強化されたが、生体豚の先物価格が高騰するにつれ、ベーコンの仕入量を減らす動きが強まったからだ。

ベリーのカットアウトは100ポンド当たり96.65ドルで前年より23.6%安い。しかし、例年のパターンなら第4四半期に底を打ち、春に向かって上昇する。とはいえ、重量構成比16%のベリーだけが上昇しても、カットアウト全体を支える力はない。

やはり、今後の価格予測では輸出需要とPEDvの発生状況がカギとなる。中国向けの輸出が顕著に増加しており、これが維持されるならば2015年前半もカットアウト価格を維持すると予測される。

 

※2014年11月17日 NPB Pork Merchandiser's Profit Maximizer

  豚枝肉のカットアウト価格の推移(工場出荷ベース)
 
  豚枝肉の週当たり平均重量の推移(全額ベース)
 
 
市況ニュース

生体牛高値更新も牛肉需要は高値疲れで鈍化

 
 

生体牛価格の高値更新が続く中でボックスビーフの引き合いが軟弱化し、牛肉加工業者の赤字が拡大している。生体牛の先物取引は11月13日に12月契約物が100ポンド当たり169.92ドルと最高値を付けた。これは10月第4週に記録した最高値168.79ドルを上回るもので、パッカーは現金取引においても169ドル以上での調達が必要となった。

これに対して、11月7日から13日までのカットアウト価格はチョイスで100ポンド当たり0.83ドル高、セレクトも1.68ドル高に留まり、13日以降からカタとモモが安値で大量販売された。

アナリストは「生体牛価格から判断すると、チョイスとセレクトを合わせたカットアウト価格は255〜256ドルが損益分岐。しかし、現状のチョイスとセレクトの混合カットアウト価格は246〜247ドルの水準にあり、パッカーの営業損失が膨らむ」と指摘する。肥育業者からは生体牛で170ドル、枝肉価格で265〜267ドルの唱え値が出始めており、パッカーはさらなる高値の生体牛購入を余儀なくされている。

と畜頭数の減少にもかかわらず、カットアウト価格が上昇しないことでビーフパッカーの損益は厳しいしい状況になっている。ポークパッカーとは対照的である。通常ならガソリン代が下がれば牛肉の売上高は良くなるが、今秋にはそれが起こらない。

ガソリン価格は4月28日のピーク(3.70ドル)から77セント値下がりしている。これは全米のドライバーで1日当り2億5000万ドル以上の節約となり、他の消費に回るはずであるが、それでも牛肉はこれ以上の高値には消費がついてこないだろう。値下がりした豚肉に需要がシフトし、牛肉販売は伸び悩んでいる。

 

※2014年11月17日 CATTLE BUYER'S WEEKLY

 
需給トレンド

フィードロットの飼養頭数、前年並みに近付く

 
 

フィードロットの飼養頭数は10月のと畜頭数が非常に少なかったことから推察すると、前年並みの水準に近付いたようだ。11月14日に公表されたUSDAの最新報告では、1000頭以上の収容能力をもつフィードロットからの10月の出荷頭数は前年比7%減。

一部のアナリスは10月のフィードロットへの導入頭数は前年同月より10%以上多く、11月1日現在の飼養頭数が前年比0.2%減まで回復すると予想している。

枝肉重量も増加している。10月最終週の去勢牛の平均重量は902ポンドで前週と同じだったが、未経産牛は829ポンドとわずか1ポンドながら記録を更新した。アナリストは全米北部から中部にかけての寒波は生体牛の肥育には影響を与えていない。生体牛の体重は12月中旬まで増加し続け新記録を更新するだろうと予測する。

一方、USDAのトウモロコシ収穫量予測は若干下方修正された。収穫率85%での収穫予想は144億700万ブッシェルで、以前の予想値から6800万ブッシェル引き下げられた。

 

※2014年11月17日 CATTLE BUYER'S WEEKLY

 
トピックス

米国の牛肉、豚肉輸出額、2014年は130億ドルに

 
 

2014年の米国産牛肉、豚肉の合計輸出額は130億ドルの上回り、過去最高となりそうだ。USMEF(米国食肉輸出連合会)の集計によると、第3四半期までの輸出額はすでに102億3000万ドルに達している。9月の牛肉輸出量は10万65トンで前年比6%増、金額は6億3190万ドルで25%増。1〜9月累計では89万276トン、3%増。金額は51億8000万ドル、15%増となった。

豚肉は10月の輸出量が3%減だったものの、金額は7%増の5億1300万ドル。1〜9月累計では輸出量が164万トン、5%増、金額は50億5000万ドル、14%増となった。USMEFのフィリップ・セング会長兼CEOは「牛肉生産量の大幅な減少やロシアの報復的な禁輸措置、さらに9月には為替相場でドルが高騰するなどの逆風の中で、著しい成長を実現できた。牛肉と豚肉の輸出額が年間でそれぞれ50億ドルを超えたのは3年前だか、それを第3四半期までに達成できたことに満足している」とし、その要因としてUSDAの市場アクセスプログラムが重要な役割を果たしていることを強調した。

 

※2014年11月17日 CATTLE BUYER'S WEEKLY

 
ワールドトレード

中国がブラジル産牛肉の禁輸を正式に解除

 
 

ブラジルと中国は11月16日付でブラジル産牛肉の輸入禁輸措置を正式に解除することで合意。豪州で開催されたG20首脳会合の合間にブラジルのディルマ・ロウセフ大統領と中国の習近平国家主席が協定書にサインした。中国は2012年12月にブラジル・パラナ州でBSE(非定型)が発生して以降、輸入を停止していた。

中国の習主席は7月にBRICS諸国の指導者との会談でブラジル訪問をした際に禁輸を解除する意向を発表したが、行政的な手続きが長引いて輸入停止が継続されていた。正式に二国間協定が締結されたことで、ブラジル政府は中国に対して来年度に8億ドルから12億ドル程度の牛肉輸出を見込んでいる。

ブラジルのネリ・ゲラー農林水産大臣は今月初めに、サウジアラビアが間もなく輸入を再開するとの予測も発表している。ブラジルの牛肉輸出は2013年に150万トン(19.4%増)、66億ドル(13.9%増)に達しているが、2014年も10月まで前年を上回って推移している。

 

※2014年11月18日FOODMARKET.com

 
 
USMEFインフォメーション

焼肉ガイドブック・リニューアル版を発刊

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)はこのほど「アメリカン・ビーフ&ポーク 焼肉ガイドブック」のリニューアル版を発刊しました。本ガイドブックは2003年の初版以来、日本の食肉および焼肉産業に係わる多くの方から高い評価をいただき、増刷を重ねてまいりました。

この間、外食産業における焼肉提供業態の多様化やメニュー・トレンドの変化、あるいは生食を巡る規制変更など様々な変化がありました。今回のリニューアル版では、こうしたマーケットニーズの変化に対応すべく、従来からの人気部位とともに、これまでは掲載していなかった新しい部位とその活用方法を数多く収録しました。

新規掲載部位は、ビーフではプレートフィンガー、カルビアイプレート、プレートエクステンション、リフターミート、チャックフラップ、トップブレードマッスル、クロッドハート、デジタルフレクサーなど、ポークではバックリブ、フォールスリーン、ポークタンなどで、従来の掲載部位についても一部は新しいメニューを提案しています。

アメリカン・ミートは多彩な規格製品が開発されており、しかも単品での供給が可能です。穀物肥育によるおいしさに加え、作業性を高める歩留りの良い規格など焼肉のメニュー開発には最適の商材です。USMEFのWEBサイトからもダウンロードが可能になっていますので、焼肉メニューのバリエーション拡大と付加価値の高い商品開発のために本ガイドブックをご活用下さい。
http://www.americanmeat.jp/trd/publications/book/index.html

 
 

 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 

 

ビーフ・ファクト・シート