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TRADER'S Be & Po

vol.221 mar.17.2014
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
トピックス 肥育牛出荷、夏場には前年上回る見込み
市況ニュース 牛ひき肉原料が高騰、牛肉の高値形成をけん引
カットアウト再び急落か、高値による消費離れ懸念
ポーク関連ニュース 豚肉価格が最高値更新、季節外れの異常高値出現
ワールドトレード 豪州の対米牛肉輸出が急増
USMEFインフォメーション 米国産ドライエージングビーフのガイドラインをWeb掲載
マーケットデータ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2014年1月)米国の輸出、飼養動向、と畜頭数・枝肉生産量、日本の輸入量
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トピックス

肥育牛出荷、夏場には前年上回る見込み

 
 

今夏は前年よりも多くの肥育牛が出回る可能性が出てきた。肥育素牛の供給は依然少ないものの、フィードロットの導入頭数は昨年12月から増加傾向にある。これに対して出荷頭数は前年よりも大幅に減少。1月の出荷頭数は過去3年間平均と比べて5.5%も減少しており、2月はさらに低下する見通しだ。

現状では出荷適正牛が非常にタイトである。しかし、アナリストは「第1四半期の出荷頭数が少ないため、数カ月後にはフィードロットからの出荷を増やすことになり、夏場には出回りが増加する」という。この予想通りなら、6〜8月の生体牛の先物価格は、現在の現金価格をかなり下回見込み。

2月21日公表のCOFレポートでは、1月のフィードロット導入頭数は202万9000頭で、前年同月比8・6%増、16万頭も増加した。2月の導入頭数は、過去最低だった昨年2月との比較で5〜8%上回る可能性がある。1月の出荷頭数は178万8000頭、同5%減と非常に少なかった。これはパッカーの損失が増えたことや、複数の地域で悪天候により家畜の移動が制限されたことが要因であり、2月も同様の要因で出荷は少ない。フィードロットが現在の導入ペースを維持するためには、出荷を加速する必要がある。

◎ネブラスカの肥育牛拡大、小規模肥育場の出荷増も

1月の導入拡大と出荷減少により、2月1日現在の飼養頭数は1076万頭と、1月より16万7000頭も増加した。前年同月比では2・8%減だが、1月の5・4%減に比べて減少率はほぼ半減した。注目すべきは、ネブラスカの飼養頭数が初めてテキサスを上回ったことだ。ネブラスカは1月の導入が54万5000頭(同17.2%増)と多く、飼養頭数は246万頭(0.4%減)となった。

テキサスは244万頭(6.9%減)。カンザスは205万頭(2.8%減)で3位を維持した。テキサス、カンザスともに導入頭数は前年同月を上回っており、コーンベルト地帯には2013年よりも確実に多くの肥育牛がいる。カリフォルニアでも干ばつの影響から導入頭数が27%増加した。

また、同レポートで注目されるのは、1000頭以下のフィードロットで2013年に301万頭の出荷があったことだ。これは2012年を15万6000頭(5.5%)も上回るもので、1000頭以上のフィードロットからの出荷が2161万8000頭(1.9%減)と41万頭も減少したこととは対照的な傾向を示している。

 

※2014年3月10日 CATTEL BUYERS WEEKLY

 
市況ニュース

牛ひき肉原料が高騰、牛肉の高値形成をけん引

 
 

牛ひき肉は、米国の牛肉産業にとって非常に重要な商品であり、推計ではそれは牛肉製品販売の55%以上を占める。牛ひき肉用の国内原料は3月第1週に驚くべき新高値を記録した。これは、今年の経産牛と肥育牛のと畜頭数が大幅に減少していることを反映したものだ。

牛ひき肉用のトリミングは過去3週間に渡って上昇し、3月5日に加工原料用の90CL (ケミカルリーン90%)は100ポンド当たり255.76ドル、6日にはCL50が同137.47ドルとそれぞれ過去最高を更新した。パッカーは、この高値が他のサブ・プライマルカットの価格を維持することに繋がるとみているが、この高騰を受けてオーストラリアからの輸入も急増している(別項参照)。

生体牛の供給減とパッカーのマージン悪化から、1月および2月の肥育牛(去勢と未経産)のと畜頭数は歴史的な低水準となった。1月のと畜頭数は前年同月比5%減、2月は同3%減で、3月は再び5%減になると見込まれる。

これに連動するように、チョイスのカットアウト価格は2月13日以降の15営業日間で27.48ドルも上昇、とくにこの5日間だけで14.17ドルも上昇した。セレクトも5日間で14ドル、15日間で25.24ドルも上昇した。ただ、いずれも1月22日に記録した最高値を下回っている。

 

 

 

カットアウト再び急落か、高値による消費離れ懸念

 
 

ビーフのカットアウト価格は2月と同様に再び急落する懸念がある。1月22日の最高値(チョイス240.05ドル)に比べ、現状は32.37ドル安、セレクトも29.76ドル安となっており、3月にはチョイスが200ドルを割り込む可能性もある。パッカーが引き続きと畜頭数を制限すれば急落は防げるが、4月には出荷適齢牛の増加が始まり、と畜頭数が増加すると現状よりもかなりの安値になるだろう。

ミドルミートの歴史的高値に加え、ひき肉用も記録的な高値を付けたことで、小売業者は牛肉を販促する選択肢がなくなっている。USDAの報告では、牛肉の小売価格(ポンド当り)は12月の5.04ドルが1月には5.25ドル、前年同月比6.9%高まで上昇した。現在の生体牛とカットアウトを反映したものだが、アナリストは「生体牛価格が150ドルになると小売価格は5.50ドルになり、PEDvの影響で記録的な高値にある豚肉と比較しても割高感が強まる。豚肉や鶏肉に需要がシフトする懸念がある」という。

 

※2014年3月10日 CATTEL BUYERS WEEKLY

 
ポーク関連ニュース

豚肉価格が最高値更新、季節外れの異常高値出現

 
 

高値が続く豚肉のカットアウト価格は3月第1週に100ポンド当たり111.99ドルと最高値を更新した。これまでの最高値は昨年6月に記録した111.33ドルだったが、季節的に年間で最も安値となるこの時期に、前年を43%も上回る最高値が出現した。昨年の3月は飼養頭数と比較的多かった中で、ロシアの輸入停止が豚肉価格に大きな影響を与えた。今年はこの逆のケースが起こる。供給減によって牛肉価格が高騰しており、豚肉価格の上昇要因になっている。

最高値の更新は、枝肉重量の大型化を含めて供給促進の誘因になるが、カットアウト価格の上昇はロインとモモが急上昇したことが要因だ。この2アイテムは小売業者が積極的に販促してきた。1月に牛肉価格が急上昇した時点で、2〜3月に小売業者が豚肉販売を強化することは予期されたが、まさに予想通りの展開となった。

◎豚価は夏場に最高値突入、波乱含みの展開も

通常、3月上旬から6月後半にかけてのポーク・カットアウトの上昇率は19%(過去5年平均)。現状から考えると、夏場にカットアウトは130ドル、生体豚は125ドルまで上昇する可能性があり、小売業者や外食関係者は先行きを懸念している。急上昇している価格がどこで折り合いをつけるかが問題だ。

豚肉と生体豚の価格上昇は、短期的に一度は行き詰まる可能性がある。しかし、高騰している牛肉価格の今後の推移によっては、さらなる上昇もあり得る。タイトなうちに現金で出荷するか、先行きの高値にトライするか、春から初夏にかけての生産者の判断によっても価格は大きく変動する。小売や加工業者が販売価格や製品価格を値上げし、それでも需要がついてくるかどうか、需要動向を見極める必要がある。価格が高過ぎると需要を失い、今夏の豚肉価格は現在より著しく低下する懸念もある。

 

※2014年3月10日 NPB Pork Merchandiser's Profit Maxmizer

 

 

  ポーク・カットアウト価格の推移
 
ワールドトレード

豪州の対米牛肉輸出が急増

 
 

豪州から米国への牛肉輸出量は2月に2万3644トンに達した。前年同月比38%増、前月比では1万トンの急増。主な要因は、米国国内の牛ひき肉用の供給が不足していること。また、豪ドルが米ドルに対して安値にあることで、豪州産と米国産の価格差が広がっていることもある。

豪州からの輸入はこの1年間、大腸菌に関する新しいテストが阻害要因の一つとなり、輸出業者はリスクを回避し、他の市場、とくに中国向けの販売を増やしてきた。米国への輸出量が前年同月を上回ったのは昨年3月以来のことだ。

豪州の2月の合計輸出量は10万31トンで、対米輸出量は日本向けを抜いて1位になった。豪州北部では雨不足もあり、と畜頭数が引き続き増加していることが輸出拡大に繋がったとみられる。

 

※2014年3月10日 CATTEL BUYERS WEEKLY

 
USMEFインフォメーション

米国産ドライエージングビーフのガイドラインをWeb掲載

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)は、日本市場でドライエージングビーフ製品に対する関心と需要が高まっていることに対応し、このほど公式ホームページに「国際市場向け米国産ドライエージングビーフ ガイドライン」を掲載しました。ドライエージング(乾燥熟成)は米国で発展してきた技術ですが、これらの製品を国外市場に供給するには、その物流とアクセスに特有の課題があります。

本ガイドラインは、輸入・販売業者がドライエージング製品の輸入または製造において、利点だけではなく欠点や短所も理解した上で、それぞれのニーズに合ったプログラムを活用する手助けとすることを目的にしたものです。ウエットエイジング(通常の熟成)とドライエージングでは安全性の確保をはじめ、食味形質、歩留まり及びコストなどに相違があります。

USMEFはオクラホマ州立大学との共同研究によって①冷蔵輸入によるドライエージング②冷凍輸出によるドライエージング③冷凍輸入によるドライエージングの3つプログラムを策定。本ガイドラインではそれぞれの工程管理から定義、設備、考慮すべき事項などを説明しています。詳細は下記にて閲覧、ダウンロードできます。
http://www.americanmeat.jp/trd/publications/book/

 

 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 

 

ポーク・ファクト・シート