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TRADER'S Be & Po

vol.222 Mar.31.2014
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
需給トレンド 米国農業の長期予測―家畜生産は緩やかな回復へ
市況ニュース 豚肉価格が暴騰、カットアウト131ドル台
牛肉価格は現物高・先物安、モモの販促増加
ポーク関連ニュース 2月末の豚肉在庫増加、夏場に向けた備蓄手当拡大
PEDvの拡大防止で新たに3つの研究対策―NPB
トピックス 牛ひき肉用の50CLが最高値を更新
マーケットデータ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2014年1月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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需給トレンド

米国農業の長期予測―家畜生産は緩やかな回復へ

 
 

米国農務省(USDA)が米国農業の長期予測を発表した。これは、農業各分野の向こう10年間(~2023年)の生産・消費・価格・輸出等の見通しを示したもの。畜産部門は、2012年の干ばつと飼料価格の高騰の影響から緩やかに回復しつつにあり、食肉生産量は今後増加するとの予測。各畜種の主なポイントは以下のとおり。

生 産:牛肉の回復は2016年以降、豚肉は一貫して増加

2012年の干ばつによって雌牛の淘汰が進んだことから、2013年の子牛生産の回復は限定的だった。雌牛の飼養頭数と未経産雌牛の保留頭数から判断すると、牛肉の生産量は2016年まで減少が続き、それ以降は増加に転じると予測される。

肉牛の総飼養頭数は、2014年の8800万頭から、23年には9600万頭まで増加。このうち雌牛の頭数は2014年の約2900万頭がボトムで、22−23年までに3300万頭まで増加する。牛肉生産量の増加にはと畜重量の増加も寄与する。

豚肉生産は、飼料価格の低下で繁殖用豚が増加しており、次の10年間は増加基調を辿る。肥育豚の増加とともに、と畜重量の増加も豚肉生産の伸びに寄与する。

  米肉の食肉および生産予測
 

消 費:1人当たり消費量は2023年に215ポンドまで回復

2007年以降、米国の1人当たり食肉消費量(小売重量ベース)は、生産量の低下と輸出拡大に伴う消費者価格の上昇によって低下してきた。年間の平均消費量は、2004−2007年は221ポンド以上で推移してきたが、2014年には203ポンドまで低下。今後は増加に転じ、2023年には約215ポンドまで増加すると予測される。

ただ、牛肉の消費量は生産量の短期的な減少に連動して、2016年までは減少、それ以降から増加する。豚肉消費は2017年までは確実に増加し、2018年以降は伸びが鈍化する。国内需要だけでなく輸出増加分を賄うところまで生産量が拡大した後は、生産量と消費量の伸びは緩やかになる。家禽肉はレッドミートとは対照的に、向こう10年間にわたって増加する。

  米肉の国民1人あたりの食肉消費量の予測
 

価 格:食肉の上昇率は一般の物価上昇率よりも低い

今後10年にわたり、肉豚とブロイラーの価格は生産量の増加によって低下する。対照的に牛肉・肉牛の価格は、予測期間の初期の段階では生産の減少から上昇する。肉用牛の価格は2017年に一旦落ち着くが、その後再び上昇する。肉豚とブロイラーの価格は、予測期間の後半には生産量の伸びが緩やかになるため、わずかに上昇する。2023年までの肉牛、肉豚およびブロイラーの価格の上昇率は一般的な物価上昇率よりも低い上昇にとどまる。

  米国の家畜の生産販売価格(名目)の予測
 

輸 出:牛肉輸出拡大、豚肉はメキシコ、環太平洋諸国で増加

食肉輸出は今後10年間増加する。世界経済の成長、ドル安の継続、国外需要の強まりの中で、米国の大規模な生産力の中から特定のカットを求める傾向が強まる。牛肉輸出は穀物肥育による高品質が支持され、日本や韓国など輸入再開市場で回復傾向が続いており、引き続きメキシコ、カナダ、環太平洋の諸国に輸出される。一方で、経産牛のと畜が少ないことを反映して、加工用主体に豪州、NZおよびNAFTA加盟国からの輸入も増加する。

豚肉輸出は向こう10年間にわたって増加する。米国の豚肉産業の生産効率の高さは他国との競争力に有利だ。輸出先は環太平洋諸国とメキシコが重要な市場。ロシアは国内産業の保護を含めて貿易政策面で制限を続行するだろう。

  米国の食肉輸出量の予測
 
市況ニュース

豚肉価格が暴騰、カットアウト131ドル台

 
 

豚肉の急激な価格上昇による混乱が広がっている。需給の現実を無視した水準まで高騰した価格は、関係企業の損益や資金繰りなどを含めて、さまざまな悪循環を引き起こす懸念がある。

2月中旬に100ポンド当たり95ドルだったカットアウト価格は、4週間で35%も値上がりし131.05ドルになった。この4週間の豚肉生産は前年同期をわずか4%下回っただけである。

パッカーとエンドユーザーの間にはフォーミュラー(指数を用いた契約)により価格を決定する方法がある。フォーミュラーは購買する量によって価格が動くが、それがUSDAの公表価格と連動することでパッカーの提示価格は正当性をもつ。スポット市場に十分な供給がある場合はこのシステムは有効に機能する。

しかし、今回のような『サプライ・ショック』が起こると問題が発生する。豚肉の生産量が5%減った場合、その減少分はすべてスポット市場から消失する。パッカーはシート取引を優先し、有用性に応じてスポット市場に出荷するからだ。この2週間、スポット市場で取引された豚カット肉は前年同期比26%減。ここ数日間では30%も減少した。

一方でフォーミュラーでの取引量は減少しておらず、むしろ増えている。夏場の供給減に備えようとするエンドユーザーの備蓄用仕入がフォーミュラー取引を増大させた。この傾向が継続拡大すると、スポット市場への供給量はますます減少し、豚肉価格がさらに上昇する要因になりかねない。

 

※2014年3月24日 NPB Pork Merchandiser's Profit Maximizer

 
 
 

牛肉価格は現物高・先物安、モモの販促増加

 
 

牛肉の記録的な高値は今後の販売に大きな打撃を与える懸念がある。ただ、一部のアナリストは「牛肉の高値に加え、豚肉価格が急激に高騰しているものの、鶏肉への需要シフトはみられず、消費者は高値でも好みの食肉を買い続けるだろう」と見る。

また、「パッカーがインサイド・ラウンド(内モモ)を非常に安い価格で販売しているため、小売業者はBBQやステーキよりもロースト・メニューの販促に力を注ぎ、ミドルミート(ロイン系)は価格が下がらなければBBQシーズンが到来しても販促は増えない可能性がある」。

USDAの販売週報では、ボックスドビーフの総販売量6718ロード(コンテナ)のうち先物(22~90日間)の契約比率が21.5%を占めた。前々週は総販売量6384ロード、同比率は19・5%だった。この2週間のフォーミュラーでの販売率は50.5%と51.9%で、スポット市場(0-21日間の取引)の販売比率は28.1%、28.7%と非常に低かった。

ここ6週間の総販売量のうち、先物は4週連続して前年を上回ったが、このうち内モモが16%を占める。スポット市場の内モモ(チョイス、#168-3規格)が100ポンド当たり315ドルであるのに対し、先物は260ドル台で販売されている。モモ系のカット肉の先物はすべてスポット市場よりも安い。

チョイスのカットアウト価格は3月20日に100ポンド当たり244.06ドルと最高値を更新したが、それ以降はと畜頭数が増えたこともあり下落した。BBQシーズンの本格的な到来までにはまだ4~5週間あるため、と畜頭数が減らない限り、カットアウト価格は下がる可能性が高い。

生体牛の現金取引は強基調、今後はと畜頭数次第

肥育牛のと畜頭数が増加し始めたが、現金取引価格は依然として強気を保っている。3月20日に南部プレーンズで100ポンド当たり150ドルを付け、前週より2ドル上昇した。北部もほぼ同水準でUSDA公表の主要5州の肥育去勢牛の平均価格は149.95ドル、枝肉価格は240.22ドルを超える可能性がある。

一方で先物の契約価格は4月契約物が144.42ドル、6月136.20ドル、8月133.75ドルと大きく値下がりしている。現金取引と先物の価格差は肥育牛の供給が春から初夏にかけて増加するとの予測を反映したものだ。

フィードロットにおける肥育頭数は年初から増えている。導入頭数が増加する一方でと畜頭数が少ないことが要因で、4月には過去5年平均に近い水準まで回復する可能性がある。これは先行きの牛肉価格の引き下げ要因となる。

ただ、牛肉と牛ひき肉は高値による需要離れはまだみられない。牛肉の小売価格が高値で推移している間は、現金取引価格も高値を維持できる。肉牛の生産基盤の再構築にはまだまだ時間を要するが、肥育頭数が前年並みを回復、枝肉重量も増加傾向あるため、仮に週間のと畜頭数が57万5000頭を上回ることが続くようであれば価格は下方修正されるだろう。

 

※2014年3月24日 CATTEL BUYERS WEEKLY

 
ポーク関連ニュース

2月末の豚肉在庫増加、夏場に向けた備蓄手当拡大

 
 

夏場の価格高騰を見越して豚肉の在庫確保への動きが強まっている。生体豚の先物価格は2月上旬に6月先物が100ポンド当たり105ドルだったが、2月末には110ドル、3月24日には130ドルとわずか3週間で急激に上昇した。

2月末の豚肉在庫は6億5380万ポンドで前年同期より3.2%多い。このうちモモは1億1720万ポンドで同5.8%増。昨年の豚肉在庫は年の後半に増加したが、今年は夏場の供給減予想から在庫備蓄が例年よりも前倒しで始まった。

ベリーは昨年に価格が最高値を更新したこともあり、エンドユーザーの意欲的な在庫確保で8830万ポンド(前年同月比105%増)に達している。一方でピクニックは1150万ポンド(31.2%増)で過去5年平均との比較で6.1%減。トリミングは3780万ポンド(41%減)で同34%減となっている。

 

※2014年3月24日 NPB Pork Merchandiser's Profit Maximizer

 
 

PEDvの拡大防止で新たに3つの研究対策―NPB

 
 

全米豚肉委員会(NPB)はPEDvの広がりを防止するための研究と対策に追加資金65万ドルを投入。また、新たにゲノム・アルバータと契約し、研究資金50万ドルをポークチェックオフから拠出することも決定した。さらに、米国とカナダの養豚、獣医師、飼料、レンダリング、血漿タンパク質生産者などの関係5団体と新たにコラボレーションし、PEDvのリスクの特定や情報共有で連携していくことも発表した。

追加資金はPEDvの感染に関係する飼料の研究はじめ、繁殖雌豚の免疫に関する問題の特定、感染の識別、バイオセキュリティ・リスクの知識普及などに使われる。これにより、2013年6月以降、チェックオフから拠出されるPEDvの研究、対策費は170万ドルに達するが、カレン会長は「豚肉生産者はこの数十年で最も深刻で壊滅的な疾病に直面している。食品の安全性には全く影響ないが、産業への影響と消費者への安定供給との観点からもPEDv対策は最優先課題だ」と述べている。

 

※2014年3月11日 NPBニュース

 
トピックス

牛ひき肉用の50CLが最高値を更新

 
 

牛肉のカットアウト、トリミング(牛挽材)、内臓肉、牛皮などの副産物のすべてが最高値を更新している。と畜頭数の大幅な減少が要因だが、特にカットアウトとひき肉用の50CL(機械測定赤身率50%)が高騰し続けている。

50CLは連日のように最高値を更新し、3月14日には100ポンド当たり162.24ドルまで上昇した。90CLも3月4日に2月の平均価格を26.44ドル上回り、初めて250ドル台を付け、翌5日には260.01ドルに達した。

冷凍輸入の90CLは225ドル程度で販売されており、これから豪州やNZから輸入されてくるものはさらに安くなるようだ。米国産とは依然として大幅な価格差があるものの、小売店ではこれらの冷凍輸入品よりも米国産が圧倒的に支持を得ている。

 

※2014年3月17日 CATTEL BUYERS WEEKLY


 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 

 

ビーフ・ファクト・シート