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TRADER'S Be & Po

vol.205
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛市場の先行きは牛肉需要の底上げが鍵
2013年の生体豚価格84ドル、輸出は2.3%減の予測
トピックス 経産牛のと畜頭数、依然として前年上回る
プレゼンテーション 米国の豚肉生産と輸出動向
生産コストに圧倒的な優位性、輸出額で日本は1位
ポーク関連ニュース COSTCOがポークロイン拡販、
クーポン付のキャンペーン展開
飼料関連ニュース 天候不順で、とうもろこしの播種が大幅に遅れる
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2013年3月)
米国の輸出、と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、
日本のアメリカ産ポークとポーク調整品輸入量
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市況ニュース

生体牛市場の先行きは牛肉需要の底上げが鍵

 
 

牛肉産業の利益配分は、消費者の購買行動に左右される。「消費者がどの程度の価格帯で牛肉を購入できるか」が極めて重要であり、これが産業全体に大きな影響を及ぼす。2008〜2009年のリーマンショックで牛肉需要は大きな打撃を受けた。その後、需要は緩やかな回復をみせたが、昨秋から再び弱含みで推移している。

マーケティング会社「HedgersEdge.com」のアンドリュー・ゴットシャルク氏の試算によると、牛肉需要は2012年第1四半期に3.0%減少して以降、2013年第1四半期まで減少傾向で推移。豚肉需要も1%程度減少している。これに対して鶏肉のみが2.4%の伸長を見せている。不透明な経済情勢や実質賃金の低下が懸念材料となり、消費者心理は冷え切ったままであり、生体牛市場の先行きは 牛肉需要の成り行きにかかっている。

ゴットシャルク氏は「消費者にとってネガティブな材料ばかりではない」ことを指摘する。背景にはエネルギーコストの低下がある。4月22日終了週の全米ガソリン価格はすべての等級で値下がりし、1ガロン当たり3.603ドルと前年比0.326ドル下げた。ガソリン1ガロン当たり1ペニーの下落は、年間の消費者支出で12億4千ドルもの効果を生み出すと想定される。燃料価格は5月27日のメモリアルデーの週に値上がりする可能性があるが、長期的には下落傾向が続く見通しにある。また、牛肉需要は例年、第1四半期から5〜6月にかけて6%改善されるが、昨年に比べ牛肉の利幅が改善した小売業では積極的な販促策が打ち出されており、6月まで継続的な販促が行われれば、牛肉の販売量は大幅に拡大することが予想される。

 

※2013年4月29日 Cattle Buyers Weekly

 
 

2013年の生体豚価格84ドル、輸出は2.3%減の予測

 
 

第1四半期の生体豚価格は、予想以上に早出し出荷が進んだことで大幅に下落した。生体豚の供給増と豚肉輸出の停滞によって、国内向けの豚肉供給量が増加したことが要因である。USDA(米国農務省)が公表した第2四半期の分娩予想を見ても、2013年から2014年にかけて豚肉供給量は増加を続ける見通しである。2013年の豚と畜頭数は前年比1.5%増と予測され、肉豚重量も引き続き増加傾向を維持する。

今年後半には、とうもろこし価格が緩やかに低下し、生産コスト全体を押し下げるため、世界市場における米国の豚肉の価格競争力は強まる。ロシアや中国などの輸出市場では、ラクトパミン・ゼロを主張し続けているが、こうした動きは生体豚の増体を抑制することにつながる。また、生産者の中にはグループ別に豚舎を移動するケースもあり、これも豚の生産性低下につながる。米国の肉豚生産者は繁殖母豚数の減少にも関わらず、生産性向上により豚肉生産量の拡大を図ってきたが、今後はこうした生産性の改善は難しくなる。一方で、原産国表示の義務化(MCOOL)に関する新たな制度は、引き続きカナダからの育成豚の輸入抑制につながるだろう。

2013年の米国の豚肉輸出量は前年比で2.3%減少するが、2014年には5.7%増まで回復すると予想される。これらから予測すると、2013年の成豚価格は、前年とほぼ同水準の100ポンド当たり84ドルと推定される。供給量の増加に加えて、豚肉輸出の減速が影響し当初予想を大幅に下回る。その後は、今秋の穀物価格次第で大きく左右されるが、現状での2014年の成豚価格は同82ドルと予測される。2013年に比べ2.5%安だが、過去5年間の平均価格に比べると12.6%高である。ただし、これらの予想価格はUSDAの統計発表前の速報値等で試算したものである。

 

※2013年4月22日NPB Pork Merchandiser's Profit Maximizer

  アイオワ州・ミネソタ州の生体豚の価格推移
 
トピックス

経産牛のと畜頭数、依然として前回上回る

 
 

今年の牛肉生産量は前年比1.3%減、と畜頭数は2.1%減と予測されているが、ここ数週間の減少率は年間の予想値よりも大きくなっている。ただ、最も注目すべきことは、去勢牛、未経産牛、雄牛のと畜頭数が減少する中にあって、経産牛のみが前年比1.2%増と増加していることだ。これには、予想以上の牛群の淘汰や北米の酪農部門の構造変化などいくつかの要因がある。昨年、カナダ・ケベック州の大規模な経産牛のと畜工場が閉鎖された。この影響で米国とカナダの生体牛および牛肉の貿易が変化している。カナダからの輸入を含めて乳用牛のと畜頭数が4.4%も増加しそうである。以前は、これらはカナダでと畜され、牛肉で輸入されていた。この構造的な変化を見逃すと、米国の経産牛のと畜動向について、間違った結論を導き出してしまう。5週間後には、経産牛の年間のと畜頭数の予想は2.1%減となっている可能性もある。

冬場の干し草が非常に高価で、しかも供給が少なかったことから、多くの生産者が経産牛を手放し、予想以上の淘汰が進んだ。しかし冬はすでに終わり、多くの地域で干ばつの状態が改善し、温暖な気候による飼料穀物の成長が本格化し、今後数週間で雌牛のと畜頭数は急速に減少するだろう。もちろん、雌牛の淘汰による長期的なダメージは残る。ただ、今春の雌牛のと畜頭数が予想よりも多いこと、未経産牛のフィードロットへの導入が増えつつあることは、今後の追加的な雌牛の淘汰が回避される可能性があることを示唆する。今後の牛肉生産を予測する上では、これから数週間の雌牛のと畜頭数と、未経産牛のフィードロットでの飼養動向が重要な手がかりとなる。

 

※2013年4月29日 Cattle Trader center オクラホマ州立大学公開情報

 
プレゼンテーション

米国の豚肉生産と輸出動向
生産コストに圧倒的な優位性、輸出額で日本は1位

 
 

世界の主要な豚肉生産国の生体豚価格(グラフ①)の推移をみても明らかなように、米国の豚肉は最も価格競争力があります。近年、飼料価格が上昇傾向にあるものの、中国やEUと比較して生産コストは圧倒的な優位性があります。2013年の米国の豚肉生産量(グラフ②)は1060万トンが見込まれています、四半期ごとの予測では、第1四半期は前年比1%減、第2四半期はほぼ前年並みですが、第3四半期から増加に転じ、第4四半期には2%増まで拡大する見通しです。

  主要豚肉生産国の生体豚価格の推移
  米国の豚肉生産量の推移と予測(四半期毎)
 

USDAが公表した2013年3月1日現在の豚総飼養頭数は6590万頭(前年同期比1%増)で、2012 年12月1日との比較では1%減となっています。このうち、繁殖用豚の飼養頭数は583万頭で前年よりわずかに増加し、2012年第4四半期との比較でもわずかに上回っています。肥育豚の飼養頭数は6010万頭(同2%増)。2012年12月から2013年2月までの子豚生産頭数は2900万頭(同2%増)となっています。

この期間中に分娩した母豚は288万頭で飼養中の母豚の49%に相当し、2012年に比べて1%増加しました。12月〜2月の分娩豚の1腹あたり産子数の平均は10.08頭となり、同時期としては過去最高を更新。昨年同期の平均9.97頭より0.11頭増加しました。母豚の飼養頭数が99頭未満の小規模養豚での産子数平均は7.50頭ですが、飼養規模が5,000頭以上の大規模な養豚企業では10.10頭に達しています。

米国の豚肉および豚内臓の国別輸出動向(グラフ③)では、数量ベースではメキシコが第1位で、次いで日本、中国・香港、カナダ、韓国などの順となっています。ただ、金額ベースの国別シェア(グラフ④)では、日本が第1位で31%を占めています。2013年の輸出量の予測ではメキシコ、カナダは引き続き増加が見込まれますが、日本、中国向けは前年を下回ると予測されます。

 

※USMEF畜産アナリスト エリン・ボーのプレゼンテーションによる

  米国の豚肉・豚内臓の輸出先上位国
  米国の豚肉・豚内臓の輸出額国別シェア(2012)
 
ポーク関連ニュース

COSTCOがポークロイン拡販、クーポン付のキャンペーン展開

 
 

会員制ホールセールで全米1位のCOSTOCO(以下コストコ)がポークロインの拡販で4ドル・クーポン付きの強力なプロモーションを展開し、豚肉の需要拡大に貢献している。コストコは、小売市場で全米2位の規模をもつ巨大チェーンで、世界各国で622店 (米国内449店)を展開。合計 6,910万のカード会員を有する。

同社のポークバイヤーであるスコット・オルガ―氏は「われわれのキャンペーンは冷凍ではなく、高品質の新鮮な豚肉で実施。ポーク・チェックオフとのパートナーシップにより、われわれの会員にサンプルとともに、お買い得情報や料理提案などを組み合わせた総合的な提案を行った。1月の販売では、ボンレスポークのロインチョップとロースト用について4回も販促を実施した」という。

同社が毎月発行している会員向け情報誌「コストコ・コネクション」の1月号ではポークロインの特集記事を見開き2ページで掲載した。「コストコ・コネクション」は860万部以上が発行され、会員に毎月郵送される。店頭やオンライン(Costco.com)で入手することもできるため、広範な消費者に情報が発信された。店頭では1週間にわたる試食販売も行われ、大きな反響を集めた。

ポーク・チェックオフの国際リテール・マーケティング マネージャーのメリッサ・ラーシュ氏は「コストコはキャンペーン期間中にポークのクーポンを4回提供した。同社のクーポン利用率は他の小売チェーンよりも高く、消費者に強いインパクトを与えることができた。豚肉の需要が停滞しているこの時期に、コストコの食肉部門で歴史的にも最大のプロモーションが展開されたことは意義深い」とし、今後も同社と連携したプロモーションを展開していく予定である。

  COSTCO WHOLE SALE
 
飼料関連ニュース

天候不順で、とうもろこしの播種が大幅に遅れる

 
 

2013年のとうもろこしの作付け予想は9730万エーカーと、1936年以降で最も広い面積が予想されている。しかし、本格的な播種時期を迎えたものの、気候が不順で低温の日が続いているため、播種の進捗が大幅に遅れている。すでに穀物市場では先行きを懸念する反応も出始めているが、すべての家畜の生産と収益に大きな影響を与えるため、今後の動きが注視される。

 

※資料提供:アメリカ穀物協会

  米国のとうもろこしの播種の進捗状況
 

 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 

 

ポーク・ファクト・シート