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TRADER'S Be & Po

vol.318 Sep 10.2018
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛の現金取引価格、再び軟化
生体豚暴落、牛肉との競合、関税引き上げ打撃
食肉在庫 4カ月連続して高水準続く、豚肉は減少―7月末
トピックス アフリカ豚コレラ、アジア諸国への拡大を警告―FAO
消費トレンド レイバー・デーへ向け牛肉の売上増、ステーキ主力に
業界ニュース 北米食肉協会(NAMI)が新会長兼CEOを任命
USMEFインフォメーション 「Cattlemen’s Stewardship Review」日本語版を発刊
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ビーフ(2018年7月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛の現金取引価格、再び軟化

 
 

生体牛の現金取引価格は3週連続の下落となった。8月第3週には、水曜・木曜の取引価格が多くの地域で100ポンド当たり109.00ドル、枝肉は同174ドル前後で推移した。主要5週の生体牛(去勢牛)の平均価格110.26ドル(前週比0.72ドル安)、枝肉価格は173.10ドル(同2.63ドル安)と下落した。

8月第2週の主要5州の合計取引頭数は10万1210頭。ここ3週間の取引頭数を平均すると、週当たり11万2000頭となる。これがフィードロットの維持に適正な出荷頭数であるかは不明だが、最新のフィードロットの飼養動向調査では、1000頭以上を保有するフィードロットの7月の出荷頭数は、前年をわずかに上回る水準にとどまった(昨年より稼働日が1日多いことを勘案すると0.5%増)。

最新の枝肉重量をみると、8月11日までの週の去勢牛の平均重量は881ポンド(前年同州比1ポンド減)、未経産牛は811ポンド(同6ポンド増)。全体平均は818ポンドでほぼ前年並み。現状の肥育牛供給が続くと、9月1日までに肥育日数150日以上の牛は大幅に増加し、2015年の記録に迫るだろう。供給の増加を目前に控えて、価格は軟化傾向が続きそうだ。

 

※2018年8月27日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 

生体豚暴落、牛肉との競合、関税引き上げ打撃

 
 

牛肉の売れ行きが好調で、豚肉と鶏肉の生産者マージンが圧迫される状況が続いている。豚肉は主要輸出相手国が米国産豚肉に対する関税を引き上げたことも影響している。こうした動きは、先週発表されたポークやチキンパッカーの四半期決算にも表れているが、経済的な打撃を最も受けているのは豚肉生産者だろう。

LMIC(家畜取引情報センター)によると、豚肉の生産量が増加する中で、主要輸出先で関税が引き上げられた結果、8月の生体豚価格は暴落した。6月22日までの週の全米平均の豚枝肉価格は100ポンド当たり81.68ドルの高値をつけた。それからわずか8週間後に55.78ドル、前年同週比23.90ドル安にまで暴落した。

“安値は安値で治る”という格言は、今日の価格調整には当てはまらない。その理由は簡単で、現在のような供給過多な状況においては、需要を維持するために価格を下げる必要があるからだ。冷凍在庫が膨れあがるのを防ぎ、高率関税に直面した海外バイヤーの購買意欲をつなぎ止めるために、生体豚価格の適正水準は短期的に引き下げられている。

LMICは需要の増減に合わせて価格が下がることで消費が促され、関税率の影響が軽減されるはずだと予想する。先週の生体豚のと畜頭数は252万6000頭で、今年初めて250万頭を超えた。木曜日のと畜頭数は47万頭と1日当たりで最高を記録した。

 

※2018年8月27日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
食肉在庫

4カ月連続して高水準続く、豚肉は減少―7月末

 
 

食肉および家きん類の冷凍在庫は、7月末時点で合計25億6400万ポンド(前月比1.8%増、前年同月比5.6%増)。4月以降4カ月連続で25億ポンド台を記録した。過去にこの水準を超えたのは2017年9月だけで、食肉輸出は増加しているものの、生産の増加に伴い冷凍在庫は増加傾向にある。

内訳は家きん類14億7100万ポンド、豚肉5億4800万ポンド、牛肉4億8500万ポンド、ラムと子牛肉が計6000万ポンド。鶏肉と牛肉は2018年で最大を記録したが、豚肉と七面鳥肉は前年同月より少ない。

7月の豚肉在庫が最大記録をつけたのは2015年。6月から7月にかけての豚肉の減少幅は例年より大きい。昨年の減少率は0.7%減、過去5年平均の減少率は0.6%減だが、今年は2.5%減少し、今年初めて前年同月を下回り、昨年11月以降で最少となった。

 

※USMEF Weekly Update report

  食肉の在庫量の推移
  牛肉の在庫量の推移/豚肉の在庫量の推移
 
トピックス

アフリカ豚コレラ、アジア諸国への拡大を警告―FAO

 
 

中国でアフリカ豚コレラ(ASF)が急速に広がっていることを受けて、このウイルスが他のアジア諸国にいつでも拡大する恐れがあるとして、FAO(国連・食糧農業機関)が警告を発表した。

「豚をこの病気から守るための有効なワクチンはない。人間の健康に直接的な脅威ではないが、感染した動物の致死率は最大100%と最も悪性の病気であり、流行は致命的になる可能性がある」とFAOは述べている。

中国当局は現在までに4省で2万4000頭以上の豚を殺処分した。中国は豚の主要生産国であり、世界の豚の約半数(推定5億頭)を飼養し、小規模農家から大規模商業事業者まで幅広い生産者が関わっている。中国での発症と地理的な拡大により、豚肉製品の取引と消費がさかんな東南アジアや朝鮮半島の近隣諸国へ飛び火する恐れが生じている。

ASFウイルスは生存力が強く、気候の寒暖にかかわらず、乾燥させた豚肉製品にさえ長期間生存することができる。中国で検出された菌株は、2017年にロシア東部のブタに感染した菌株に類似しているが、中国動物衛生・流行病学センターではこれまでのところ、感染源や関連性について決定的な証拠は見つかっていないとしている。

FAOの主任獣医、ルアン・ルブロー氏は「豚肉製品の動きにより感染が急速に拡大する可能性がある。アフリカ豚コレラの場合、生体豚よりもむしろそうした製品の動きが、中国の他地域へのウイルス拡大を引き起こした可能性が高い」という。

FAOの越境性動物疾病緊急センター(ECTAD)は、状況を監視し、拡大防止対に向けて中国当局と密接に連絡を取り合うと同時に、近隣諸国の当局とも連絡を密にし、さらなる脅威拡大を防止する対策に重点的に取り組む必要があるとしている。

 

※2018年8月29日 Meatingplace.com

 
消費トレンド

レイバー・デーへ向け牛肉の売上増、ステーキ主力に

 
 

レイバー・デー(9月第1月曜日)の連休に向けた1週間は、統計上、小売店の牛肉売上が年間で3番目に高まる。今年は販売額・量ともに例年より増加することが予想される。過去数年間は、小売業者がレイバー・デーへ向けて販促したのは主に牛ひき肉やホットドッグだったが、今年はボンインリブステーキやTボーンステーキ、ブリスケット(地域による)が活発に販促される見込みだ。

牛ひき肉も販促されるだろうが、今年は消費者のステーキ購入量が増加傾向にあり、小売業者はステーキを強く打ち出すと予想される。アナリストは「今夏の主力商品はTボーンとリブステーキ。売業者はここ数週間、レイバー・デーとそれ以降へ向けたリブの買付けを積極的に行っている」と指摘する。

こうした購買動向には、賃金の上昇、失業者数の水準低下といった経済に対する消費者の信頼感が表れている。現在のアメリカ人の可処分所得は、2008〜2009年のリーマン・ショック以降で最大。当時は消費者の牛肉離れが起こったが、現在、牛肉の購入量は再び増加している。この数カ月間に鶏肉の売れ行きは鈍化している。

タイソンフーズの第3四半期レポートでは、クイックサービスレストランは鶏肉よりハンバーガーの販促を強化し、ステーキハウスチェーンの売上・来店客数も増加が見込まれるとしている。アナリストは「小売店で食肉の売上をけん引しているのは牛肉、次いで鶏肉と豚肉の順。魚介類の売上も2ケタ成長を続けている。売れ行きが鈍いのはひき肉製品で、これは消費者がより高級なタンパク質を求めている証拠。好調な米国経済が、消費者のこうした動向を後押ししている」と指摘する。

 

※2018年8月27日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
 
業界ニュース

北米食肉協会(NAMI)が新会長兼CEOを任命

 
 

食肉・家きん肉類業界の最大団体であるNAMI(北米食肉協会)は、次期会長兼CEOにジュリー・アン・ポッツ氏を任命した。食肉業界の団体を10年以上統率してきたバリー・カーペンター氏の後任として、9月24日に就任する。

ポッツ氏は2004年、AFBF(米国農業連合会)に顧問として加わり、現在はエグゼクティブ・バイスプレジデント兼ファイナンス担当を務めている。ジョージ・ワシントン大学ロースクールで法学博士号を取得。同協会のジョン・バートリ議長は「法律・立法に深く携わってきた彼女の経験と農業への情熱は、協会の歴史が次章を始めるにあたって大きな力になるだろう」とコメントしている。NAMIは現在、新たなタンパク質(人工肉等)の規制・表示のあり方について政府に要望、業界の利害関係者の合同会議を要請している。

カーペンター氏はUSDAの農業販売促進局の家畜・飼料部門に37年間勤務した後、2007年からNMA(全米食肉協議会)のCEOに就任。2012年にNMAとNAMP(全米食肉業務用卸協会)の合併によって前・北米食肉協会(NAMA)のCEOに任命され、2015年にNAMAとAMI(米国食肉協会)との合併により会長兼CEOに就任した。

 

※2018年8月27日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
USMEFインフォメーション

「Cattlemen's Stewardship Review」日本語版を発刊

 
 

米国食肉輸出連合会(USMEF)はこのほど「2017 Cattlemen's Stewardship Review〜アメリカの肉牛生産者が果たす責任と規範〜」を発刊しました。これはアメリカの肉牛生産者を代表する団体である全米肉牛生産者・牛肉協会(=National cattlemen’s Beef Association)が発行した広報誌を日本語訳したもので、アメリカの肉牛業界の現状・課題及び業界が自主発展のために取り組んでいる事柄をわかりやすく解説しています。

アメリカの肉牛生産者(繁殖農家・育成農家・肥育業者)が「スチュワードシップ(受託責任)」という信条に基づき、肉牛生産者の原則宣言=「環境を守る」「家畜を保護する」「食品の安全性を強化する」「消費者に高品質な食品を提供する」「地域社会に投資する」「イノベーション(技術革新)を受け入れる」「持続可能な未来を作る」=ための真摯な取り組みを紹介しています。

アメリカの肉牛生産に関する知識とともに、牛肉業界に従事する人々の、家族と家畜や自然への「愛情」、品質向上と社会貢献への「情熱」、そして次世代・未来への「想い」までが理解いただける内容となっていますので、アメリカン・ビーフへの理解とイメージ向上のためにご一読いただき、販売促進のために活用いただければ幸いです。当冊子は近日中にUSMEFのWebサイトでも公開し、閲覧・ダウンロードして頂ける予定です。

  2017 Cattlemen's Stewardship Review〜アメリカの肉牛生産者が果たす責任と規範〜
   
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

ビーフ・ファクト・シート