印刷する
 

TRADER'S Be & Po

vol.267 May.30.2016
 
米国食肉輸出連合会
NEWS CONTENTS
   
ワールドトレード 台湾が13年ぶりに米国産ラム肉の輸入再開
市況ニュース 生体牛の現金取引価格、春季2度目の上昇へ
生体豚の先物回復、輸出増で夏季の堅調見込む
ポーク関連ニュース 第1四半期の豚肉輸出、中国・香港向け急増
生産動向 子牛生産の収益低下、今年は1頭133ドル予想
トピックス AmazonがPB提供拡大、生鮮食品へ本格参入
消費トレンド 夕食の最新調査、キーは便利さと健康、SNS連動
マーケット・データ 生体牛・豚価格、カットアウトバリュ、穀物先物価格
ファクト・シート ポーク(2016年3月)米国の輸出、
と畜頭数・枝肉生産量、飼養動向、日本の輸入量
定期購読(無料)の登録はこちら バックナンバーはこちら
 
ワールドトレード

台湾が13年ぶりに米国産ラム肉の輸入再開

 
 

USMEF(輸出米国食肉輸出連合会)によると、米国産ラム肉およびラム肉製品の台湾への輸出が再開された。2003年以来、13年ぶりとなる。米国産ラム肉は、2003年に米国内初のBSE発生を受け、台湾を含む数ヵ国の主要輸出先が輸入を停止。BSEに類似した疾患であるスクレイピーに関する懸念によるもので、日本、韓国を含むアジア市場は依然、輸入を停止している。

ラム肉の生産業者・マウンテンステーツローゼンのCEOでUSMEFの副議長を務めるデニス・スティフラー氏は、「アジアへの輸出が断たれていたことは、米国のラム肉輸出にとって重大な障害だった。最近ではメキシコペソとカナダドルに対する米ドルの強さもあり、この2大市場への輸出が減少。米国産ラム肉が今まで以上に広域な輸出相手国を必要とする今、アジア市場の再開は最優先事項だった」という。

台湾の昨年のラム肉・羊肉輸入量は1万7714トン、輸入金額は7400万ドルを超える。台湾の輸入先は豪州とNZの2カ国で、輸入額はほぼ半々。台湾はNZのラム肉・羊肉輸出相手国として上位11位、豪州では12位であった。

USMEFによると、米国産ラム肉の輸入再開手続きは日本でも進行中で、その可能性を監査機関が調査している最中だという。輸入停止以前の日本は、米国産ラムの主要な輸出先だった。日本の昨年のラム・羊肉輸入量は1万8144トンで台湾よりわずかに多い水準だが、金額は1億3360万ドルに及ぶ。豪州が70%、残りがほほNZで、少量だがアイスランドからも輸入している。

2016年第1四半期の米国産ラム肉(バラエティーミート含む)の輸出量は2676トン(前年同期比18%増)だが、輸出額は同16%減の450万ドルだった。

 

※2016年5月16日 Meatingplace.Com

 
市況ニュース

生体牛の現金取引価格、春季2度目の上昇へ

 
 

生体牛の現金価格は、3月中旬に記録した高値が今年の年間最高値になると見られてきたが、グリルシーズンと連休の到来に向けて、最高値を更新する勢いをみせている。

肥育業者はこの2カ月間、過去2年間に比べて積極的な出荷を行っている。予想より多くの牛肉が流通する中で、現在の生体牛価格の回復基調はさらに驚異的だ。もし積極的な出荷が継続し、導入頭数が前年並みで推移すれば、第3・第4四半期の出荷頭数が減少し、週間当たりの平均価格はさらに最高値を更新する可能性がある。

生体牛の価格形成には、先物市場の動きと国内の牛肉需要、そして米国産牛肉への世界的な需要が作用する。過去3カ月の現金取引価格の激しい上下動は、先物市場の変動を反映したものだ。また、2〜3月の牛肉の売れ行きが予想よりも良かったことが肥育業者の積極的な出荷に繋がった。

これらの要因により、2月第2週に100ポンド当たり131.56ドルまで落ち込んだ生体牛現金取引価格は、上昇に転じ、3月第3週には平均139.18ドルに達した。これが現在における今年の最高値だ。

その後、現金価格は4月最終週に生体牛123.79ドル、枝肉194.16ドルと今年の最安値となる水準まで下落していたが、5月第1週はそれぞれ126.59ドル、198.66ドルまで回復。同時に先物の6月取引分が580ポイント回復。5月第2週は先物は再度マイナスに転じたものの、現金取引は生体牛が少なくとも6〜7ドル、枝肉は10ドル上昇したようだ。

 

※2016年5月16日 CATTLE BUYERS WEEKLY

   
 

生体豚の先物回復、輸出増で夏季の堅調見込む

 
 

生体豚の先物価格は、ここ2週間で回復した。現在の供給状況が今夏の豚価を下支えする一方で、輸出需要が強まるとの見通しが要因。特に輸出の拡大が今後の豚肉価格をリードするとの見方が強まっている。

USDA(米国農務省)公表の3月の中国向け出荷量は1万9003トン(前年同月比160%増)。昨年1〜2月の中国向け輸出が極めて少なかったこともあり、第1四半期計では409%増と約4倍になっている。USDAの週間輸出レポートは週ごとの変動性が大きいものの、最近のデータを基に推計すると、4月の中国向け輸出は2万6000トン、5月はさらに多くなる可能性がある(5月5日までの週間データの中国向けは5275トン)。

中国の豚肉価格が非常に高い中で、米国の豚肉産業はラクトパミンフリーの供給を継続的に拡大し、中国への輸出量を月間3万トン近くにまで増加した。香港向けも増加しており、中国と香港への輸出量の劇的な伸びが、今夏の豚肉価格を支える可能性もあるが、それを確かなものにするには他の市場、特にメキシコの回復が必要だろう。昨年の4月の豚肉輸出量は16万2000トン、7月は13万7000トンだった。

秋口に生体豚の出荷が大幅に増加することから、先物価格は6月と12月で価格差が大きくなると予想される。夏場の市況が過熱するにつれ、秋季・冬季分の先物取引も押し上げられる可能性もある。

ただ、6月取引分の先物チャートを見ると、3月下旬から4月上旬に7ドルを大きく突破しており、市場関係者の夏場の見通しは以前から、かなり強気だったことがわかる。今のところ豚肉のカットアウト価格は通常よりゆっくりと上昇している。これまでカットアウト価格を下支えしていたベリーの価格が反落したからだ。

夏場の小売の販促はベーコンが鍵となり、5月にベリーの引き合いが弱まるのは珍しいこと。今年は現在の水準がベースとなるかもしれない。ハム(モモ)は4月下旬から5月に回復したが、この2〜3週間で再び緩んでいる。昨年のハムの価格は7月まで軟調で、カットアウト価格全体の足を引っ張った。

第2・第3四半期のメキシコ向け輸出が改善すれば、ハムの問題は解決されるかも知れないが、夏季の生体豚の先物価格の維持はあくまで仮説。家きん類の価格の安さや米ドルの強さなど、今後の輸出の動きを注視する必要がある。

 

※2016年5月16日 Pork Merchandiser's Profit Maximizer

  生体豚の価格推移と先物取引価格の予想
 
ポーク関連ニュース

第1四半期の豚肉輸出、中国・香港向け急増

 
 

米国の第1四半期の食肉輸出動向をみると、牛肉は予想よりわずかに良く、豚肉は春から夏にかけて拡大する可能性を示したが、家きん類は期待値を下回った。牛肉は3月の総輸出量が6万2336トン(前年同月比1.3%増)。第1四半期計では1.4%増となったが、4月にカットアウト価格が大幅に値下がりしており、第2四半期は輸出が増加することが予想される。

3月の豚肉輸出量は15万3902トン(同2.1%増)。第1四半期計では41万6532トン(同4.3%増)。主な輸出先の動向をみると対照的な傾向がある。中国・香港向けの第1四半期の輸出量は5万4684トン(同180%増)と、前年実績を3万5144トンも上回っている。年初から予想された拡大基調で推移している。

一方、メキシコと韓国向けの輸出が不振で、中国・香港向けの成長分の相当量を相殺している。メキシコは米国産豚肉にとって量的なトップ市場だが、第1四半期の輸出量は12万6856トン(同11.2%減)と大幅に落ち込んでいる。

中国・香港向けは夏から秋にかけても増加基調を維持する見込みだが、メキシコは依然として為替相場における米ドルの強さが課題。特にハム(モモ)の市況回復はメキシコ向けの輸出回復が鍵を握っている。

 

※2016年5月16日 Pork Merchandiser's Profit Maximizer

  米国の豚肉類の国別輸出量の前年比増減
 
生産動向

子牛生産の収益低下、今年は1頭133ドル予想

 
 

LMIC(家畜取引情報センター)の試算によると、子牛生産者の収益は2014年の記録的な高収益から低下傾向を続けているが、それでも今年と来年は、多くの生産者が黒字を維持する見込みだ。子牛生産者の黒字は8年連続で、過去19年中で17年間が黒字になる。

この試算は1970年半ばから行われているもので、費用は生産と牧草地代の現金コストのみで、管理費や人件費は含まれていない。繁殖母牛1頭当たりの収益のピークは2014年で530ドル余り。2015年は同300ドル余りであったが、2016年は同133ドルと低下し、2017年はさらに低下が予想されるとしている。

過去数カ月間、肥育牛価格は予想を下回って推移したことで、今秋の子牛の予想売価は2015年に比べ約15%低下。また、淘汰された繁殖牛の価格は前年比25〜30%安と下落しており、これらが2016年の収益予想を大幅に下方修正させた。

飼料と燃料コストの低下により、2016年の生産コストは2015年と比べわずかに減少すると予想されているが、1頭当たりに換算すると、これらの経費の低下はわずか3%、1頭当たりで25ドルほど。もし2016年の収益が133ドルになると、2013年以来で最低となる。LMICによると、2016〜2017年に子牛の収益が急速に低下すると、生産者は全体の収益維持に向けて子牛の生産頭数を増やすため、繁殖母牛の飼養頭数を拡大することも予想されるという。

 

※2016年5月16日 CATTLE BUYERS WEEKLY

 
トピックス

AmazonがPB提供拡大、生鮮食品へ本格参入

 
 

Amazonが、生鮮食品を含む新たなプライベートブランド(以下PB)シリーズを、展開する準備が整ったことを、匿名の情報筋が明らかにした。これはAmazonによる初の本格的な生鮮食品分野への参入となる。

新しいブランドは「Happy Belly」「Wickedly Prime」「Mama Bear」などの名称で、5月末か6月上旬にも同社サイト上に登場するかも知れないという。昨年ウォールストリートジャーナルは、同社がPBの新シリーズ開発に向けて、ブランドコンサルタントやツリーハウスフードなどのメーカーと交渉を行っていることを報じていた。同社のスポークスマンはコメントを控えている。

PLMA(プライベートブランド製造者協会)によると、米国の2015年のPB商品の売上高は過去最高の1184億ドルに達し、前年比22億ドル増加したという。多くの小売業者がPBを展開し、ウォルマートストアーズを始め、セフォラ、ディーンアンドデルーカなどのPBは高品質であると評価されている。

ブランドコンサルタント会社のチーフは、「Amazonが新商品をもって絨毯爆撃してくる。PB商品は企業がマーケティングとブランド開発のコストを節約できるため、NBより高い利益率を得られる。さらに、Amazonの貴重な顧客データがあれば、どの顧客にはどの商品が売れるのか、より精度の高い予測ができる」という。

Amazonは、年間99ドルのプライム会員(推定5000万人)のみにPB製品を提供するとみられ、会員制度の促進も期待される。新ブランドの「Happy Belly」は食料品シリーズ、「Wickedly Prime」はスナック類。全ラインナップは確認できないが、プライムサービスの支持に加えて、PBの新たなラインナップは米国内の数都市で提供されるAmazonの生鮮食品の配達ビジネスを加速させることになる。

 

※2016年5月16日 FOODMARKET.COM

 
消費トレンド

夕食の最新調査、キーは便利さと健康、SNS連動

 
 

アコスタ社とテクノミック社は、「The Why? Behind The Dine™」(なぜ?夕食の背後)の第二集を発行した。ランダムに選んだ消費者1500人をサンプルにした調査で、現代の消費者の夕食に関する最新動向を提供している。

1985年の食品売上の6割は食料品店、4割がフードサービス店だったが、新たな食品やミール・ソリューションの出現に先導され、食品産業全体の売上が1兆4000億ドルにまで成長した現在は、フードサービス店のシェアが半分を超え、食料品店を1.2%上回っている。主な調査結果のポイントは以下のとおり。

キーポイントは「便利さ」

夕食がどのように購入され、消費されるかに大きく関わるのは「便利さ」。世帯収入4万5000ドル以上で、子供と一緒に家で夕食をとる若年層は、便利なミール・ソリューションをより頻繁に利用している。

過去3カ月間で最も多く利用した夕食の上位5と年齢別消費傾向

①自宅で食事(95%)②レストランで食事(85%)③持ち帰り(63%)④ドライブスルー(63%)⑤惣菜(57%)。

ミレニアル世代(18〜34歳)の64%が惣菜を利用、ベビーブーマー世代(51〜69歳)は51%。X世代(35〜50歳)の53%がレストランの配達を利用、ベビーブーマー世代(51〜69歳)は23%。子育て世帯の20%が食品・食材キットのオンライン注文を利用、子なし世帯では2%。

決め手は何か―健康、原材料の透明性、デジタルツール

消費者はメニューやラベル表示を注意深く読み、より信頼できる食品の選択への関心を高めている。フードサービス経営者は、栄養豊富な材料で作られた美味しい食事を提供し、健康的な食事がしたいというニーズを手助けする必要がある。

いつ・どこで・何を・どのように食べるかの選択において、場所と予算はもはや重要な要因ではない。消費者は夕食の決定でデジタルツールやソーシャルツールをますます利用している。10人に4人がベストなレストランを見つけるためにインターネットを利用。ミレニアル世代の6割、X世代の4割はレストランに行く前にしばしばメニュー情報をオンラインで読むとし、全体の15%がレストランでの夕食のために定期的にソーシャルネットワークを利用している。

フードサービス経営者や食品の生産、供給業者は、消費者に便利さを提供する革新的な方法を探し続ける必要がある。さらに、原材料の透明性に対する興味の高まりに合わせてメニューを展開し、原材料の変更はメニューや販売資材で伝達する必要があり、デジタルツールやソーシャルネットワークとの連動を図ることが重要になっている。

 

※2016年5月11日 FOODMARKET.COM

 

マーケット・データ

 
 
 
 
 
   
 

ポーク・ファクト・シート