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TRADER'S Be & Po

vol.313 June.18.2018
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
市況ニュース 生体牛急落、と畜頭数が2011年後半以降で最大
ポーク関連ニュース 1人当たり豚肉消費量が過去20年間で最高に
ワールドトレード メキシコが米国産豚肉の輸入に報復関税
輸出動向 4月の食肉輸出は堅調、豚肉は月間最高を更新
トピックス ダラスで世界食肉会議、40カ国から700人参加
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2018年4月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
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市況ニュース

生体牛急落、と畜頭数が2011年後半以降で最大

 
 

生体牛価格の劇的な安値と国内外での需要増により、と畜頭数が増えている。枝肉重量は季節的に軽量化しているが、それでも前年同期比では10ポンド重く、今後は増加傾向へ向かうことから価格への影響がさらに懸念される。

5月は“パッカーは儲けが出るならと畜を増やす”という格言通りの展開だった。アナリストによれば、5月第1週のと畜マージンは1頭当たり平均116.66ドルで、昨年10月末以降初めて100ドルを超えた。第2週は137.45ドル、第3週は175.59ドル。第4週は238.39ドルと、昨年6月最終週に記録した227.62ドルを上回った。

この流れに乗って、と畜頭数は増加傾向をたどった。5月第1週は52万3754頭で、2013年6月以降で最多を記録。第2週は52万6408頭、第3週は推定で53万2000頭。第4週は推定66万頭で、2011年11月の最終週に記録した66万307頭に匹敵する多さだった。

5月の生体牛価格の値動きは、昨年と同じ傾向を示した。昨年は、5月第1週に年間最高値となる100ポンド当たり144.60ドル(主要5州の平均価格)をつけ、その3週間後には131.50ドルまで下落した。今年は5月第1週が124.81ドル、2週間後に114.73ドルまで下落した。

価格水準は昨年の方がはるかに高いが、昨年は夏に向けて右肩下がりで推移し、8月に暴落。9月3日までの週の104.66ドルが年間最安値となった。今年は8月に向けて、さらなる供給増が予想されるため、現金取引価格は前年と同様か、より低い水準で推移すると予想される。

 

※2018年5月28日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
ポーク関連ニュース

1人当たり豚肉消費量が過去20年間で最高に

 
 

USDA(米国農務省)は5月の豚肉需給予測で、2018年第2四半期の豚肉生産量を4月時点の予想値4.7%増から4.3%増に下方修正した。生体重量の低下傾向を反映したものだが、2018年下半期の生産量に修正はなく、年間の総生産量は267億8400万ポンド(前年比4.6%増)の予想。

中国との貿易紛争が継続しているものの、USDAは中国向け輸出の予想値に大幅な修正は加えていない。2018年の豚肉輸出量予想は59億1600万ポンド(前年比5%増)、昨年に比べて3億ポンド増加する見込み。総生産量の増加分11億8600万ポンドのうち、国内市場で吸収すべき増加分は8億8500万ポンドとなり、2018年の国民1人当たりの消費量は3.5%増となる予想。

2019年の豚肉生産量は、さらに3.1%、8億4000万ポンド増加すると予想され、うち6億5200万ポンドが国内市場に流れ込んでくることになり、相場下落を回避するには輸出拡大が不可欠だ。

 

※2018年5月14日 Pork Merchandiser’s Profit Maximizer

  米国の国民1人当たりの豚肉消費量と豚枝肉価格の推移
 
ワールドトレード

メキシコが米国産豚肉の輸入に報復関税

 
 

NPPC(全米豚肉生産者協議会)は、メキシコが米国の鉄鋼・アルミ関税への報復措置として、米国産豚肉の輸入に対しての関税率を現在の10%から7月5日に20%へ引き上げる計画であることを明らかにした。対象品目には豚モモ肉とその製品、冷蔵・冷凍のレッグ、ショルダーとその骨なし製品が含まれる。メキシコ当局は、レッグおよびショルダーの輸入に対して、米国以外の国に35万トンの無関税枠を割り当てる。

4月には中国が同様の報復関税を表明しており、NPPCは、これらの一連の関税引き上げによって年間で生体豚1頭当たり18ドルが失われると述べている。NPPCのジム・ハイマル会長は「重要な貿易相手国との貿易摩擦の拡大で、米国の農業が受ける代償は膨れ上がっている。メキシコは米国産豚肉輸出の約25%を占める最大の市場だ。関税が20%に引き上げられれば、メキシコでの競争力が失われ、米国の豚肉生産者にとって大きな痛手となる」とコメント。

NPPCによると、米国の豚肉産業は50万人以上の雇用を支えており、うち11万人以上の雇用は輸出に直接関連するものだという。

USMEFのダン・ハルストロム会長兼CEOは、声明の中で「(関税引き上げは)米国のサプライチェーン全体に悪影響を及ぼし、メキシコの消費者に不要な負荷を与えるだろう。メキシコへの豚肉輸出量は2017年に80万トンを超え、輸出額は15億1000万ドルに達した。特にモモ肉の輸出量は記録を更新し続けてきた。急速に増加するメキシコの豚肉消費量は、米国の豚肉業界の成長と利益に欠かせない存在だ」とし、強い危惧を表明している。

 

※2018年6月5日 Meating.com

 
輸出動向

4月の食肉輸出は堅調、豚肉は月間最高を更新

 
 

4月の米国産食肉の輸出は、量・額とも前年同月比で大幅に増加した。豚肉輸出量は単月として新記録を樹立。牛肉も4月としては過去最高となった。

【豚肉】 輸出量は23万49トン(前年同月比13%増)で、2016年11月の記録を塗り替えた。輸出額は5億8410万ドル(同13%増)。1〜4月累計輸出量は86万6346トン(同4%増)、金額は22億9千万ドル(同9%増)。4月の輸出額は、肥育豚1頭当たり換算で58.45ドル(同6%増)に相当する。

4月の豚肉輸出をけん引したのはメキシコ向け。7万9019トン(同34%増)と歴代で2番目に多かった。メキシコ向けの1〜4月累計は23万2675トン(同7%増)と好調だが、メキシコは7月5日から米国の豚肉製品に報復関税を課す方針を表明したため、この成長を維持するのは困難になりそうだ(別項参照)。

韓国向けは2万5370トン(同74%増)、7410万ドル(同81%増)、1〜4月累計でも9万4888トン(同44%増)、2億7610万ドル(同55%増)と記録的な増加傾向を維持。消費者需要の強い伸びと米韓FTA(KORUS)による関税ゼロでのアクセスが、急速な拡大を後押ししている。

日本向けは3万1100トン(同5%減)、1億2500万ドル(同3%減)と減少したが、引き続き輸出額では1市場の座を維持。1〜4月累計は13万2534トン(同1%減)、5億4800万ドル(同1%増)。

【牛肉】 輸出量は11万1213トン(同11%増)、輸出額は6億7670万ドル(同23%増)で歴代4位の記録。1〜4月累計は42万9286(同10%増)、25億9000万ドル(同20%増)。4月の輸出額は肥育牛1頭当たり換算で328.46ドル(同16%増)。

日本は量・額ともにリーディングマーケットの地位を維持。4月の日本向けは2万5650トン(同9%増)、1億6660万ドル(同16%増)。1〜4月累計は9万8090トン(増減なし)、6億2610万ドル(同10%増)。うちチルドは4万7332トン(同4%増)、3億7500万ドル(同17%増)。日本向けの冷凍牛肉はセーフガードの発動期間が終わり、勢いを取り戻しているが、関税は38.5%で、最大の競合国である豪州に比べると依然として大幅に不利である。

韓国での勢いも継続している。1万9185トン(同62%増)、1億3480万ドル(同72%増)。1〜4月累計は7万1094トン(同31%)、5億100万ドル(同45%増)。日本とは逆に、韓国・豪州間のFTAよりも先にKORUSが施行されたことで、米国産は豪州産よりも関税率はわずかに有利だ。

「アジア市場で米国産牛肉がこれほど支持されているのは、過去に類を見ない。小売、外食のほぼ全ての分野で、米国産牛肉はカットとメニュー品目の幅広さで新規顧客を惹きつけている。この傾向は日本や韓国に限ったことではなく、アジアの他の市場や西半球で米国産牛肉の人気が上昇している」(ダン・ハルストロムUSMEF会長兼CEO)。

 

※2018年6月8日 FOODMARKET.com

 
トピックス

ダラスで世界食肉会議、40カ国から700人参加

 
 

USMEF(米国食肉輸出連合会)とIMS(国際食肉事務局)の共催による「22ND World Meat Congress(第22回世界食肉会議)」が5月31日〜6月2日の3日間、テキサス州ダラスで世界40カ国から約700人が参加して開催されました。

「貿易を信じる」をメインテーマに掲げた同会議では、食肉に関わる国際政治から世界的な貿易システムの課題と展望、サプライチェーンの最先端の情報とマーケティング、食肉の生産・流通・安全性に関する最新の科学技術、さらに消費者の今日的な要望と将来像などについて、世界各国の専門家が講演やパネルディスカッションを通して意見を交わし合いました。

初日は、ソニー・パーデュー米農務長官とカナダ、アルゼンチンの農業担当大臣が登壇し、農業・食糧・食肉の貿易に関わる基調講演と、貿易政策専門家と経済アナリストらによるパネルディスカッションが行われました。

冒頭、ホスト役を務めたフィリップ・セングUSMEF名誉会長(写真:左)は「今回は『貿易を信じる』ことをテーマに掲げた。貿易はより良い世界をつくる原動力でとても大切だ。台頭する保護主義にどう対処するか、科学とルールに基づいた貿易体制の確立など、貿易をめぐる様々な課題を取り上げる。また、環境、持続可能性、アニマルウェルフェアなどの課題に対処しつつ、いかに世界の90億人に食を供給するかも考えなければならない。さらにSNSなどの発達で変化する消費者の未来像なども取り上げる。我々は競争しつつ協力して、これらの課題を乗り越えていくために協力関係をさらに密にする必要がある」とテーマの趣旨と会議の意義を説明しました。

 
 

パーデュー米農務長官(同:右)は、基調演説で農業の革新と進化、そして自由で公正・公平な貿易が消費者の利益に繋がることを強調しました。「人々に食、栄養を提供するというのは尊い仕事である。米国、カナダ、メキシコをはじめとする国々は貿易で競い合うが、健全な方法でこれを発展させ、人類のために産業をより良くしてくことが大事。米国は食糧が潤沢であるが、世界では3億7500万人が飢えている。数字の問題ではなく、人の命が失われている。本日参集の皆さんは産業のリーダーとして、このことを念頭に置いて立ち向かってほしい」とし、世界に食糧を安定供給していくためには①技術革新により生産量を高める②後進国を支援する③科学に基づいた規制の仕組みづくり④自由な貿易―が重要であることを説くとともに、「トランプ政権は自由で開かれた公平なルールでの貿易を求めており、不公平なら是正する方針である」とし、この数週間で中国、日本、インドネシアなど10カ国に高官や輸出促進担当を派遣し、輸入規制や関税について交渉を行っていることを説明しました。

なお、今回の世界食肉会議には多くの日本企業がスポンサーとして協賛参加するとともに、USMEF日本事務所が組織した視察チームや全国食肉業務用卸協同組合連合会の研修団(団長=大金弘武・丸大大金畜産且ミ長)など、日本から60人以上が参加しました。

 
   
 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
 
 

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