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TRADER'S Be & Po

vol.223 Apr.14.2014
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
トピックス 豚肉市場展望―供給回復は2014年後半から2015年に
市況ニュース 生体牛の現金取引は高値続く、4月先物の大量契約の反動で
肥育牛の出荷拡大、カットアウトは先行き急落も
ワールドトレード EUがロシアの豚肉輸入禁止処置をWTOに提訴
消費トレンド 消費者が牛肉の選択で重視するのはフレーバー
生産動向 フィードロット飼養頭数は0.5%減、導入増・出荷減
マーケットデータ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2014年2月)米国の輸出、飼養動向、
と畜頭数・枝肉生産量、日本の輸入量
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トピックス

豚肉市場展望―供給回復は2014年後半から2015年に

 
 

飼養頭数は予想より多く、先物価格は下方修正へ

USDA(米国農務省)が3月28日に公表した四半期ごとの豚飼養動向調査によると、3月1日現在の豚の総飼養頭数は6289万9000頭で、前年同月比3.3%減。うち、肥育豚の飼養頭数は5704万8000頭、同3.7%減となった。USDAの事前予測はそれぞれ5.4%減、5.9%減で、いずれも減少は小幅にとどまった。

総飼養頭数はアナリストの予測よりも多く、生体豚の市況は夏場に弱含む可能性があり、夏から秋にかけての見通しはかなり弱気になった。飼養頭数の減少が予想より小幅であったことから先物価格が見直され、6月契約分は100ポンド当たりでおよそ10ドル下落した。

  子豚生産頭数と去勢豚・未経産豚のと畜頭数の増減推移
 

ロイン反落、ベリーと挽き材の価格動向が焦点

カットアウト価格は3月に急騰したが、今回のレポートを受けて、いくつかのアイテムにはその反動が表れた。特にロインは急反落し、大幅に値を下げた。ベリーと挽き材は高騰したままだが、市場関係者の最大の関心は、現在の価格が夏場まで維持できるかどうかに移っている。

例年、挽き材は夏場に向けて手当が活発になるが、今年は多くのエンドユーザーが夏場の供給減を見越して早めの在庫備蓄に動いたため、今年の夏場は挽き材需要が例年ほど強くならない可能性もある。現在の挽き材価格は、モモの価格を支えている。モモの価格が挽き材を下回れば、エンドユーザーは72CL(赤身率72%の挽き材)の代替としてモモを使うため、短期的にモモの価格変動は挽き材の動きを後追いしている。

  ポークロイン(1/4トリムド)の工場出荷価格(USDA公表)
 

第2、第3四半期の生産量予想は2〜2.5%減

多くのアナリストの予想のように、供給が本当にタイトならば、現在の価格高騰は正当化されるが、もし供給量が予想ほど減少しなければ、市場の正常化に向かって価格が大幅に下落することもある。

ここ数週間、春から夏にかけてのと畜頭数が不足するとの思惑があった。だが重量区分ごとの飼養頭数は、120〜179ポンド(54〜81kg)が2.9%減、50〜119ポンド(23〜54kg)は3.3%減。いずれも180ポンド(82kg)超の4.8%減と比較して減少幅は少ない。報告公表前のアナリストの平均予想は、120〜179ポンドが5.9%減、50〜119ポンドは5.8%減。一部で9%減と予想するアナリストもいた。

PEDvの拡散が飼養頭数の減少要因だとすれば、軽量の豚の頭数はもっと少ないはずだ。ただ今回の報告で留意すべき点は、2013年9〜11月の子豚生産頭数が0.1%減であるのに対して、180ポンド以上は4.8%も減少していることだ。と畜頭数の低下との整合性を考慮すると、次回報告で子豚生産頭数は修正されるかも知れない。

現状の報告から予測されると畜頭数は、第2四半期が3.5%減、第3四半期は4.0〜4.5%減。これに枝肉重量の増加を加味すると、第2〜第3四半期の豚肉生産量は2〜2.5%減と予想され、これまで先物取引で予想されていたほどには落ち込まない。

  3月1日現在の豚総飼養頭数
 

繁殖母豚増加、分娩頭数など生産性も向上

繁殖豚の飼養頭数は585万1000頭、0.3%増と前年同月を上回り、2013年12月1日との比較で9万4000頭も増えた。加えて繁殖業者は、3〜5月と6〜8月の分娩頭数をそれぞれ2.4%増、2.0%増と予測している。この繁殖母豚の拡大と分娩頭数の増加により、2014年後半から2015年の第1四半期の相場は弱含むだろう。

12〜2月の分娩後の生存率は前年より5.5%も低下した。これはPEDvの直接的な影響だが、同期間中の一腹あたり分娩頭数が2.8%増加しているため、子豚生産頭数は2.8%減に留まった。母豚群の拡大とPEDvへの対応努力、そして季節的に発症が落ち着く2014年後半から2015年にかけて供給力は確実に回復するだろう。

 

※2014年4月7日 NPB Pork Merchandiser's Profit Maximizer

  3月1日現在の繁殖用豚飼養頭数
 
市況ニュース

生体牛の現金取引は高値続く、4月先物の大量契約の反動で

 
 

生体牛の現金取引価格は、3月中旬に入っても最高値を更新し続けている。下降局面に入る時期を迎えているが、現金取引市場では依然としてパッカーよりも肥育業者の影響力が強い。生体牛は総じて100ポンド当たり150-152ドル、枝肉は244ドル程度で取引され、週間の平均価格は生体牛150.87ドル、枝肉241.44ドルと高値を更新した。

高値更新の要因の一つは、この2週間、パッカーが肥育牛のと畜頭数をゆるやかに増やし始め、4月分の肥育牛を大量契約したことだ。この契約の価格帯は、3月の現金取引価格に比べて100ポンド当たりで1ドル安〜3ドル高の範囲だったが、全体的に生体牛の供給量が増え始めたにもかかわらず、4月分の大量契約によって3月の現金取引市場への肥育牛供給がタイトになった。

アナリストは、4月契約が現金価格を下回り、また出荷適正牛の供給力も限界を超えていたと指摘する。この大量契約は市場環境を大きく変化させ、4大パッカーのうち2社では確約された頭数が集まらず、現金市場に買いに入らなければならなかったという。

 

※2014年3月31日 CATTEL BUYER'S WEEKLY

 

 

 

肥育牛の出荷拡大、カットアウトは先行き急落も

 
 

今年これまでの肥育牛のと畜頭数は、前年同期比で5%減少している。2013年から2014年第1四半期まで牛肉生産量の大幅な減少が続いたことで、牛肉価格は高値を維持してきた。

だが肥育牛のと畜頭数は、4月後半までは前年とほぼ同程度、6月までには2〜3%増になると予想され、パッカーは今後、前年よりかなり多くの牛肉を販売する必要に迫られる。

3月第3週の週間と畜頭数は57万5000頭、4週は58万5000頭と推定される。アナリストは、「この数量は多すぎる。スポット市場でのボックスビーフの販売量は、前々週が350ロード(≒コンテナ)、前週が381ロードで、牛肉の販売量はそれほど伸びていない。チョイスのカットアウト価格は241.57ドルから239.25ドルになった。と畜頭数が増えると、カットアウトは急速に下落するかも知れない」と予想する。

生体牛の現金取引価格も、第2四半期には下落すると見込まれるが、その下げ幅と速度はボックスビーフ価格よりもゆるやかになる。その理由の一つは、現金取引は肥育牛のと畜頭数次第で変動し、先物相場とは連動せずに独自の値動きをみせているからだ。

ただ、12月〜2月までの3カ月間、フィードロットへの素牛導入頭数が前年より10%も多く、しかも800ポンド以上の素牛導入が記録的に多かったことから、6月までに肥育牛の出荷はかなり潤沢になる可能性が高い。

 

※2014年3月31日 CATTEL BUYER'S WEEKLY

 
ワールドレード

EUがロシアの豚肉輸入禁止処置をWTOに提訴

 
 

EUは4月8日、ロシアがEU産豚肉に講じている輸入禁止処置はWTO(世界貿易機関)の規則に違反するとして提訴した。ロシアはEU内でアフリカ豚コレラの症例が発見されたのを受けて、1月にEUからの生体豚と豚肉の輸入を禁止した。

2013年のEUからロシアへの豚肉輸出は14億ユーロで、年間輸出額の25%を占めた。EUの貿易コミッショナーは「この不均衡な禁輸はEUの豚肉産業に大きな財政的影響を与えている」と述べている。

EUの発表では、ロシアは禁輸を決定した根拠として、リトアニアとポーランドでベラルーシと国境を接する地域に生息するイノシシからアフリカ豚コレラが単発的に4件確認されたことを挙げているが、この禁輸措置により、EU農業はかなりの損害を受け、しかもロシアとの二者間協議で今のところ成果が見られない。この先も解決の見通しが立ちそうにないことを受けて、EUはWTOの紛争処理制度に訴え、ロシアとの正式な協議を要請することにしたと発表している。

これに関連して、インターファックス紙(4月2日モスクワ発)はロシアの農業監視組織の幹部が同紙に語った情報として、ロシアがポーランドとリトアニアからの調理済みポーク製品の輸入を4月7日付で禁止すると報じた。

 

※2014年4月8日 Meating.com および4月8日 EU News

 
消費トレンド

消費者が牛肉の選択で重視するのはフレーバー

 
 

生体牛と牛肉の価格高騰が続く中、生産者には「牛肉需要はいつまで維持できるのか」との懸念がある。ただ現在の牛肉産業はこの50年間で最も品質の高い牛肉を生産しており、これが需要の維持に役立つだろう。

数年前まで50%台半ばだったチョイスグレードの発生率は、2014年に平均で約67%に達しており、プライムの発生率も4%を超えている。CAB(サーティファィド・アンガス・ビーフ)ブランドの認定要件を満たすアンガス牛の割合は、1年前の24〜25%から、2014年第1四半期には26〜29%まで増えている。

コロラド州立大のデール・ウェルナー博士は、最近の業界セミナーで「牛肉消費をリードする重要な要素は、従来の柔らかさからフレーバー(味わい・風味)に代わってきている。フレーバーの重要な構成要素はマーブリング(脂肪交雑)である」とし、良質な等級の増加は消費者の満足度を高めることに繋がると強調した。

同博士の研究によると、肉質の違いを見分ける訓練をしたパネラーに、様々な品質等級の枝肉から分割したミドル・ミート(ロース)の味覚評価をした結果、好ましい牛肉としての評価はセレクト級が30%未満で、プライム級は90%以上だった。

これらの結果を踏まえ、コロラド州のリーチマンキャトル社のリー・リーチマン社長は、「これからはフレーバーが牛肉の消費をけん引する。トップチョイスとプライムの発生率を70%以上にして、消費者の満足度を上げることが需要維持に繋がる」と語った。

 

※2014年4月1日 Drovers Cattle Network

 
生産動向

フィードロット飼養頭数は0.5%減、導入増・出荷減

 
 

USDAの最新のCOFレポートでは、3月1日現在のフィードロット飼養頭数は1079万頭、前年同月比0.5%減とほぼ前年並みの水準まで回復した。2月の導入頭数は165万頭で14.7%増と高い伸びをみせたが、これは前年2月の導入頭数が過去最低であったことの反動。出荷は154万9000頭の3.4%減で、2月としては過去最低を記録した。

主要州別の飼養頭数では、1月に初めてテキサスを抜いたネブラスカが250万頭の2.9%増で、引き続き最も多くの肥育牛を保有。テキサスは247万頭、3.1%減。カンサスは206万頭、0.5%増。

アナリストは「フィードロットの飼養頭数は年初からタイトな状態が続いてきたが、今回のレポートで夏場に向けて供給量がかなり増加する可能性が高まった」としている。

 

 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 

 

ポーク・ファクト・シート